2020年5月の記事一覧
前回の記事では、主にCOVID-19影響下における首都ハルツームの様子をお伝えしましたが、本記事ではJVCの活動地である南コルドファン州カドグリの状況をお伝えします。
COVID-19による影響
カドグリを州都とする南コルドファン州では、5月6日現在、COVID-19の感染者は確認されていません。しかしスーダン政府からは周縁の地として扱われ、発展・開発から取り残された地域であり、長い間紛争の影響を受けてきました。その為ハルツームと比較しても医療の水準は低く、手洗いに必要となる「水」へのアクセスも十分とは言えず、COVID-19に対して敏感になっている人も多いです。
元々カドグリでは多くの物資をハルツームからの輸送に依存しています。例えば新聞でさえ、毎日ハルツームから運搬されるので、カドグリの売店に新聞が並び始めるのは夕方になってからです。そのため、給与は相対的に低いものの、物価はハルツームより10%程高いのです。それに加え、外貨不足によりスーダンポンドの通貨価値が暴落し、スーダン全体でも2月のインフレ率は71.3%(スーダン中央統計局発表)を記録しており、COVID-19の影響を受ける前から、厳しい生活を強いられています。
世界中で瞬く間に拡大しているCOVID-19はここスーダンにもやってきました。5月6日現在、感染者は累計852人、死亡者数は49人に達しています。スーダンでの感染状況、政府の措置、そして街の様子や人々の声をお伝えします。
COVID-19感染者数の推移と政府の大胆な措置
日本政府の対応と比べてみても、スーダン政府の措置が早いことは明らかです。これはスーダンだけでなくアフリカ諸国に当てはまることですが、国内の医療水準(施設、器具、医者のレベル)を考慮した場合、感染爆発をどうしても防ぐ必要があるため、多くの国で早期の国境閉鎖、ロックダウンなど強硬的な措置が取られています。
日付 | スーダン政府の措置/出来事 | 累計感染者 | 累計死者数 |
---|---|---|---|
3/12 | スーダン国内で初めてのCOVID-19感染・死亡1名 | 1 | 1 |
3/14 | 全国の大学・学校の休校を発表(1か月) | 1 | 1 |
3/17 | 空港の閉鎖、国境の閉鎖を発表(4月23日まで) | 1 | 1 |
3/24 | スーダン全土にて外出禁止開始(午後8時~翌午前6時) | 3 | 1 |
3/31 | 外出禁止時間変更(午後6時~翌午前6時) | 7 | 1 |
4/13 | 4月18日から首都ハルツームでのロックダウンを発表 (州を超える移動制限、必需品(野菜・パン・石油等)以外の店舗営業停止) | 29 | 4 |
4/15 | 宗教省、モスクでの礼拝を禁止 | 32 | 5 |
4/18 | ハルツームでロックダウン開始(午後1時~翌午前6時) | 66 | 10 |
4/20 | 空港閉鎖を5月20日まで延長 | 92 | 12 |
5/5 | 一日の感染者数が初めて100名を突破 | 778 | 45 |