2012年8月の記事一覧
紛争が始まって1年と2ヶ月。すっかり悪いニュースに慣れきってしまった私に、今月はじめ、少しばかり驚きの知らせが飛び込んできました。
私たちが活動する南コルドファン州、及び同じく紛争が続く青ナイル州において、人道支援活動を目的とする3ヶ月間の停戦が合意されたのです。
昨年6月に南コルドファン州のカドグリで始まった政府軍と反政府軍(SPLA-N)との戦闘は、ヌバ山地と呼ばれる州の中央部に拡大し、地上戦、空爆が繰り返されました。州内は「政府支配地域」と「反政府軍支配地域」とに分断。村は焼かれ、逃げ惑った人々の一部は州都カドグリなど政府支配地域へと避難し、他の人々は国境を超えて南スーダンに逃れて難民となりました。
私たちの活動地も戦場となり、事務所は略奪され事業は中断しました。そして昨年11月にようやく事務所を再開。カドグリ周辺にて避難民への緊急食料支援などを行ってきました。

私たちが活動しているムルタ村の中に、ちょっと変わった集落があります。いえ、決して「風変わりな」わけではないのですが、州都カドグリの郊外にありながら、まるで山あいの村のような雰囲気なのです。

トチャと呼ばれるその集落は、幹線道路から東に3キロ、背後に連なる丘陵に抱かれるように広がっています。ムルタ村は元々、「ムルタ」と呼ばれ「ムルタ」の言葉をしゃべる人々の土地ですが、そこに過去何十年かの内戦などの影響で、州内各地から人々が移り住んできました。ここもそのひとつで、ヌバ山地と呼ばれる丘陵地帯から「トチャ」と呼ばれる人々が集団でやってきました。元々が「山の民」なので、山に抱かれたこの土地を選んだのかもしれません。集落の中では今でもトチャの言葉が話されています。