2014年3月の記事一覧
「菜園を作るって、そりゃあいい考えだ」
シエハ(住民リーダー)のサレさんが声を張り上げました。

カドグリ郊外、私たちがウォーターヤードを設置した避難民向け住居の手前に位置する、ティロ本村。この「現地だより」でも、これまでに何度か登場した場所です。菜園づくりプロジェクトの候補地として、12月中旬にJVCスタッフが訪問して住民リーダーたちと話し合いを持ちました。
「今は、みんな乾季に薪拾いをしたりカヤを集めたりしているけど、それだけじゃダメだ。住民も増えているし、何か新しいことを始めなきゃいかん。分かっているか」
サレさんは力説しています。会合には、ほかに地区委員会(地方政府が任命した行政の末端組織)のメンバー、そしてこの地区で生活を送っている避難民も集まりました。
避難民グループのリーダー、ユスフさんは
「避難前に住んでいた元の村には菜園がたくさんあった。野菜作りのことなら、ワシらのグループに任せておけ」
と自信ありげです。
ティロ本村での菜園研修の日が近づいてきました。

地元住民と避難民を合わせて51人が、州農業省から派遣された講師による1日の野菜作り研修に参加します。午前中は講義、そして午後は畑に出て実技研修。その合間に昼食を取ります。
さて、研修といえばいつも話題騒然となるのが、このお昼ごはん。これまで私たちが実施した研修で昼食を提供した際には、参加者の一部から様々な不平が出てきました。
「どうして、町のレストランから食事を取り寄せないで、村の中で調理するのか?」
「どうして、チキンのモモ焼きがないのか?」
「そんな昼飯しかないなら、オレは研修に参加しないぞ」
乾いた大地が広がる12月の南コルドファン州。最後に雨が降ってから、すでに1か月以上が経っています。雨季には緑に覆われていた山々も、すっかり茶色に変わりました。
ここでは、1年のうち約半分、12月から5月は全く雨の降らない乾季。天水で農業を行う人々にとっては、いわゆる農閑期にあたります。

農閑期だからといって「ヒマ」なわけではないのは、たぶん日本のお百姓さんと同じでしょう。その間、村の人々はマンゴーやグアバなどの果実を取ったり、森で樹液や蜂蜜を集めたり、木の皮をはいでその繊維から縄を結ったり、炭を焼いたり、カヤを集めて家の屋根を葺き替えたり、薪拾いをしたり...やることは山のようにあります。そうそう、狩りも忘れてはいけません。ウサギなどの小動物、時にはハリネズミも捕えます。