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2010年8月のクルド地区訪問から

イラク事業担当 原 文次郎
2010年12月 7日 更新

JVCイラク事業担当の原は2010年8月9日より17日まで、イラク北部クルド地区内のスレイマニヤ市とアルビル市を訪問し、キルクーク市で実施中のプロジェクトのフォローとキルク−ク及び近接する地域のローカルNGOとの打ち合わせを行いました。この訪問を通して聞いた現地の人々の声とこれを受けての原の雑感をお伝えします。

キルク−クで実施した「子どもたちとつくる地域の平和」2009年度ワークショップの評価

打ち合わせで出会った皆さん打ち合わせで出会った皆さん

ラマダン(断食月)入りの前日の8月10日の早朝にアルビルに到着、その足でスレイマニヤに向かい、キルク−クからやって来たパートナーのローカルNGOのINSANのスタッフと、2名の地域委員会メンバーと顔を合わせることができました。

彼らから、ワークショップの結果を好意的に評価する声が聞かれています。また、芸術のワークショップに留まらず、スポーツのイベントを実施したいなどのアイディアも寄せられています。

サラーハさん(INSANスタッフ)
「最初は同じ学校でなじみのある子どもたち同士が固まっていたが、次第に出身校や民族の異なる子どもたちとも打ち解けて交わるようになった。」

アフマドさん(地域委員会メンバー。国語(=アラビア語)の先生。キルク−ク市教育局コンサルタント)
「男女の間も最初は別れていたが、次第に交わるようになって良かった。」
(注:公立の小学校では6年生まで男女共学が原則。全体の4−5%の保守的な地域のみ男女別)

「ある家族が私のところに来て、今回は参加できなかったが、次回のワークショップにはぜひ参加したいと言って来た。」

「(民族間の)差別はそう簡単に無くなるものではない。時間はかかるし、努力が必要だ。しかし、氷が溶けるように次第に進むことを期待している。」

イブラヒムさん(地域委員会メンバー。中学校の校長先生。もともと体育が専門)
「子どもたちは民族の違いを超えて、同じイラク人としてひとつであるという意識で一緒に参加し、共同作業をしている。好ましい傾向だ。」

他にも今後の改善点について、次のような意見が寄せられています。

サラーハさん
「ワークショップの参加者だけでなく、授業を参観した人々からも前向きな反応が出ている。NGOがクルド人のためだけに催しているものだと思って心配になって見に来たが、民族間の分け隔てがない事がわかったので、次回からは参加したいという声もあった。」

「終了イベントの際に、日本の子どもたちの様子を知りたいとの声が出た。」

アフマドさん
「将来的にキルク−クの教育分野の関係者が日本を訪問できて、日本の教育システムを参考にできればありがたい。」

地域委員会の活動状況(2010年上半期)

スレイマニヤで顔合わせの上、打ち合わせをしたINSANスタッフからの報告:

「地域委員会の活動そのものは政治的には独立しているが、メンバーの多くは地域を代表するに足る人望がある人々であるがゆえに、あるいは政党関係で要職に就いている者も少なくなく、3月7日にイラク全国規模で実施された国民議会選挙の前後に渡り、選挙がらみの仕事に忙殺されて、地域委員会としての活動を行う余裕がなく、委員会活動が停滞していた。」

「2009年までのINSANによる地域委員会の活動の結果で、地域の問題を住民に共通する問題として意識化することに成功し、問題の解決策を見つけたものの、その解決に向けて多くはキルク−ク市当局などの行政の対応を必要としている。

地域委員会メンバーからの陳情に対して初期段階では前向きな回答を行い、一部については解決に乗り出した行政当局も、地域委員会からの継続した陳情の圧力が無くなると、対応を怠るようになり、その結果、地域委員会の活動により速効性のある結果が見えなくなると、活動そのものが停滞するという悪循環に陥った。」

「今後、改めて地域委員会の活動を活性化させることを狙って、INSANは年内に5回ほど地域委員会メンバーに対するアドボカシー研修を実施し、陳情などで行政当局との効果的なコミュニケーションの取り方などを講習する予定である。これら活動の結果を見ながら、INSANは地域委員会を再活性化させようと考えている。」

これらの報告から、イラクの政治状況ゆえに地域の委員会活動がなかなか進まない状況がありながらも、そのような中でてこ入れを続けるローカルNGOの努力もかいま見えます。

クルド地区の旗と政党名の表示クルド地区の旗と政党名の表示

その他NGOとの面談も含め情報収集を通しての雑感(JVC原)

スレイマニヤおよびアルビルで、INSAN以外のNGOにも面会の機会を持ち、キルク−クおよび周辺地域の状況およびこれらの地域でのNGOの活動状況についての知見を広げることができています。

・政治的な問題であり、報道でも盛んに取り上げられるクルド人/アラブ人/トルコメン人/アッシリア人の間の民族対立や石油の利権を巡る対立について、多くのNGOが、それらの問題は権力を持つ政治家や地域のボスの間の利害関係を巡る問題であって、もともとはキルク−クに住む住民の間の問題ではないことを強調していました。

・ローカルNGOの多くは、緊急時には最も影響を受けやすく、なおかつ保護を必要とする避難民など脆弱性の高い人々への直接支援を行い、平常時には、経済的弱者に対する収入創出などの支援を行いながら、地域社会の経済的、社会的な安定を目指した支援を行っています。

・NGOは、地域の人々と協力しながらのこのような支援により地域社会が安定すれば、政治家やその他の権力を持つ者などの外部からの揺さぶりに対して地域の人々が連帯して抵抗する力がつくと信じています。


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