2014年1月の記事一覧

「工事が終わったから、確認にきてくれないか」
ウォーターヤードの施工業者からJVCスタッフに電話が入ったのは11月上旬。いつもの赤いクルマを飛ばして駆けつけると、建設現場には既に井戸管理委員会のメンバーも集まっていました。
給水塔や共同水栓の工事は10月に完了しているので、今回残っていたのは周囲のフェンス、発電機用の機械室、それに家畜給水所の設置でした。
一面のソルガム畑は、収穫の時期を迎えて刈り取りが進んでいました。
ほんの2週間前まで背の高いソルガムに視界が遮られていましたが、今ではここ避難民向け住居から、ティロ本村や、用水池のある丘までをずっと見渡すことができます。遠くの方に、牧畜民の白いドーム型のテントもちらほらと見えています。

11月12日、いつもと同じ木陰の集会所にJVCスタッフが到着すると、井戸管理委員会のメンバーも集まってきました。
ズベルさんは、今日もノートを手にしてやってきました。読み書きが得意なので、委員会の記録係になっているのです。会合が始まるまでの間、前の週に行われたはずの住民集会について話を聞いてみました。
「ズベルさん、住民集会はどうでしたか?」
「とってもよかったよ。大成功だ」

避難民向け住居の入口に、国連のロゴが入った四輪駆動車や州政府の車両が次々に到着しました。クルマを下りた人たちは、ウムダ(住民リーダー)や井戸管理委員会のメンバーと握手をしながら、ウォーターヤードの傍らに張られたテントの中に入っていきます。
11月17日、いよいよ引き渡し式の日がやってきました。
JVCスタッフのアドランは、小さな紙を見ながら何やらブツブツ言っています。
「なんだよ、それ」
同僚のタイーブが尋ねると、
「式典での挨拶の原稿なんだ」
「そうか、練習してんのか。おい、もうすぐ始まるぞ」
テントの中は50人近い参加者でびっしり埋まりました。入りきれずに立っている人もいます。住民のひとりが司会をして、式が始まりました。