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女性地域保健員のインタビュー報告

JVCアフガニスタン事業担当補佐 谷山 由子
2006年12月15日 更新

お産婆さんが地域保健員になる話はききますが、地域保健員がお産婆さんになる話はあまりきいたことがありません 

昨年から今年にかけて、JVCがシェワ郡の6つの村で養成した地域保健員(以下、CHW:Community Health Worker)は、28人(女性14人、男性14人)。それぞれが自分の村で家庭訪問をして村人の健康状態を聞いたり、けが人や病人への応急処置をしたりしています。
 医療サービスを提供する施設や医療従事者が不足しているアフガンの農村部では、こういった村の保健員さんたちの存在はこれからますます重要視されていくと思われます。 
 その中でも女性のCHWは、妊産婦の出産前後のケアや安全な出産介助といったお産婆さんとしての役割も期待されています。
 さて、村の中でも活発で人のために日頃から働いてくれているというので選ばれた保健員さんが、約3ヶ月の研修でお産婆さんと同じように出産介助ができるのでしょうか。

女性CHWのトレーニング風景女性CHWのトレーニング風景

「熱が高いかどうか、まず触診をしてみましょう。」左がCHW トレーナーのファティマさん。
 12月5日、CHWトレーナー(女性)のファティマさんと一緒にその辺りのことを調べるため、対象地のひとつバル・カシコート村を訪問してみました。
 JVCが現地事務所を置くジャララバード市から車で約1時間20分の場所に、このバル・カシコート村があります。ここには女性2人男性2人計4人のCHWが活動しています。
 さっそく訪れたのは、産婆として村で活躍していたことが評価され保健員に推薦されたカダルビビさん(50歳代)。私は今までに何件も産婆さんの家を訪問したことがありますが、その間に一番先に見るようになったのは掃除が行き届いているかという点と庭に何かが植えられているかの2点。彼女の家はその両方が揃っていました。居間に通されさっそくいくつかの質問をしてみると、彼女は無駄なおしゃべりもせず的確に要点を話してくれました。
 
質問事項は次の13点です。
1. 最近いつ頃出産介助をしましたか。
2. 出産介助の際、どのような危険な症状が見られたとき病院やクリニックに移送しましたか。
3. 何でへその緒を切りますか。
4. へその緒を切った後、どう処置しますか。
5. 今まで出産介助時に伝統薬など使ったことがありますか。どういった場合ですか。
6. 今まで出産介助時に医薬品を使ったことがありますか。どういった場合ですか。
7. 正常な出産後に医療施設に移送したことがありますか。いつですか。
8. 出産後の母親にどういった助言をしましたか。
9. 流産を危険な状態でした女性あるいは十分な処置がされていない症例をみたことがありますか。
10.今までに母子保健に関するトレーニングを受けたことがありますか。
11.今までに看護師や助産師に出産介助に関する相談をしたことがありますか。いつですか。
12.新生児および産婦の死亡件数を記録していますか。
13.出生後、新生児の体重を測定していますか。

この答えを聞くなかで何回もうなずくことがあったのですが、その中で特に感心したのは、次の答えでした。
1.先月は10件介助しました。今月も昨日と先週、1件ずつ介助しました。
2.ある時赤ちゃんが足からでてきたので、どうしたものか、もう夜でクリニックには医者もいないし町まで運ぼうと思っても車もないしと思案した末自分がやるしかないと思い、赤ちゃんの顔をさぐり試しにあごを引かせてみました。すると難なくでてきたのです。ああ、こうやればいいんだとその時わかりました。
 それから別の話ですが、出産後いつまでも出血が止まらない産婦を病院に移送したときのこと、男性の医者がでてきて付き添ってきた自分を部屋の外に追いやりその産婦をよく看もせず点滴をするだけで他に何もしてくれませんでした。
 中で産婦が泣いているので何とか部屋にいれてもらい、お腹をマッサージしてやると体内に残っていた胎盤がでてきてその後出血はおさまったのです。
 男の医者なんて何もわかっていないんだなと、その時思いました。
10.トレーニングは受けたことがありません。何回も介助をしているうちに経験を重ね、学んできました。
 その積み重ねの上に今回(CHW)のトレーニングを受け安全な出産介助のことも知ることができ、とても勉強になりました。
 今までやってきたことを確認したり、改めたりする機会になりました。
11.クリニックに行ってある薬を妊婦にあげていいかと聞きに行ったのですが、あまり真剣にきいてもらえませんでした(報告者註:クリニックとCHWの連携強化は、現在の課題です)。
こんな活発なCHWがいる村なら、女性たちも安心して出産することができるでしょう。

次に訪問したのはカダルビビさんの家から車で5分くらい移動した別の地区のCHWラールバーナさん(40歳代後半)の家です。
 彼女はカダルビビさんに比べるとそう活発ではなく、ファティマさんに言わせると“並”のCHWで、出産介助の経験は少なく産婆とは呼ばれていないということでした。彼女の家は、アフガンの村では珍しく塀がなく村道からいきなり家の前に辿りついたのでどこからどこが彼女の家の敷地なのかわからず掃除のあとをみることもないまま、部屋に通されました。中に入るとすぐに世間話が始まりました。賑やかな性格のようです。出産介助の質問を始めると、「実は私もいま妊娠6ヶ月なの」と言い出しました。
 「息子が3人娘が5人いてもう子どもはいらないんだけどねえ」。それを聞いたファティマさんが小声で「ファミリー・プランニングのお手本にならないわね」と皮肉をちらり。その後でカダルビビさんと同様の質問をしてみました。
 すると、いくつかおもしろい答えが返ってきました。
2.発熱でも出血でもとにかく自分がよくわからない症状がみえたら、すぐに妊婦を移送することにしています。
4.よく昔の人は、へその切り口にソルマと言って目の薬として使われる黒い粉を塗りつけたり、髪の毛をこすりつけたりしたらしいけど、今はしません。ちゃんと配られたキットの中にある消毒薬を使って処置しています。
5.出産の兆候が始まったらとにかく暖める。暖かい牛乳を飲ませるとか、たくさん服を着させるとかして暖めるんです。そうすると、出産が早くなるんです。あと、産後に胎盤がなかなか出ないときは、卵の黄身を食べさせます。
 そうすると気持ち悪がって嗚咽が起きるので、その動きが腹部を刺激し胎盤の出を良くします。
10.パキスタンのアゴラ難民キャンプに居たとき、母子保健のための健康教育を週一回受けたことがあります。
これらの答えを聞く中で、「正常な出産ならなんとか介助するけれど、なるべくなら出産介助はかかわりたくない」というニュアンスが伝わってきました。

CHWの話から少し離れますが、2年近く伝統産婆の支援活動に関わった経験から、産婆さんは技術や知識だけでは続かず、やはりこの仕事を自分が担うんだという意志と責任感がある人でないとできないと思うようになりました。
 そしてその雰囲気や評判はお母さんたちにも伝わるので、この人に介助してもらいたいと信頼されるようになって一人前の産婆さんが生まれる、あるいは育っていくようです。
 ですから、CHWの研修を受けたからといってすぐにその人が産婆さんと同じ事がやれるかといったら、それはノーなのです。

これからの私たちの課題は、もともと産婆さんではなかったCHWが、地元にいると考えられる隠れた産婆さんたち、あるいは産婆さんの卵とこれからどう協力し、安全な出産介助を担うことができるかということにあるようです。
 女性のCHWの養成のあとはお産婆さんの卵探し、そしてその両者をつなぐ橋渡し役がJVCに期待されるようになるのでしょう。
 


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