JVC整備工場では元難民の若者14人が車両整備士を目指して研修を受けていますが、1年半から2年にわたる長期の研修期間も、残りわずかになりました。12月末には彼らは卒業し、社会に巣立っていかなければいけないのですが、そのためには就職先を見つけなくてはいけません。内戦終結後の南部スーダンでは政府機関やNGOが多種多様な職業訓練コースを提供していますが、最も難しいのが、この「就職先探し」だと言われています。
20年以上に及んだ内戦のため、南部スーダンには職業訓練を受けた若者たちの受け皿になるような「企業」がありません。復興景気を当て込んでレストラン、ホテル、建設関係などの企業が周辺国から進出してきていますが、経営者も従業員も外国人というケースが多く、なかなかスーダン人が割って入る余地がないのが実情です。
自動車整備業界も事情は同じこと。ある程度設備の整った工場はケニア人、ウガンダ人の経営が多く、従業員も同国人というパターンです。そこに割って入るか、それとも南部スーダン政府に所属する整備士になるか、道路工事業者の車両整備部門を目指すか、或いは国連機関やNGOに整備士として就職するか、そういったところが彼らの選択肢になります。
まず始めに、14名のうち5名は卒業後にJVC整備工場に正式採用され、プロの整備士(肩書はアシスタントメカニック)として働き始めることが決まりました。工場長のサイモンさんと日本人専門家が選考会を行い、整備士としての力量、仕事への貢献度から「ぜひ工場に残って欲しい」と選んだ5人です。
この5人の中には、女性の研修生、ポニーが入っています。「ポニーはよく働く。しかも、ヤワな男よりも力が強いし、メカニック向きだ」というのが車両専門家、井谷のポニー評。「力持ち」なだけではなく、テストの成績も常に1、2位を争うトップクラスです。「南部スーダン初の女性整備士になりたい」と1年前に言っていた彼女が、現実に整備士としての一歩を踏み出す日が、もうすぐそこに近づいてきました。

一方、残念ながらJVC整備工場には採用されない残り9人の研修生は、これから就職先を探さなくてはなりません。
研修生モモは「ドライバーメカニック」(簡単な車両整備ができるドライバー)の職を目指していますが、運転免許を持っていませんでした。私たちが行っている運転講習(5月10日号記事参照)を受講後、警察での運転免許試験に落ちること3回。研修生仲間も私たちも「もう無理じゃないか」と思いましたが、でも、彼は諦めませんでした。「ガソリン代は払うから運転練習の補講をやって欲しい」と申し出て、日曜日に車両専門家の坂本をつかまえては特訓を重ね、ついに4回目のチャレンジで試験に合格!その知らせに、私も思わず彼に抱きついてしまいました。

「これで大丈夫。今、南部スーダン政府保健省がドライバーメカニックを募集しているから、さっそく応募してみる」とモモは勇んで言っていますが、しかし、運転経験ゼロの彼に果たして可能性があるのか、現実はなかなか厳しそうです。
研修生の就職活動がこれからどうなっていくか、また皆さんにご報告します。
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