アジア・中東・アフリカで活動する国際協力NGOです。
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現地ブログ from スーダン

スーダン日記

スーダン駐在のスタッフが、日本ではほとんど知られていないスーダンの情報や活動のようすをお伝えします。

識字教室が始まった(2)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2015年5月14日 更新

前回から続く)

右がアラビア語、左が算数の教科書右がアラビア語、左が算数の教科書

識字教室の準備が着々と進んでいました。
この分野で経験豊富な現地NGOの協力で、2名の女性教員を紹介してもらうことができました。二人ともプロの学校教師ではありませんが、以前に研修を受け、これまでに何度も識字教室での指導の経験があります。

「いつも、教材はどんなものを使っているのですか?」
教員のひとり、マルカさんにJVCスタッフのアドランが尋ねました。
「教育省が作った初級のアラビア語と算数の教科書を使っています」
マルカさんはそう言って、実物を見せてくれました。アラビア語も算数も、文字や数字の読み方や書き方が、本当に初歩から学べるようになっています。
「いいものがありますね。でも、これをどこで手に入れたらいいのでしょう?」
そう尋ねるアドランに、もうひとりの教員、ラシャさんが笑いながら
「同じものは、もう手に入らないわよ。その教科書、いつのものだと思う?」
「えっ?」
アドランが手にした教科書を引っくり返して見ると、そこには「1999年」と書かれています。きれいに保管されているので新しそうに見えましたが、なんと16年前に発行されたものでした。
「もう、ずっと前から識字教室ではその教科書を使っているんだけど、まだ倉庫に山のように残っているのよ。ノートや鉛筆だってあるわ。今回も、それを使いましょう」
結局、新しく購入する必要があるのはチョーク1箱だけでした。

識字教室が始まった(1)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2015年5月14日 更新

「えっ、なんですって?識字教室?」

JVCハルツーム事務所で電話を受けたスタッフのモナが、驚いた声を上げました。
「ちょっと、それ、本当に避難民住宅の人たちが自分たちで始めたの?誰から聞いた話?」
「しばらく前に、井戸管理委員のナフィサさんから・・」
電話口の向こうで答えているのは、JVCカドグリ事務所のアドランです。カドグリでの活動の様子を報告するため、700キロ離れた首都ハルツームの事務所に毎日電話を掛けてくるのです。

「まあ、アドラン、しばらく前から知っていたのね。でも、今まで報告してくれなかったじゃない」
「えっ、その、そんなに大事なことなんでしょうか?」
アドランは、ちょっとあわてました。JVCが支援をしてきたティロ避難民住宅の井戸管理委員会について近況報告をしようと思ったのに、識字教室のことで突っ込まれるとは・・
「あたりまえよ。みんなが識字教室に関心を持つなんて、すごいじゃない。読み書きができるようになれば、井戸管理委員会の活動だって、もっとやりやすくなると思わない?」

帰らない命

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2015年4月28日 更新

「みんな、カドグリから逃げ始めている。バスは毎日予約で一杯だ。バスに乗れない人がトラックの荷台にあふれている。カドグリはもうすぐ空っぽだ」

電話口のマルガニさんの声は、切迫しているというよりは、何か怒りを抑えているように聞こえました。カドグリ市内で商店を営む彼は、ずっと以前、私がカドグリに駐在していた頃からの知り合いです。首都ハルツームの私にかけてきた久々の電話で、何かを訴えたかったのかも知れません。

「いったい何のための選挙なんだ」
「マルガニさん...」
「選挙なんて、争いのもとになるだけだ。4年前のこと、覚えているだろう」

4年前、州知事選挙を引き金に始まったカドグリの市街戦。私は無事に首都ハルツームに退避しましたが、彼は店を略奪され、財産を失いました。マルガニさんだけではありません。戦闘は州内に広がり、村々は空爆を受け、家は焼かれ多くの家族が引き離されました。それは南コルドファン州の人々の記憶に深く刻まれたまま、今また「選挙」が近づいてきたのです。

操作係は女には無理?(3)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2015年4月22日 更新

前回から続く)

研修初日、操作パネルの使い方を学ぶ。カラフルな服装の二人ですが、後ろ姿の写真しかなくてすみません研修初日、操作パネルの使い方を学ぶ。カラフルな服装の二人ですが、後ろ姿の写真しかなくてすみません

