2013年6月の記事一覧

4月後半からの1か月間にJVCは600世帯以上に生活用品を配布、カドグリに到着した避難民の大半を支援することができました。
物資を受け取った避難民は、その後どんな生活を送っているのでしょうか?
JVCスタッフは、多くの避難民が生活しているティロ地区へと向かいました。
JVC事務所から北東に向かい、丘陵地帯を左手に見ながらクルマで15分。丘陵の東側に位置しているのがティロ地区です。ちなみに、この「現地便り」でお馴染みのムルタ村からは丘陵を挟んで反対側にあたります。

広場にクルマを停めて、家々の間を歩いてみます。避難民は一ヶ所に固まって生活しているのではなく、あちこちに散らばって空き家や軒先を借りて生活をしているはずです。
すぐに、JVCが配布した防水シートとゴザで作った仮囲いの小屋が目に留まりました。避難民の住居に違いありません。小屋の脇には、森から集めてきた薪が積まれています。
その避難民たちは、木の下で暮らしていました。
カドグリ郊外での生活用品配布を一段落させたJVCスタッフのもとに、「シエリ地区にたくさんの避難民がいる」との情報が入ってきました。シエリとは、カドグリから北に15キロ、紛争が起きる前には首都ハルツームへの定期便も運行されていたカドグリ空港の近くです。
さっそく、避難民の状況を確認に向かいます。
スタッフを乗せた赤い小型車は、幹線道路を折れてシエリ地区へと入りました。道路はなく、地面に残されたタイヤの跡をたどって進んでいくと、乾燥した大地に大きな木がまばらに繁っている場所に出ました。

「あれ、人が住んでいるよ」
気が付くと、あちこちの木陰にベッドや戸棚などの家財道具が山積みになっています。ヤギが寝そべり、遠くにはウシの群れも見えます。クルマを見つけて子どもたちが飛び出してきました。
「ちょっとクルマを停めて、話を聞いてみよう」
外に出ると、直射日光と熱風で身体が焼けるようです。あわてて木陰に入ると、そこは避難民家族の生活の場です。

「あっ、突然おじゃましてすみません。JVCという日本の援助団体です」
そう言って、その場にいるひとりひとりと握手を交わすのがスーダン流の挨拶です。使い古されたベッドには年配の女性が座り、その周りには赤ん坊を抱いた若いお母さん、そして子どもたちが突然の来訪者を見つめています。
「村から避難してきた人がいると聞いてきました。みなさんは、どちらから来たのですか?」
「カラカラヤだよ」