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アフガニスタン大統領選挙 -アフガン人の本気、国際社会の茶番- (4)

JVCアフガニスタン現地代表 谷山 博史
2004年12月 2日 更新

4. 選挙の結果が与える影響

今回の選挙はカルザイの圧勝と言われているがメディアが伝えるこの言い振りに私は違和感を覚える。開票率3%の時点で「カルザイ圧勝の勢い」という文言がマスコミの紙面に踊っていた。そして投票集計はカルザイが確実に支持を固めたと思われる地域から行われた。カルザイは60%の得票率をゆうに越えると考えられた。しかし結果は55.4%であった。わたしは本来ならカルザイ支持に廻っていたかもしれない非パシュトゥーン人の票が、アメリカ大使のカルリザッドの露骨な選挙工作によって反カルザイ票に流れた可能性があると考える。カルリザットは新政府のポストを餌に立候補者の買収を行っていたことが数々の証言で明らかになっている。

同時にカルザイによるタリバン工作も非パシュトゥーン人の反発を招いた可能性がある。カルザイは南部、南東部でタリバンに近い関係にある有力者を陣営に引き入れるために工作員を派遣している(治安事件が比較的少なかった事実とも関係がありそうである)。不思議なことに、選挙結果が出る前にカルザイのスポークスマンが新政権はタリバンとは交渉しないと発表した。これはカルザイ新政権がパシュトゥーンよりの政府になるという懸念を払拭するために発せられたメッセージなのではないかと考えられる。

民族の分断

選挙結果はパシュトゥーン人地域はカルザイ、タジク人地域はカヌーニ、ハザラ人地域はモハキークに、ウズベク人地域はドスタムにというように民族の分断線にそって色分けされてしまった。それはある程度予想されていたことである。しかし、カルザイがいかに民族統一政府を強調しても、非パシュトゥーン人の間にはカルザイはパシュトゥーンの大統領だという受け止め方があることは認識しておく必要がある。パシュトゥーンの知り合いになぜカルザイを押すのかと聞くと2つ目か3つ目の返事に必ずカルザイは他民族を差別しないからアフガン人の連帯を実現できるという答えが返ってくる。パシュトゥーンから見たカルザイと他民族の見たカルザイは違って見えるのである。アメリカをはじめとした国際社会がこうした民族間の軋轢を助長しないよう細心の注意を払う必要がある。

選挙プロセスを振り返って今後一番懸念されることは、議会選挙への影響である。その第一にあげられるのは立候補資格の認定の問題である。選挙法の規定では、非公式の武装勢力を擁する者、それに所属するものの立候補を禁止している。しかしカルザイ政権下の選挙委員会は、タジク人武装勢力(イスラム運動)の棟梁ドスタムとハザラ人武装勢力の領袖モハキークの立候補資格を認めてしまった。8月2日に締め切られた選挙プロセスに対する不服申し立てでクレームが一番多かったのはこの件についてであった。カルザイによる政治的妥協の結果だと言われている。

国会議員選挙や地方議会選挙でも地方の武装勢力のボスは武装勢力と縁を切ったと自己申告すれば立候補できる理屈がとってしまう。国会下院選挙、上院議員を推薦する県・郡の選挙委員会、県・郡議会議員の選挙は大統領選挙とは比較にならないほど地方における利害対立が反映する。脅迫、買収、粛清が私たちの見えないところで横行するであろう。しかも武装解除が来年4月までに急進展する見込みもなければ、ISAF(国際治安維持部隊)が増員される可能性も期待できない。これまでの茶番の付けが議会選挙でもっとも深刻な形であらわれるであろう。

そもそも議会選挙が予定通り行われる見通しはない。延期されることになると断言できる。いや大統領選挙の検証と対策が講じられるまで選挙を強行すべきではない。今現在議会選挙までにしなければならないことがなにもできていない。例えば県、郡の境界の確定と各選挙区の人口推計。これができなければ国会、県議会、郡議会の定員を確定することはできない。境界の確定自体が極めて政治的な問題でこれまでも地方ボスの衝突の原因になってきた。

さらにJEMBの計画では立候補者の資格認定を1週間で行うことになっているが、これも非現実的な計画に思われる。1,000人以上の立候補者の認定作業である。大統領選挙とは分けが違う。そして大統領選挙で行われた選挙人登録がそのまま議会選挙にも使われるとしたらどんなことが起こるか。重複登録した人間の票を利用して一番利益を得るのは、大統領選の立候補者というより数百数千票の差で当選できる地方のボスなのである。


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