12月11日、スウェーデンのストックホルム市街で車が爆破、炎上して負傷者が出る事件が起きた。
自爆事件を引き起こした犯人は1992年からスウェーデンに移住していたイラク出身者だと報道されている。
バグダード在住のアフマドさん(仮名)は、かつて在バグダードのスウェーデン大使館に雇われていたこともあって、スウェーデンに知り合いも多い。その彼にこの事件のことを聞いた。
まずは、「2003年以前に移住していたのであれば、犯人はサダム・フセイン時代に迫害を受けたシーア派の人ではないか、逆に2003年以後にイラクから出た難民や移住者はスンニ派の人々が多いが、多くはスウェーデンに行き着く前にシリアやヨルダンなどのイラクの近隣国止まりでヨーロッパに受け入れられた人々はそう多くはない。」などと知識を披露した上で、さらにこう続けた。
「ヨーロッパではデンマークで予言者ムハンマドの風刺画が書かれたこともあって、それに反発するムスリムもいた。しかし、相手が悪いことをしたからと言って、それ以上に悪いことをすべきでない。逆に良い行いをすべきだ。異なる宗教の信仰を悪く言う物があれば、そうすべきでない、悪く言うべきではないと(ヨーロッパの人々に)伝え聞かせればよいことで、相手以上に悪いこと、特に暴力に訴えるのは良くない。正論を述べ伝えれば、正論は正論として理解されるはず。暴力に訴えれば怒りを買うだけだ。事件のおかげでムスリム全体に対して怒りを買うことになってしまった。」
誰もがアフマドさんのように考えることができれば、争いごとはなくなる。
私たちも知らないが故にイスラーム教を何か遠い世界のもの、もしかしたら怖いものと考えてはいないだろうか。
しかし、イラクにはアフマドさんのように考える人がいることも知って欲しい。そう思いながらこの文章を綴っている。