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ワン切り携帯電話の発信元は...(2)

イラク事業担当 原 文次郎
2004年9月 9日 更新

Aさんの住んでいるキャンプは国境地域の地名(Karama)を取ってキャンプKと呼ばれている。このキャンプKと、ヨルダン側にかろうじて入国が許された者を収容するキャンプA、Bが設けられたのは、2003年のイラク戦争直前のことだ。それから一年半が経つ。キャンプBは閉鎖されたが、未だにヨルダン側のキャンプAにはパレスチナ人を中心とする165名が、国境線のイラク側で緩衝地帯とか無人地帯(No Man's Land)と呼ばれる地域にあるキャンプKにはイラン系クルド人を中心に1135名がテント暮らしを余儀なくされている。(数字は8月9日現在。UNHCR調べ。)

ちなみに私はこの無人地帯という言葉がどうしても好きになれない。原理的には人が存在しないはずの地域と言う意味なのだろうが、現実にちゃんと人が居て生活を余儀なくされているのだから。

JVCはこのキャンプに昨年から子どものためのプロジェクトとして、図書を寄贈したり、ボランティアを送り込んでワークショップを催したりしていた。そのこともあって、8月中旬にこれらの活動のその後をモニターするとの名目でキャンプを訪れることが出来た。その際にキャンプKで会ったのがAさんだった。

7月には、コーラを買うための小銭を得ようとキャンプを抜け出し、幹線道路を走る車に向かって物売りをしようとした少年、12歳のマスード君がトラックにはねられて亡くなっている。そのご遺族の一家を訪問して、話を伺っていたところ、このAさんもやって来て、自分たちの窮状を訴え始めた。イランでは少数派の宗派アル・ハックの信仰を持つため異端であるとして迫害を受け、イラクへ逃げて来たこと。そのイラクも安住の地になり得ず、イラク戦争後にイラク人から迫害を受ける恐れがあってヨルダンに助けを求めて出て来ようとしたことなど、切々と訴えられた。

彼らの様に難民として認められても、現実には受け入れようという国がないことには、行き場がなく、その場に留まらざるを得なくなるので、政治的な解決を待つしかない。私が話しを聞いても、すぐに彼らの将来を決めるための役に立てないのがつらいところだ。

しかし、そうしている間にも、現に灼熱の砂漠の中での彼らのテント生活は1年以上も続いている。そして、その彼らはすくなくともその存在を忘れられては困ると訴えている。忘れられては困るから、記念の証にと、少年を亡くした一家の父親は、私たちに一本のボールペンをくれた。お返しにあげるものが何もなく、たまたま私が粗末な景品のペンを持っていたので、それをあげた縁でボールペンを私が持つことになった。景品のペンが立派なペンに化けてしまった。もらったペンは書き味が良いので重宝しているのだが、それを見るたびに切なくなる。忘れないよと声を掛けるのだが、では代わりに何が出来るのかと考えると気が重くなる。

ヨルダンの携帯電話は前払い式なので、毎月の手数料はかからない。それでも電話代は大金なので、かけ直して欲しかったという。これがワン切りの原因だった。

亡くなったマスード君の妹、シュロングちゃん(2歳)亡くなったマスード君の妹、シュロングちゃん(2歳)
Aさんの窮状を訴える手書きの英文文書と貰ったボールペンAさんの窮状を訴える手書きの英文文書と貰ったボールペン

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