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植林キャンペーン、成し遂げた成果と積み残した課題

CLEAN 環境教育担当 樋口 正康
2011年7月26日 更新

近年、大規模な農地開発や過度や森林の利用によって、JVC活動地でも人々が生活のために必要な森林が減少しています。地域の人びともこうした状況に危機感を募らせていますが、「どうやってこの問題に取り組めばよいのか分からない」、「一人では始められない」と言った声が聞かれていました。そこで、JVCでは、昨年度より学校、地域住民、地元行政機関の協力を得て、植林キャンペーンを実施しています。

苗木を植える先生と生徒苗木を植える先生と生徒

植林キャンペーンについて

キャンペーンで挨拶をする現地代表の若杉キャンペーンで挨拶をする現地代表の若杉

今回、植林キャンペーンの舞台となったのは、JVCの活動地であるシェムリアップ県ソトニコム郡ダプカ村です。アンコールワットで有名なシェムリアップから車で1時間半ほどのところです。植林キャンペーンでは、村内の道路沿いなどに児童と地域の人びとが植林を行います。地域の人々が木を植え、活用できる自然資源が増やすことは、将来への大切な投資であるといえます。また、木が増えることで温暖化の原因となる二酸化炭素を吸収したり、蒸散作用によって木の葉が水分を空気中に放つことで、空気が冷やされたりと、地球温暖化対策にもつながります。そして何よりも、道路に木陰ができることで、毎日、炎天下を徒歩で登校する子どもたちが涼む場所を提供することができます。

植林祭でキャンペーンを盛り上げる

植林キャンペーンでは参加者が村内に植林をするだけではなく、環境への意識を高めることを目的に、前日に「植林祭」を実施しています。今年は、ダプカ村から近いタヤエク小学校を会場に植林祭を実施しました。植林祭では、環境に関するクイズ大会、木の大切さをうたう演劇、伝統舞踊、絵画コーナーなどを取り入れ、子どもや参加した住民が楽しみながら環境について関心を持つことができるイベントとなりました。

前回の現地便りで紹介したバイコムプルーン小学校生徒による演劇は特に好評で、台詞にアドリブを入れたり、木の役を演じる子どもたちが枝を持って自らを木に見立てたり、見ている観客は大喜びでした。ジィー・ジェ君の演技もさらに工夫が凝らされており、当日は救急箱をどこからか持ってきて、小道具として利用していました。初めての演技で緊張しているのではないかと思いましたが、とても落ち着いて演じる姿が印象的で、何度も練習してきたことが容易に想像でき、大変感激しました。その感激の瞬間が、今でも心に残っています。

 多くの人が見守る「木の大切さをうたう演劇」 多くの人が見守る「木の大切さをうたう演劇」

地域に根付く活動をめざして

昨年度の植林キャンペーンは、小学校の協力を得ながら、JVCが主に企画、運営を行いました。その結果、参加者の多くは小学校の児童で、全体的に地域の人々の参加があまり多くありませんでした。しかし、植林した樹木の管理は近隣の住民が行い、将来的にわたって持続的にこれらの自然資源を利用していくことになります。そのため、植林活動への住民のかかわりは極めて重要です。そこで、今年度の植林キャンペーンは、どれだけ地域の人びとの参加を得ることができるか、言い換れば、どうやって住民の主体性の確保できるのか、を意識しながら準備を進めました。

植林キャンペーンに参加したダプカ村の人々植林キャンペーンに参加したダプカ村の人々

今年度は、地域住民、郡役場のスタッフ、村長などに準備の段階から参加してもらいました。そして、当日の運営にも積極的に関わってもらいました。始めてキャンペーンの運営に関わる人が多かったことから、今年もJVCが大きな役割を担ったことは否めませんが、昨年よりも地域の人びとの「参加」の度合いが高まり、随所にそれらの人々のアイデアを取り入れながら準備を進め、多くの地域住民の参加を得ることができました。

木を植える子どもたち木を植える子どもたち

その結果、植林当日は、小学校の児童以外に村の住民が150人ほど参加し、子どもたちと一緒に植林を行いました。今回の植林キャンペーンでは、300本を植えましたが、これらの木が無事大きく育ち、村に緑が増えることが、村の人にとっては大きな成果となります。これまでの話し合いで、木の世話を村人が交代で行うことを決めましたが、植えて終わりではなく、これからしっかりと木の成長を見守っていくことが大切です。そこで、村の人びとの植林に対する想いが現れるのではないかと思います。

木を植えるおばあさん木を植えるおばあさん

植林キャンペーンの課題

学校で菓子などを販売する店。カンボジアでは一般的。学校で菓子などを販売する店。カンボジアでは一般的。

その一方で、環境に配慮するという点で、とても残念なことがありました。それは、植林キャンペーンの後に残されたゴミです。参加者が去ったあとのイベント会場では、ペットボトル、アイスクリームが入っていたプラステック容器などが散乱していました。木を植えて環境問題に取り組む一方で、ゴミをまき散らしてしまったわけです。カンボジアでは、人が集まる場所に近隣の村の人などが屋台を出すのが一般的ですが、植林キャンペーンで人が集まると見込んだアイスクリーム屋が会場でアイスを販売していました。

そして、子どもたちがそれを食べて、プラスティック製のコップやスプーンを地面に捨てていたのです。最終的には、みんなでゴミをきれいに片付けましたが、「木を植えながらも、ゴミを増やす」という矛盾が生じてしまいました。ゴミ問題については事前に協議していましたが、それは私たちが持ち込んだゴミについてであって、アイスクリーム屋がアイスクリーム容器など(ゴミ)を持ってくるとは想定外でした。どこまで環境に配慮にこだわるのかという点で、大きな課題となりました。

環境教育で設置したゴミ箱。徐々に根付き始めている。環境教育で設置したゴミ箱。徐々に根付き始めている。

今後に向けて

ゴミのポイ捨てが当たり前のカンボジアでは、ゴミ箱を利用するという習慣があまりありません。日本人である私からすると、習慣の違いに驚かされますが、どうやって異なる視点を同じベクトルへと向けていくのか、これがプロジェクトマネージャーとしての腕の見せ所であり、JVCの存在意義も問われるところではないかと思います。しかし、それは決して外部の人間が強制することではなく、ゴミを出さないようにすることやゴミ箱に捨てることが重要であるとカンボジアの人びとが感じられるようになることが大切ではないかと思います。

ゴミの問題に象徴されるように、外部者である私たちでなければ気がつかない部分も多くあります。しかしその一方で、植林祭や植林キャンペーンを学校や地域の人びとでつくる運営委員会が主体となって企画、運営し、地域の人々の参加の度合いを高めなければ、継続性を確保するのは難しいと言えます。こうした学びを次回の植林キャンペーンへとつなげていくことが大切ですが、外部者としてどこまで入るのか、そして、どこまで現地の人々に任せるのか。悩む日々は続く。

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