10日間の研修が始まりました。

初日の今日は、ハリマさんもアワディヤさんもカラフルなよそ行きのトブ(スーダンで一般的な一枚布の女性の着衣)を着て水公社の事務所にやってきました。まだ学生のように見える若いムサさんも一緒です。JVCスタッフのアドランも付き添いに来ています。

「では、研修を受ける皆さんはこちらに集まってください」
担当の職員が、3人を部屋の中に案内しました。
「ええっ、あなた方、研修を受けるのですか」
女性二人を見て、職員は少し驚いたようです。

「なんてこったい!」
とは言いませんが、顔にはそう書いてあります。研修参加者については事前に水公社に伝えてあるのですが、担当者にはそこまでの情報が届いていなかったようです。

操作係は女には無理?(2)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2015年4月22日 更新

前回から続く)

閑散としたウォーターヤード閑散としたウォーターヤード

カドグリでは雨季が終わりを告げ、どこまでも青い空の下で例年になく涼しい乾季を迎えていました。家庭での水の需要もさほどではないらしく、ウォーターヤードの給水所は少し閑散としています。

給水塔の下で椅子に座っているのは、井戸管理委員会リーダーのブシャラさんと操作係のアフマドさん。JVCスタッフのアドランがその横に腰掛けました。

「で、アドラン、話っていうのは何だ?」
「はい、ブシャラさん。実は、井戸管理委員会のメンバーにウォーターヤード操作の技術研修を受けてもらってはどうかと思っています」
「研修か。そりゃいいな」
「はい。今はアフマドさんがほとんど1人で操作を行っていますが、このまえのようにアフマドさんが用事で外出してしまうと、代わりの人がいなくてウォーターヤードが止まってしまいます。このあと暑い時期が来て、ウォーターヤードが止まってしまったらみんな困ります」
「わかった。で、誰を派遣する?」

操作係は女には無理?(1)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2015年4月 9日 更新

(前回「ハリマさんの集金簿」から続く)

ウォーターヤード(揚水機・給水塔付きの井戸)。白い小屋の中に発電機があるウォーターヤード(揚水機・給水塔付きの井戸)。白い小屋の中に発電機がある

ハリマさんとアワディヤさんが集金をしたおかげで、ティロ避難民向け住居の井戸管理委員会に少しの資金が入りました。発電機を操作するアフマドさんが、さっそく燃料の軽油を買ってきました。

「これで、しばらくは大丈夫だろうよ」
白いトタン板の小屋に設置された発電機に給油をすると、アフマドさんは脇についているハンドルを回し始めました。ハンドルは重いため、はじめはゆっくりと、そして徐々に勢いがついて回転が速くなると、ド、ド、ドドドと大きな音を立てて発電機が始動しました。

「それ、アハマドさんが毎日動かしているんですか?」
脇で見ていたJVCスタッフのアドランが尋ねました。今日は、久し振りにウォーターヤードの様子を見に来ているのです。
「今はまだ涼しいから、毎日ってわけじゃないね。でも、これから乾季になって暑くなったら毎日動かさなくちゃいけなくなるな」

ハリマさんの集金簿

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2015年2月26日 更新

「だって字が書けないんだから、集金簿なんて付けられないよ、ねえ」
二人は顔を見合わせてそう言いました。

水汲みの人々でにぎわうウォーターヤード水汲みの人々でにぎわうウォーターヤード

JVCが運営を支援しているティロ避難民向け住居のウォーターヤード(揚水機・給水塔付きの井戸)。
ハリマさんとアワディヤさんの二人は住民から選ばれた井戸管理委員としてウォーターヤードの見張り番を任されていますが、それに加えて、こんどは住民からの集金も担当することになりました。

「家計を預かっているのは女なんだから、女性の委員が集金に回った方がカネも集まりやすいだろう」と言ったのは、男性である委員長のブシャラさん。それはその通りかもしれませんが、どうも、面倒くさい役割が女性に押し付けられた感じがします。

閉まったままのウォーターヤード(2)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2015年1月15日 更新

数日して、アフマドさんから電話がありました。
「アドラン、きのう井戸管理委員会の話し合いをして、新しいメンバーを決めたよ」 「そうですか。どうなりました?」
「男ひとりと女がふたり。男のほうはオマルってやつに入ってもらって、自分と二人で操作係をやる。女は、ハリマさんとアワディヤさんが引き受けてくれた」
「門番の件は?」
「うん。ハリマさんにはもうカギを渡したよ。アワディヤさんと交代で門番をやってもらうことにした」
「それはよかった。うまくいくといいですね」

