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2013年11月11日 【 避難民向け住居への給水活動

ウォーターヤードは誰のもの(3)井戸管理委員会が発足

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2013年11月11日 更新

(前回より続く)

避難民向け住居の入口にクルマを停めると、あたり一面に広がる畑ではソルガムが膝の高さまで育っています。9月も中旬になり、種子を配布してからは約1か月。雨にも恵まれて生育は順調なようです。

ぬかるんだ地面に気を付けながら歩いていくと、向こうに見える家の前では人々が椅子を並べて会合の準備をしています。
「さあ、どうぞこちらへ」
椅子を運んでいた住民のひとりが、JVCスタッフの姿を見つけて手招きをしてくれました。私たちは7月からここで活動をしているので、住民とはすっかり顔馴染みになっています。

「今日は、住民の皆さんは何人くらい集まるのですか?」
「ウムダ、シエハ(※)が数人、ほかに保健委員会のメンバーが集まります」

保健委員会とは、2か月ほど前に州保健省が国連の支援で実施した「保健衛生研修」に参加した住民たちによって構成されています。まだ活動をしているわけではありませんが、水の供給は公衆衛生とは深い関係があるので会合に呼ばれているのでしょう。

今日は、ここティロ地区の避難民向け住居に設置されるウォーターヤードについて、住民代表とJVC、それに州政府も加わった初めての会合です。

※ウムダ、シエハ:この地方では、村の住民リーダー(村長)はウムダ、村よりも小さな集落のリーダーはシエハと呼ばれる。この避難民向け住居には複数の村から避難してきた人々が住んでいるが、元の村のウムダやシエハも同じく避難民となってここに一緒に住んでいるケースが多い。そして、ここにおいても相変わらず住民リーダーとして人々の世話を焼いている。

やがて、白の四輪駆動車に乗って州政府・社会開発省の人たちが到着しました。社会開発省は、国連と協力して避難民向け住居を設置した、いわばこの施設の生みの親です。次官を筆頭に、クルマからは3人の担当官が下りてきました。
「やあ、みなさん、こんにちは」
次官は、出迎えたウムダやシエハたちと握手を交わしています。

会合が始まりました。住民側の参加者はウムダとシエハが5人、保健委員会の男性7人、女性12人、合わせて24人です。椅子の数が足りないので、家の中から持ち出したベッドに腰掛けている人もいます。
まず初めに、社会開発省の次官が挨拶を兼ねて会合の説明をしました。

「すでにご存知だと思いますが、JVCがここにウォーターヤードを設置することになっています。今日は、そのことで皆さんとお話をしにきました。工事が終わった時に誰が引き継いで運営をしていくかです。これには二つのやり方があります。ひとつは、州の水公社が運営に責任を持つやり方です。もうひとつは、皆さん自身が運営するやり方です」

続いてアドランが、水公社が運営した場合には住民は運営経費の心配はしなくてよいが水は有料になること、一方で住民が運営した時には経費についての責任が伴うことを補足説明しました。

「自分たちで運営する」と会合で発言する住民リーダー「自分たちで運営する」と会合で発言する住民リーダー

すぐに、住民から反応がありました。
「ここに避難する前に住んでいた村ではウォーターヤードを自分たちで運営していた。管理委員会を作って、家々からお金を集めたり、ロバの水売りに水を売ってお金を稼いだ。オレたちはそういう経験を持っているのだから、水公社に運営を任せる必要はない」
「その通り。ウムダやシエハがしっかりしていれば、運営はうまくいく。前に住んでいた村では村人がウォーターヤードを運営して、牧畜民に水を売って収益を上げていた。それを見た水公社が運営権を奪おうとしてきて、裁判沙汰にまでなった」

どうやら、水公社には「水」という村の財産を奪っていく悪いイメージがあるようです。
「すぐに管理委員会を作ろう。銀行口座を開いて、ウォーターヤードの運営費として毎月いくらかを家々から集め、口座に預けて管理しよう」
もう、住民はすっかり自分たちで運営するつもりです。

「皆さんの考えはよく分かりました。自分たちで運営していくということですね。では、管理委員会について少し説明します」

住民たちが一通り話し終わったところで、社会開発省の担当官が発言しました。
「社会開発省は、住民による様々な委員会活動への助言や手助けをしています」
彼はそう言うと、委員会メンバーの選出は住民の合意によるべきこと、メンバーの数は住民全体の数に応じ、偶数ではなく奇数がよいこと、などを説明しました。そして
「私たちとJVCとが協力して、管理委員会の皆さんにはマネジメント研修を実施します」

続いて、やはり社会開発省から来た女性の担当官が発言しました。
「社会開発省は女性の地位向上に取り組んでいます。地域の中で女性の役割はとても大切。管理委員会にも女性の参加が重要です」
なんか、だんだん社会開発省の宣伝のようになってきました。

「よし、州政府やJVCの皆さんもいることだし、ここで管理委員会の選任を行おう」

ウムダの一人がそう言うと、皆が賛同してさっそく選任作業が始まりました。メンバーは男性5人、女性2人、合計7人と決まりました。そして個々のメンバーは、
「そうだな。この住居には避難元の出身地域別に幾つかのグループがあるから、それぞれのグループから1人ずつを出すことにしよう」
「避難元の村で井戸管理委員会の経験がある人は優先して選ぼう」
こうして、7人のメンバーが決まりました。住民によるウォーターヤード運営の第一歩です。

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翌日、私が駐在している首都ハルツームのJVC事務所に、避難民向け住居での会合の報告が写真とともにメールで送られてきました。スーダン人スタッフのモナはその写真をじっと眺めていましたが、いきなり騒ぎ出しました。

「この写真見てよ。何よ、これ」
「なんだ、なんだ?」
私は横からパソコンの画面を覗き込みました。会合の様子が写っています。

写真右奥、ベッドを持ち込んで片隅に座り込む女性たち写真右奥、ベッドを持ち込んで片隅に座り込む女性たち

「女の人だけ、どうしてこんなに隅っこの狭いところにゴチャっと固まって座らなきゃいけないの?椅子もないじゃない。男はみんな椅子に深々と座っているっていうのに」
「ほんとだ、確かにそうだね」
「それに、報告を読むと、女の人は発言するチャンスが何もないのよ」
「それも、確かに」
「社会開発省の女の人、自分だけエラそうに発言したけど、どうして住民の女性には発言させてくれないのよ」
「ごもっとも・・」
「JVCのスタッフも、そんなの黙って見ているなんて、問題だわ!」
分かりました。以後、教育を心がけます。

【おことわり】
現在、JVC現地代表の今井をはじめNGO外国人スタッフが南コルドファン州に入ることは、スーダン政府により制限されています。このため、2012年1月以降の「現地便り」はカドグリの状況や活動の様子を、JVCスーダン人スタッフの報告に基づき今井(首都ハルツームに駐在)が執筆したものです。

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