2012年7月の記事一覧
ハルツームでのデモのたかまり
「アラブの春」が、ついにスーダンにもやって来たのでしょうか。
6月下旬、昨年の南スーダン分離独立によって石油収入の多くを失い、国家財政の危機にあるとされるスーダン政府は大がかりな財政緊縮策を開始。ガソリンや砂糖などへの補助金の撤廃を実施しました。
ハルツーム市内のバス料金は一気に30~40%値上げされ、砂糖は1キロ4スーダンポンド(約70円)から7スーダンポンド(120円)となり、ありとあらゆる物価がぐんぐん上昇しています。
こうした措置に不満を持つ学生たちが、反政府デモを組織し始めました。「財政危機は汚職など政治家の責任」「国民のカネが軍や警察にばかり使われている」と政府を批判しています。
しかし一般の市民はこうした動きに冷淡です。
「あんなの、学生が騒いでいるだけ。何の影響力もないよ」
そんな声を多く聞きます。確かに、デモに参加しているのは100~200人程度。何万人もの群衆が広場を埋め尽くしたエジプトのような状況とは、かけ離れています。
「押さないでください、押さないで!」
JVCスタッフが大声で制止しても、集まった村人はわれ先に部屋の中に入ろうと押し合いへし合いをしています。
「早いもの勝ちではありません。名簿の順番で配っているので、もう少し外でお待ちください」
部屋の中では種子の配布が行われています。これまで実施した農具、野菜種子の支援に引き続いて、今回はいよいよ主食穀物のソルガム、それにゴマ、落花生の種子です。

配布はカドグリ市周辺で6月上旬の4日間にわたり行われ、初日となる今日はムルタ村の東地区。対象となるのは、昨年の避難生活から戻ってきた地元住民と、今も各地で続く戦闘により自分たちの村を追われてこの地区にやってきた避難民です。