アドランは、少しほっとしました。ハリマさんもアワディヤさんも顔見知りですが、活発な人たちです。これで、多少はうまくいくのではいかと思いました。
1週間ほどして、様子を見に行ってみました。ウォーターヤードではハリマさんかアワディヤさんが門番をして、女性たちが水汲みをしているだろうと想像しましたが...あれ? ウォーターヤードは閉まっています。

あわててハリマさんの家を訪ねてみました。
「ハリマさん、ウォーターヤードが閉まっているのですが?」
単刀直入に聞いてみました。
「だって、カギがないから開けられないよ」
「えっ?だって、アフマドさんは、ハリマさんにカギを渡したって...」
「そうだよ。でもね、それから2、3日したらブシャラが私のところにやってきてね」
ブシャラさんは、井戸管理委員会のリーダーです。
「『女には当番はできない』って言って、カギを持っていってしまったんだよ」

閉まったままのウォーターヤード(1)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2015年1月15日 更新
ウォーターヤードの仕組み。白い小屋の中に設置された発電機で起こした電気で、右端に見える井戸からポンプで青い給水タンクに揚水。そこから配管を通じて左側の共同水栓に水が供給される。ウォーターヤードの仕組み。白い小屋の中に設置された発電機で起こした電気で、右端に見える井戸からポンプで青い給水タンクに揚水。そこから配管を通じて左側の共同水栓に水が供給される。

ずいぶんと長い間、ティロ地区のウォーターヤードの話から遠ざかってしまいました。皆さん、覚えていらっしゃいますでしょうか。避難民家族向けに建設された住居230戸への給水を行うため、2013年11月にJVCが建設した施設です。

写真を見てお分かりのように、発電機で起こした電気で井戸から貯水タンクに水を汲み上げ、配管を通じて蛇口から水が出てくる仕組みになっています。

完成後は住民に引き渡され、住民から選ばれた井戸管理委員会が運営を担っています。JVCは委員会の相談に乗ったり、委員会メンバーへの研修を実施したりという形での支援を続けています。

引き渡しから1年が経過し、住民運営も軌道に乗ってきました...と言いたいのですが、そう簡単にはいきません。軌道はジグザグを描きながら、時に停滞したり動いたりを繰り返しているのが正直なところです。

今回からは、そんなウォーターヤードのここ数か月間の様子をお伝えします。

交渉決裂、再び故郷は遠く

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2014年12月15日 更新

カドグリの町は、三方を丘に囲まれています。北側、南側、そして西側。イザディーンさんの家は、その西側の丘の麓にありました。

「おお、よく来たな。まあ、ゆっくりお茶でも飲んでいってくれよ」
アドランとタイーブが庭先の椅子に腰掛けると、シャイ(紅茶)と山盛りの砂糖が運ばれてきました。砂糖をたっぷり入れるのが、スーダン流です。
イザディーンさんは、水道関係の工事をしている業者さん。JVCが設置したウォーターヤードの建設にも参加しています。今日は、仕事帰りのJVCスタッフ二人を家に招いてくれました。

「ステキな場所に家がありますね」
タイーブは、上の方を見上げて言いました。庭には大きな木が枝を広げ、その後ろはすぐに丘の斜面がせりあがっています。
「そうだろ。オレは山のそばが好きなんだ。村にいた時は、山の中に住んでいたくらいだ」
「どこの村の出身ですか」
「ブラムの近くの、小さな村だよ。そうだ、写真見るか?」
ブラムと言えば、今は反政府軍の実効支配地域の中です。そこに近づくことすら、できません。

村の家々、イザディーンさんの出身村ではないが、同じブラム郡のJVC元活動地(2011年撮影)村の家々、イザディーンさんの出身村ではないが、同じブラム郡のJVC元活動地(2011年撮影)

イザディーンさんはパソコンを開いて、保存されている写真を何枚か見せてくれました。
「みんな、紛争が起きる前に撮った写真だ」
穏やかな村の様子。とんがり帽子のような草ぶき屋根が、丘陵の尾根まで連なっています。斜面には石垣で固めた段々畑が続き、長い柄のついたショベルを持った村人が畑仕事をしていました。

「今の紛争が終わったらな、あんたらの団体、なんて言ったっけ?日本なんとか...」
「JVCです」
「そう、そのJVCも、うちの村に来て活動をしたらどうだ」
「紛争は、終わると思いますか」
 思わず、アドランが尋ねました。州政府関係者に知り合いの多いイザディーンさんなら、何か分かるかも知れません。
「終わるさ。終わらない訳ないだろ」

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