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タロディへの遠い道

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2010年7月 6日 更新

「この時期にタロディに行くのは容易じゃないぞ」私たちの事業候補地であるタロディ郡に行きたいと話すと、カドグリの人々は口を揃えてそう言いました。「5月から雨が始まって、タロディではもうかなり降ったらしい。道路は相当に悪いから、たどり着けるかどうか分からないぞ」そう言って脅す人もいます。いえ、脅しではなく、本当にそうなのかも知れません。

南コルドファン州の多くの地域は、雨季(6〜10月)にはアクセスが制限されます。その時期、公共交通の中心は乗合トラクターになりますが、なんといっても足が遅く、カドグリからタロディまでの100キロ足らずを3日かかることも珍しくないと言います。

これがタロディ行き乗合四輪駆動車これがタロディ行き乗合四輪駆動車

しかし、この先雨季が明ける10月までタロディ入りが難しくなることを考えれば、雨季の始まりのこの時期に行っておきたいのは確かです。乗合自動車の発着場で確認すると、幸いなことに明日、タロディ行きの乗合四輪駆動車(ランドクルーザー)があると言います。座席を予約して、次の朝を待ちました。

さて、翌朝9時に発着場へ行くとクルマの準備はできているようですが、客の人数が足りないようです。満席になってから発車するので、来るかどうかのアテもないお客を待って、乗客は発着場で待たされます。

乗り合わせた高校教師、モハメッドさん乗り合わせた高校教師、モハメッドさん

乗客の中に、私の顔見知りがいました。タロディ高校の教師、モハメッドさん。去年初めて私がタロディを訪れて高校を訪問した際に出会っています。英語を話す彼のおかげで、待ち時間が退屈せずに済みました。彼は日本が好きらしく「日本は素晴らしい。欧米以外の国であれだけの経済発展を遂げた。我々が目指すモデルになる」とベタ褒めにしてくれます。私が、今の日本は良い面ばかりではない、経済成長はしたが貧富の格差が開き、職に就けない人や仕事をしても十分な収入が得られないワーキング・プアが増えているという話をすると、「それはウソだ。そんな訳がない」と一生懸命に否定する彼。日本人でない彼が「日本人に貧しい人間なんて絶対にいない」と強弁するのはちょっとおかしいのですが、彼に限らず、ここスーダンでは日本について経済大国というイメージだけが独り歩きしているようです。

日本の話題に続いて、一転してモハメッドさんはアメリカを批判し始めました。「今のアラブ世界の様々な問題や戦争、あれはみんなアメリカのせいだ。すべてアメリカが悪い」モハメッドさんごひいきの日本はアメリカに追従しているのですが、それについてはあまり知らないのか、気にしていないようです。

待つこと4時間、ようやく発車の時間になりました。乗客と荷物を満載にした四輪駆動車がカドグリの町を抜け、タロディに向かって走り始めます。

カドグリとタロディの間には雨季になると何本かの川が出現します。しかし橋はひとつも架かっておらず、行程の中での最大の難所です。タロディを出て30分、まず1本目、2本目の川を渡ります。水深はタイヤの高さよりも浅いので問題なく渡れます。ただ、窓が壊れていて閉まらないため、窓際に座っている私は跳ね返りの水でびしょ濡れ。

しかし問題は3本目の川でした。この二、三日の雨のため増水し、流れは速く深さは大人の胸ほどまであるようです。クルマを停めてどうしたものかと思案する私たちを尻目に、背後からやってきた大型車が躊躇なく水に突っ込んでいきました。大きなタイヤを10本も履いて、馬力もありそうです。

水しぶきをあげながら川の中ほどまで進むと、さすがに大型タイヤも水に沈んで見えません。それでもこのまま渡り切るかと思っていると・・もうもうと煙を上げて立ち往生。ああ、やっちゃった。

そんな様子を眺めながら、私たちの四輪駆動車は今日の渡河を断念。第一日目は、そのままカドグリへと戻ったのでした。

そして2日目。同じ乗客を乗せて9時に出発したクルマは、再び昨日のポイントへ到着。昨日は雨が降らなかったので水量は減っているものの、それでも大人の腰ほどの深さです。私たちに先行して何台ものバスやトラックが川を渡ろうとしており、見物人なのか助っ人なのか、大勢の人が両岸で見守っています。

まず、水に突っ込んだ大型バスが立ち往生。ザブザブと水に入っていった若者がけん引用のワイヤーをバスに取り付け、岸辺の人々が総出で引っ張る綱引き大会の始まりです。しかし、水にはまったバスは相当に重いらしく、びくともしません。と、何故かそこに救世主のトラクターが現れ、見事にバスを引っ張り上げました。拍手。

次は、ソルガム(主食用穀物)の袋を積んだ大型トラック。川に入ってハンドルがうまく切れず蛇行運転しているうちにエンスト。水しぶきと一緒にもうもうと煙が上がっています。しかしこのトラック、エンジンが再始動しません。バッテリーが上がったようです。しばらく見ていると、誰かが交換用のバッテリーを運んできました。川の中でバッテリー交換。よくやるなあ、まったく。

(お断り。岸辺の群衆の中には警察や軍関係者もおり、誠に残念ながら写真は撮影しておりません。ご容赦下さい)

このように何台ものクルマが立ち往生したり引っ張ったり引っ張られたりの「ショー」を繰り拡げる中、2時間ほど待って私たちの番が来ました。乗客は全員クルマを降りて見守ります。ザバーンと水に飛び込んだクルマはボンネットが見えなくなるほど水につかりながら、四輪駆動の勢いでなんとか無事に向う岸にたどり着きました。ほっと一息。

乗客は川をさかのぼって浅い場所を見つけ、歩いて川を渡りました。

最大の難所にて、川を渡る乗客 最大の難所にて、川を渡る乗客

最大の難所は通り過ぎたものの、その後も道路が沼のようになった箇所では乗客はクルマを降りて泥の中を歩き、時にはクルマが故障し、結局タロディにたどり着いたのは夜の8時近く。11時間近い行程になりました。去年、乾期に訪れた時には3時間半で到着した行程です。

長い行程では腹も減る。ヤシの実を食べて空腹をしのぐ乗客の子供たち長い行程では腹も減る。ヤシの実を食べて空腹をしのぐ乗客の子供たち


タロディで私を迎えてくれたのは、私たちの協力団体、現地NGO「ムバディルーン」スタッフのバグダディさん。私の姿を見るや開口一番、「あんたはラッキーだよ!この季節にタロディまで一日で来たんだからな。はっはっは」。


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