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クリス

中東 パレスチナ最新情報 中東担当 佐藤 真紀 佐藤 真紀 佐藤 真紀
2003年8月26日 更新

私が彼に始めて会ったのは、2002年10月30日のことだった。戦争が始まるかもしれないし、回避できるかもしれない。そんな時期に私はイラク国内で人道支援を行っている国連やNGOを調査していた。

UNICEFのクリス氏はそのときはさほど忙しくなかったらしく、突然の訪問に快く応じてくれた。金髪の青年と一時間は話し込んでしまった。どのようにサダム政権下で活動すべきか。戦争は起るのか、起らないのか。
UNICEFは、経済制裁がいかに子どもたちを苦しめてきたかを訴え続けていた。
「ならば、なぜ、経済制裁そのものを廃止するように言わないのです?」
私の問いに、クリス氏は
「私たちは国連です。NYで制裁委員会に現状を訴えるしかない。しかし、現場からの情報は状況を改善すると信じている」

国連といえば、査察団とイラク政府が対立し続けてきたイメージが強かったが、その一方でUNICEFはイラク政府と組んで、人道支援の重要な部分を担ってきた。イラク政府との関係でなかなかNGOが活動できない中で、頼もしくも思えた。

JVCは1991年湾岸戦争後の緊急救援を行っており、その年の10月にはUNICEFの協力を得て塩素剤をイラク国内に運び込んだ。
それからしばらくして、JVCはイラクでの活動から離れていった。NGOは資金がなければ続かない。比べてみてやはり継続してかかわることは大切だ。そこからみえてくるものがある。立場は違えども、クリス氏には励まされた。

2度目にクリス氏に会ったのは、6月の終わりだった。社民党の議員の方に同席してのインタビューだった。直前にCPAを訪問して、
「治安はものすごく良くなっている。アメリカ軍のパトロールの成果が出ている。是非、日本の自衛隊も復興に参加して欲しい」
との話を聞いた後だったが、クリス氏は
「治安?どんどん悪くなっている。ここ数日で2箇所で国連スタッフの車が襲われているんだ」
と全く反対の意見を述べたので驚いた。

7月に入って3度目にあったときは、クリス氏も忙しそうだった。多くの国際NGOが復興でUNICEFと仕事を開始し、雰囲気も戦前とはずいぶんと異なっていた。
私は、UNICEFが約束しながらも一行に補修が進まないシンドバッド子どもクラブ(児童館)を早く何とかしてくれるように訴えた。最初米軍が直すと約束したが、UNICEFがやってきて自分たちがやると主張したという。
クラブが再開されないので、未だに盗賊が入ってくる。守衛のアリさんの息子は、クラブを守っていたが、盗賊に殴られて死んでしまった。もし、子どもクラブが再開していたら、盗賊も入りにくい環境ができていただろう。クリス氏は「我々が責任を持って補修を行う」と約束してくれた。

8月20日、バクダッドの原から連絡が入った。バグダッドの国連本部が爆破され、死亡者リストの中にクリス氏の名前があったという。
享年32歳。クリストファー・クライン・ビークマン氏は瓦礫の下で息絶えた。残念だ。謹んでご冥福をお祈りする。

再会を約束して彼が書いてくれた電話番号再会を約束して彼が書いてくれた電話番号

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