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日本国内の有機農業運動の実践を学ぶ 2017年度交流プログラム その1

タイ事業担当 下田 寛典
2018年12月25日 更新

昨年に続き、タイで安全な食の提供のため「生産者と消費者を結ぶ活動」を実践するタイ人5名を対象に、2017年10月2日から22日までの日本での交流プログラムを実施した。

今回は以下の3つを学ぶことを目的にした。ひとつは、2016年に訪れた生活クラブ生協の仕組みについて生産から出荷、そして組合員(消費者)に届くまでの一連の流れを学ぶこと。ふたつめは、市民農園の運営方針とそれに参加する利用者の意識の違いについて知り、比較すること。三つめは食とエネルギーを自給する地域循環の取り組みを学ぶことである。

今回の参加者は、持続的農業財団の職員、バンコクで生産者と消費者を結ぶ活動の実践者2名、バンコク近郊で農業を営む若手農家、そしてコンケン県で生産者と消費者を結ぶ活動の実践者1名の5名だ。

タイから5名の参加者タイから5名の参加者

それぞれの目的に分けて報告していきたい。まずは一つ目の目的について。

今回参加者は、座学だけでなく、生活クラブ生協と取引する生産者の現場を訪れたり、全国の生産者から集まる消費材(商品)を各組合員のオーダーごとに振り分けていく配送センター、そして実際に消費材が組合員のもとに届くまでの一連の流れを見て回った。この中で参加者が学んだことは以下のようなことである。

配送センターにて配送センターにて

生活クラブは、生産者と消費者(組合員)の間に入る組織であるが、通常のビジネスにおける仲買人は、生産者からなるべく安く買い取り、消費者に高く売ることでより利潤を得るのが一般的である。しかし、生活クラブの価格設定は、生産者にとっては再生産可能な(次年も作付けが可能な資金繰りを実現できる)価格になるよう、作付け前に生産者・組合員・生活クラブで生産計画を立てるようにしている。その結果、消費者(組合員)にとって高すぎず安すぎず、一般の市場価格に左右されにくい価格を実現している。

奈良県の柿生産者の現場を訪問奈良県の柿生産者の現場を訪問

生活クラブはNPOという組織形態ではなく、また株式会社の形態もとっていないが、実際にはビジネスとして経営を成り立たせながら理念を実現している団体である。今回交流した連合会、配送センター(DC)、生産者、デポー、ワーカーズなど職員の間で理念が十分に共有され、職員が真剣に働いており、それが生活クラブの理念の実現に繋がっているのだと感じられた。

栃木県の生産者組合を訪問栃木県の生産者組合を訪問

生活クラブの組合員(消費者会員)に、福島での原発事故が起こった時に組合員を辞めようとは考えなかったのかを尋ねてみた。

組合員のもとに消費材が届くまでを学ぶ組合員のもとに消費材が届くまでを学ぶ

それに対し、「検査結果を見て検出された放射線物質の数値が基準値より低かったので、生活クラブを信用して組合員を続けた」という回答を得た。組合員を継続した理由は他にもあった。1993年の米騒動の際、日本国内の米が不足し、国産米の値段が高騰した。このとき、「生活クラブの生産者は売ろうと思えばいくらでも高く売れたのに、自分たち組合員が生産予約をしていたお米は、これまでと同じ値段で確保・供給してくれた。生産者は自分たち(組合員)を裏切らなかった。だから自分たちも原発事故のときには生産者をサポートしたいと思った」と話した。生活クラブの組合員と生産者は単なる売買の関係ではなく、互いに支え合い、生活クラブの理念に基づいた社会づくりを実現していく「仲間」になっているのだと感じた。日頃から、食、健康、環境、社会、政策などについての情報を消費材カタログ(商品カタログ)と一緒に配布するなどして啓発し、組合員たちと共に考え活動する基盤を作っていたからなのだと思った。

栃木県での稲刈り体験、生産者と組合員による共同作業栃木県での稲刈り体験、生産者と組合員による共同作業

このように生産者、消費者、そして両者をつなぐ立場の者が互いに依存しあうことなく、それぞれの責任を果たし協力し合う中で、生産者と消費者が対等な立場で結びついた生産と販売のシステムが構築されている。また災害など突発的なことに対しても助け合えるような信頼関係を日常から築き上げてきたことも重要であることを学んだ。

目的の二つ目、三つ目については次のブログで紹介していきます。

本事業は国際交流基金アジアセンターの助成を受けて実施しました。

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