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アフガン短信:ジャララバードでのデモ

JVCアフガニスタン現地代表 谷山 博史
2005年5月26日 更新

5月11日、私はその日に予定されていた連合軍とNGOの調整会議に参加するために、早朝6時にジャララバードを発ちカブールに向かいました。前夜に受信したANSO(Afghanistan NGO Security Organization)の治安情報で、この日ナンガルハル大学の学生がイスラムへの冒涜を糾弾するデモを計画していることは知っていましたが、国際援助機関を襲撃する暴力的なデモに発展するとは予想だにしませんでした。

第一報は、午前10時14分ごろドライバーのサビウラの家族から入りましたが、それは米軍は2〜300人のアフガン人に発砲したという曖昧なものでした。続いてすぐ、ジャララバードに残っているJVCスタッフの本間から、ANSOがデモを警戒してジャララバード市をホワイト・シティー、つまり厳重警戒状態にしたので外での仕事はやめ事務所待機にした、と伝えてきました。続いて20分後、同じく本間からデモ隊が一部暴徒化し、パキスタン領事館に火を放ちJVCの事務所のある方向に向っているので事務所を閉鎖し急遽現地スタッフの家に避難したという連絡を受けました。

連合軍とのミーティングが終わり宿舎に帰った3時頃までには、国連や県知事事務所など何箇所かの事務所に火が放たれた他、4人の死者を含む多くの死傷者が出ているという情報が入ってきていました。4時時点での本間との連絡では、ANSOから外国人避難用のフライトを用意したという連絡をうけ、JVCがカブールに退避するかどうかを早急に決めなければならないということでした。一旦電話を切り、カブールに退避するかどうかの最終判断をするために、ジャララ在住の外国NGOや国連関係者に連絡を取り、多くの外国人が緊急退避用のフライトを利用することを確認して、JVCの日本人スタッフの退避を決定しました。本間と谷山由子は、午後6時半にカブール空港に国連機で到着しました。

ジャララバードでの事件の様子がわかるにつれて、一方でグアンタナモでの事件をきっかけに反米感情が噴出したという経緯を理解することができましたが、他方で国連機関のほぼすべての事務所とスタッフハウス、外国NGOやNGOの連合体であるACBARの事務所までが襲われたことに驚きと奇異の念を感じざるを得ませんでした。

米軍への悪感情は、米軍による度重なる誤爆、誤射事件と被害にあった人々への冷淡な対応が大きな原因になっていることは明らかです。この3週間だけでも、大きな誤爆、誤射事件が3件起こっています。

4月26日、ナンガルハル県ホギャニ郡で米軍がバン型のタクシーに発砲し乗客3名が被弾、ヘリコプターでバクラム米軍基地にある病院に搬送されるという事件が起こりました。被害者の一人がたまたまJVCスタッフのハヤトラ医師の母親であったことから私はこの事件に深く関わり、5月11日の連合軍との会議でも取り上げました(これについては、米軍占領下のアフガンの実態が如実に表れているので次回のアフガン短信で報告します)。

4月30日にはアフガン南部ウルズガン県で米軍の空爆によって民家が破壊され子ども2人女性1人を含む7名が死亡しました。5月9日には東部ラグマン県アリシャン郡で米軍の空爆によって民間人少なくとも8名が死亡、10名が負傷しました。

ちょうどラグマン県での誤爆事件のあった時期、カルザイ大統領は米軍の恒久的駐留を含む戦略的パートナーシップについて民意の合意を取り付けるべく、憲法制定ロヤ・ジルガを召集していました。国会が9月に予定されている選挙で設立される以前に決定するための措置でした。今回のデモでは、米軍への反発がアメリカとの戦略的パートナーシップへの反発と結びついていたかどうかは定かではありませんが、アフガニスタンでの米軍駐留の半永久化がアフガニスタンにどのような将来をもたらすかは、米軍による誤爆、超法規的な逮捕、監獄での非人間的な囚人の扱いなどの情報に日々接しているアフガン人には見えてきているのです。

一方で米軍とは関係のない国連や国際NGOが襲撃のターゲットになったことをどう理解すればいいのか。これについてはジャララバードに戻ってもっと情報を集めて分析する必要があります。ただ既に一部NGO関係者がいうように、デモは学生の自主的なデモというようなものではなく、かなり計画され、統制されたものだという印象をうけます。なぜならUNCEF、UNDP、UNHCR、UNAMAなどすべての国連機関の事務所とゲストハウスの所在が的確に把握されていたこと、国際NGOは複数襲われているが、アフガン現地NGOは襲われていないこと、また教育局の副局長が中学や高校の生徒を動員していたこと、デモがカルザイ大統領のヨーロッパ訪問中の時期にあたっていたことなどの事情があるからです。

同時に、NGOが狙われた背景には、アフガン社会に広がっているNGOへの不信と反感があることは看過すべきではないことも確かです。NGOは盗人である、アフガニスタンへの援助資金をNGOは懐に入れて潤っている、という批判がアフガニスタンには根深くあって、政府はこうした不満と糾弾にこたえるべく、NGOを厳しく規制する新たなNGO法を作っています。この法律では、NGOは一切建設事業には算入させないというほど極端なものになる可能性があります。NGOを糾弾、告発することが株を上げる手段になっているのです。そして間もなく国会選挙が始まります。今回の事件がどのような影響を及ばすのかまだ予断を許しませんが、NGOにとってもアフガニスタンの人々にとっても、不幸で困難な時期を迎えることを覚悟しないわけにはいかないでしょう。


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