2008年7月の記事一覧
7月10日、インターン11期生の金森くんと宮田さんを派遣先へ送ってきました。これから10ヶ月間、金森くんは、カラシン県クシナライ郡の農家に、宮田さんはコンケン県ポン郡の農家にお世話になります。カオデーン農園でやっと田植えが終ったとホッとしていたのに、どちらの派遣先もまだ田植え真っ最中!また田植えの日々が当分続きそうです。慣れないタイ語だけの慣れない生活が始まりますが、二人ならきっと大丈夫でしょう!
(森本 薫子)
この一ヶ月半、私は劇的に変化したところはありません。しかし、私が私らしくいられるようになったと思っています。誰とも比較されず、期待されず、思想を誰からも否定されない。このような状況に自分がいることは、初めてといってもいいほどで、自分で考え、自分で問題点を探すことに、はじめは戸惑っていたものの、今では心地良さを覚えました。常に自分の中の自分に問いかけ、答えを探してはまた一から考え直すという過程の中で成長できたと思っています。
いよいよカオデーン農園での研修も終わりになり、農家へ派遣される日が目前に迫ってきました。相変わらずタイ語は聞き取れず、話すこともままならないので、今後の生活が少し不安ですが、同時にどんなことが待っているのだろうかと楽しみな気持ちも感じています。
カオデーン農園での研修(様々な所への訪問も含めて)、田植えや畝作りなど色々な農作業を体験し、色々な話を聞いてイヤになるくらい学んだことは、コミュニケーションの重要性です。仕事の完成形や何をするのか、何を望んでいるのか、何を伝えようとしているのか、こういったことは、コミュニケーションなしでは全くわかりません。言葉が通じなければせっかくの話も理解できません。また、言葉が通じない(コミュニケーションがとれない)ということは、例え僕がどんなに優れた能力を持っていたとしても、何もできないのと同じことです。僕はタイではほとんど何もできない人なんだなぁと痛感しています。
農園では、時々豚をさばいていただきます。インターンたちが来てすぐの頃にも1匹さばきました。体重80キロほどの雄豚です。毎日エサをあげている豚の息の根を止めるための最初の一撃(頭をハンマーで叩く)はいつも切ないものですが、それだけ感謝していただくことができます。まず、丸ごと皮膚を軽く焼いて、スプーンなどで産毛をむしります。そして数人で解体作業。内臓を出し、皮を剥いで、切り身に分けます。これだけで1時間はかかりました。尊い命をいただくだけに、全て残さずいただきます。
カオデーン農園には、豚、鶏、水牛がいます。現在、豚は、お母さん豚1匹、お父さん豚1匹、子豚が4匹です。毎朝夕にエサをあげるのですが、お父さん豚はエサ箱を私が入れやすいところまで鼻で転がして持ってきてくれます。その姿が愛らしくて、いつも笑ってしまいます。
カオデーン農園では、洗濯に使った水や、水浴びに使った水が流れ出るところにも、何かしらの野菜や植物が植えられています。ですから、洗剤や石鹸なども無添加のものを使っています。今回は、インターンの二人に洗剤と石鹸を作ってもらいました。

JVCの会報誌「Trial&Error No.215」で、元ノンジョク農園責任者であるディサタットさんが「手というものがこんなにも多くの働きをするものか」と述べていました。私は今、自分の「手」でできることがとても増えました。クワを握る、田植えする、草取りする、魚、鶏をさばくなど、デーンさんや薫子さんには及ばないものの、自分の手がこんなにも様々なことができるのかと驚いています。
ここカオデーン農園で僕たちは、田植えやバナナ植え、タイ語の学習ばかりをやっていたわけではありません。ここでは、豚や鶏、水牛の飼育や魚の養殖もやっています。もちろん、畑を開墾し、様々な野菜や果物も植えています。僕たちもこれらの作業をやっています。これらは全て有機農法(農薬や化学肥料を使わずに堆肥や自然が元々もっている力を活かす方法)を用いています。カオデーン農園で行われているような形態を複合農業とも呼ぶそうです。
これまで研修の中で、NGO関係者、農業関係者など、様々な人の話を聞いてきました。しかし、私の中でいずれの話もうまく消化することができず、頭の中に知識として残っていても、本当に理解できてはいませんでした。