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イラク国内状況(5月31日〜6月13日)

イラク事業担当 原 文次郎
2010年7月21日 更新

政治状況

1.6月1日。イラク最高裁判所が議会選挙結果を最終承認

イラク最高裁判所が3月に行われた議会選挙の結果を最終承認した。これを受け、15日以内に新大統領(クルド人の現大統領のタラバーニ氏が続投予定)が選挙結果を反映した新しい議席構成での議会を招集し、議会の最大会派が首相を選出し組閣を行う予定。単独過半数を獲得した会派がない中で、会派連合の組み方次第で「最大会派」の解釈がいくらでも変わるので、今後も首相選出まで難航する見込み。[1]

2.6月5日。議員候補者の殺害

モスル市郊外で議会第一党のイラキーヤ所属の候補者(当選者ではないようであるが)が殺害される事件があり、イラキーヤ所属議員および候補者の殺害では3件目になったと報道されている。

3.6月6日。イラク周辺各国のイラク政治への影響力の行使

イラク駐留米軍の削減により、相対的に米国のイラクに対する関与が低下する一方で、イランやサウジアラビアなどの周辺国が、それぞれの国益に沿って自国に有利なイラク国内の政治勢力を支援することにより、今後イラク政治への影響力を強める恐れがあるとの記事があり、興味深いところ。[2]

4.6月10日。シーア派大連合「国民同盟」の結成

3月の議会選挙後長期化している次期政権樹立を巡る各党の合従連衡の話し合いが長期化している。選挙の最終結果は6月1日に最高裁判所が公式に承認したが、その後も話し合いに目立った進展はない。そのような中、6月10にマリキ首相率いる第二党の「法治国家連合」(State of Law)とサドル派を含む第三党の「イラク国民同盟」(Iraqi National Alliance)が手を組むことが発表された。[3]

*新たな大連合は「国民同盟」(National Alliance)を名乗り、議会内多数派を制することで、次期首相指名の権利を主張するが、肝心の首相候補の一本化には至っていない。権力を取るためのご都合主義的な連合であることが否めず、また当然ながらこのシーア派大連合に対して、選挙結果では僅差で第一党の「イラク国民運動」(Al-Iraqiya=Iraq National Movement)およびその主な支持母体となるスンニ派の人々、あるいは世俗派を志向する人々からは反発が出ている。その後、6月12日にはイラキーヤを率いるアラーウィー氏とマリキ首相の2者の直接会談も開かれたが、互いの譲歩も含めて政治的に意味のある進捗は見られていない。

治安状況

1.6月5、6日。爆破事件が連続的に発生

イラク警察を狙ったと思われる爆破事件も引き続き発生しており、死者、負傷者の数は数名と規模は小さいものの、バグダード近郊で5日、6日と連日の発生が報道されている。

2.6月6日。イラク政府が覚醒委員会メンバーの銃の使用許可期限の延長を拒否

ディヤラ県の覚醒委員会メンバーに与えられていた銃の使用許可の期限が切れたところで、イラク政府の治安当局が、延長を認めず、覚醒委員会は正規軍でないとして、民間人への銃の使用許可を認めないとする方針を取ったことから覚醒委員会が猛反発しており、今後イラク政府の治安部隊への協力を拒否するとしている。2007年以降の治安改善に貢献した重要な要素として、覚醒委員会による自警団的な治安維持機能が整備されたことが上げられる。覚醒委員会の正規軍への組み込みが進んでいない一方で、このような措置によって覚醒委員会が治安部隊に反旗を翻した場合には、今後治安が悪化することが懸念される。[4]

3.6月13日。イラク中央銀行を狙った襲撃事件

バグダードのイラク中央銀行を狙った襲撃事件が発生。治安部隊と撃ち合いになり、15名の犠牲者を出した。(後にアルカイダ系組織の「イラクイスラーム国」が犯行声明を出しているが、正否は不明)[5]

*貴金属店の襲撃や銀行襲撃などもここのところ断続的に発生しており、一般市民を無差別に殺傷し政治的な効果を狙ったいわゆるテロ事件や、治安部隊を狙った襲撃事件、あるいは特定政党からの議員立候補者を狙った襲撃事件とは手口や目的を異にしている。武装組織が資金確保を狙った事件か、あるいはそこまで犯行組織を特定できなくても、相変わらず一般治安が悪い中で、金品を狙った一般犯罪が減っていないとも言える。

参考記事はこちら


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