ある朝、整備工場に出勤すると警備員のタルティシオが駆け寄ってきました。「きのうは夜中に何頭もの牛が侵入してきて大変だった。追い払おうとしたけれど、出て行かない。牛飼いの人も一緒に入ってきたので、出て行ってくれるように頼んだが、全然言うことを聞いてくれない」と言います。「工場の周囲のフェンスが何ヶ所も壊れているので、外側から家畜や人間に簡単に入られてしまう。これでは警備ができない」

整備工場のすぐ隣では、ジュバに移り住んできた遊牧民の人たちが何十頭もの牛を飼っています。巨大な角を持つこの牛や、ヤギの群れも草を求めて工場の敷地に侵入してきます。
南部スーダンでは遊牧民同士、また遊牧民と農耕民との間の土地や牛をめぐる争いが多いのですが、この整備工場でそんな事件が起きては大変なことになります。「早くフェンスの修理をしなければ」と思っていたところ、最近の工場収入の増加によって、なんとか修理費用を出すメドが立ってきました。昨年までは工場の補修工事はJVCの支援によって行っていましたが、今年は自分たちで稼いだ収入から補修費用を出すことになっています。

地元の大工さんに頼んで、200メートル以上にわたるフェンスの工事が始まりました。費用は約6000スーダンポンド(30万円)です。

工事が無事終了し、「これで大丈夫だね。完成したフェンスの前で写真を撮ろう」とタルティシオに言うと、彼は弓矢を取り出してきて、フェンスの外に向けて「どうだ」とばかりに構えてくれました。警備員の詰所に弓矢があったなんて、私もびっくり。実際に役立つかどうかは別にして、彼らはこの伝統的な武器を大切にしているようです。が、フェンスも完成した今、私たちの警備員が武器を使って戦うことはありませんので、どうぞご安心下さい。
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