日本の被災地の子どもたちのために描いたメッセージ付きの絵を届けてほしいというパレスチナ・ガザ地区の学校の要望があり、これまでJVCはそれを受け渡す先や機会をうかがっていました。今回JVCの活動する鹿折地区にある浦島小学校の校長先生からの要請があり、その絵を生徒たちに渡すだけでなく、それを使って国際理解の授業を行ってほしいということで、パレスチナに駐在していた私津高が現地に行きました。
みぞれ降る朝
23日、気仙沼事務所で朝目覚めると外はみぞれが降っていました。寒いですが、これでもこれまでの雪を溶かして行くほど温かくなってきていることも実感します。車で小学校のある地区まで向かい、途中寄り道をしながら現地の状況を視察しました。まだ津波に打ち上げられた船なども点在し、傷跡は癒えていないことが感じられます。
浦島小学校での国際理解の出前授業
小学校に着き、校長先生との打ち合わせを終えてから、子どもたちと給食をご一緒させていただきました。浦島小学校の全校生徒はなんと12人!給食も校長先生や教頭先生を含め全員で一緒の教室で食べられるほど。学校自体がひとつの家族みたいでした。家が津波に流されて仮設住宅に住んでいたり、それぞれに大変な経験をしてきた子どもたちですが、元気いっぱいに給食を食べる姿には勇気づけられました。
さて、お腹もいっぱいになり、掃除も済んでから、授業の開始です。パレスチナの場所や背景を簡単に説明してから、「イスラエルとパレスチナ、一緒に生きていくためにはどうしたらいい?」という問題を生徒たちに投げかけ、答えを紙に書いてもらいました。
「両方がいっぺんにあやまる」
「兵隊はいらない」
「他のことで決める(じゃんけんなど)」
「イスラエルとパレスチナのいっしょの文化をつくってみる」
「いっしょにいる時間をつくる」
「イスラエルとパレスチナがプレゼントをこうかんしあう」
などなど、たくさんのいいアイディアが出てきました。こんな小さな子どもたちの中にもこんなにたくさんの仲直りの方法があるのに、それでも解決できないイスラエルとパレスチナの問題。現実の難しさや厳しさを教えなければいけないのは悲しいことです。
確かにまだまだ解決は見えませんが、そんな紛争下に生きる子どもたちが被災地の子どもたちのために一生懸命描いてくれた絵は、ついに彼らの目に届き、そして心にもきっと届いたことでしょう。自分が辛い時こそ他人を思いやる。そんな子どもたちの交流は、とても重要なことを私たち大人にも教えてくれます。
授業の後校長先生は言いました。
「これまで自分たちと繋がりのなかった人たちが、これほどまでに自分たちを助けてくれるとは思っていなかった。自分たちが回りの人たちに何もしてこなかったのは本当に恥ずかしいことだと思います。これからの子どもたちには自分より大変な人たちを思いやることの重要性を学んでほしい」
ガザ地区の街かどで、気仙沼の海のほとりで、子どもたちが感じた絆が将来大きな力となって世界の様々な問題を解決していく風になればと思いました。