2021年10月の記事一覧
25日、軍部がハムドゥーク首相を含む暫定政府および主権評議会の文民メンバーの大半を拘束。翌26日に主権評議会の議長で軍出身のブルハン氏が、暫定政府と同評議会の解散を発表し、スーダン全土に非常事態を宣言しました。
ブルハン氏は、2023年に予定されている民政移管は行うとし、ジュバでの反政府勢力との和平協定を含め、これまでに調印した国際社会との合意は順守する意向を示していますが、軍が完全に実権を掌握し民主化の取り組みが挫折する懸念が高まっています。
また、国際社会からは、民政移管を危うくする行為だと批判があがっています。
首都ハルツームでは、多数の市民がクーデターや首相らの拘束に抗議するため、軍施設周辺に押し寄せています。これに対して軍が発砲し、デモ隊の7人が死亡、140人以上が負傷したと報じられています。

(写真)抗議デモの様子
現地ではネット回線や携帯電話の使用に関しても不安定な状態ではありますが、活動地カドグリと日本人駐在員のいるハルツーム間でも連絡が取れ、通常通り職業訓練等の活動を行っているとの情報も入り、少し安堵しております。
しかし、多くの商店やビジネスが市民的不服従を示すため、また、暴動などを懸念して休業せざるを得ず、コロナの休校からやっと再開した学校も再び休校になるなど、市民生活への影響が心配です。
予断を許さない状況ではありますが、JVCは、2019年の政変時も活動地の南コルドファンでは、ほぼ通常通り活動を行っていました。今回も出来る限りの活動を続ける方向で、現地と連絡を取り合いながら、状況を注視していきます。
今後も安全を第一に活動を継続していきますので、引き続きのサポートをお願いします。

(写真)食品加工の研修の様子

(写真)洋裁の研修の様子
2021年10月25日、スーダンの首都ハルツームで、ハムドク首相や複数の閣僚が軍に拘束され、軍部がクーデターで権力を掌握する事態が発生しました。
今回のような状況に至る背景ですが、スーダンは2019年の政変以降、民政への移管を目指して軍と民主化勢力が共同統治を行ってきましたが、インフレ率が300%に上るなど、経済が好転しないことなどに市民が不満を募らせ、現政権に対する批判が高まっていました。
今月16日には、再び軍が統治を行って国を安定させるべきだと訴えるデモが、その5日後の21日には軍の復権に反対する大規模デモが行われ、数万規模の市民が参加しました。
また、1か月前の9月には、2019年に崩壊したバシール政権とつながりのある軍将校や民間人がクーデター計画に関与していたとして、約40人が拘束されるなど、情勢が不安定化している状態でした。