2月23日から25日にかけて行ってきた南タイスタディツアーを通して、考えたこと・感じたことについて書いています。
2.青少年活動について
青少年活動について話を聞いて、考えたこと・感じたことは2つあります。
ひとつは、開発・国際協力のあり方についてです。これを考えたのは、「他の津波被災地にスタディツアーで行くうちに、自分の村のグループやその活動をしっかりしなければ、他村のグループと問題や問題意識を共有したり一緒に取り組んだりすることはできない。自村のグループをしっかりさせるようにしようと思った。」という話を聞いたときのことです。
この話はグループ活動に関してのことですが、僕は開発や国際協力でも同じことが言えると思いました。タイに来てから僕は、開発や国際協力のあり方のひとつとして、支援する側・支援される側という関係ではなく、自国と他国(あるいは自分たちと別の人たち)に共通する問題に共に取り組む対等な仲間というような関係が必要ではないか、と考えるようになりました。
というのも、現代には地球規模の問題がたくさんあり、この問題の前では誰もが初心者というか、先進国も発展途上国も関係ありません。どの国も常によりよい方法を模索し、お互いに情報交換し、学びあい続ける必要があると思うからです。そして、このためにはまず自国のあり方や問題にしっかりと取り組んでいなければ対等な仲間にはなれないとも感じています。
二つ目は教育に関することです。教育が必要なのは子どもだけでなく、大人にも必要だ、ということです。これは、以下のような話合いをしたことから思いました。
今回話をしてくれた方は、
「青少年活動の目的のひとつとして『コン・ジャイ・ディー(=親・先生・大人への尊敬の心、自然を愛する心、良心を持つ人)』を育てることも活動の目的である」
と話してくれました。
この話をきいて、
「日本では大人が『コン・ジャイ・ディー』のような人間ではなく、そのことで子どもを混乱させたり悪影響を与えることもあるがここではどうか?」
と質問したところ、
「タイにも日本と同じような問題がある。西洋の文化が入ってきてからずっとある。でも、青少年活動を続けることで子どもを通じて大人たちも両親であることの自覚や子どもを愛すること、『コン・ジャイ・ディー』な振る舞いをすることを始めるはずだ。子どもの教育を通じて、親の教育もしているのだ。」
と答えてくれました。彼はさらに、
「子どもを『コン・ジャイ・ディー』に育てていくことを通して、大人を、ひいては社会や国を変えようとしている。『子どもたちがやっているのだから、私たち大人もやろう』と思うようになるだろう」
とも言っていました。
現代では、教育というと子どもが対象となることが多い気がします。大人向けには生涯学習というものもありますが、子どもの教育も含めて、知識や技術を教えることがほとんどで、例えば「コン・ジャイ・ディー」を育てるというような道徳・倫理を扱うことはあまりありません。おそらく、道徳や倫理というのは学校で教えるには「評価しづらい」ものであるため敬遠されがちで、大人に対しては「いまさら必要ない」と思われているのかもしれません。
この「いまさら必要ない」 というのは、すでにやってきたはずだから、ということなのか、それとも、やっても無駄だ、ということなのかは微妙なところだと思います。しかし、僕が日本にいた頃、僕の周りには子どもより子どもっぽい大人がたくさんいました。現代においては、道徳や倫理というものの重要性は、大人を対象に再検討される必要があると思います。というのも、子どもよりも大人の人数は圧倒的に多く、社会を担っているのは大人であり、もし大人の意識が変われば社会も世界もすぐに変わるのではないでしょうか。
僕も大人のひとりとして、これからはもっと道徳や倫理について考え、実践していこうと考えています。