研修生の家を訪問した時に、面白いラジオを見せてもらいました。

持ち主は、研修生モモの親戚のリリーさんです。「このハンドルを回すとラジオが聞けるのよ」と言って、グルグルとハンドル(発電機)を回すとラジオから音楽が聞こえてきました。「これはスーダンの音楽よ」と言ってリリーさんはご満悦の様子。なるほど、家に電気のないジュバではこれはスグレものだ・・・と私も思っていると、1曲終わらないうちに電気が切れてしまいました。大笑いしながら、またハンドルをグルグルまわすリリーさん・・・まるでゼンマイ仕掛けのおもちゃみたい。
ところが、このラジオ、実はソーラーパネルもついているのです。通常は太陽光で充電して使い、電気が切れたら手動発電機で対応・・・こりゃ、スグレものだ。
ところでリリーさんはスーダン北部にある首都ハルツームの国内避難民キャンプに住んでいて、親戚を訪ねてジュバに来ているとのこと。国外への避難民である「難民」に比べ、国内の他の場所への移動を強いられた「国内避難民」には国際的な注目が集まりにくいのですが、スーダン内戦では400万人もの国内避難民が生まれました。
彼女の故郷の村はウガンダ国境の近くなのに、どうしてハルツームに逃れたのか、尋ねてみました。「最初、村で戦闘が始まった時、私たちはジュバに逃げてきた。その後、ジュバも反政府軍に包囲され、一斉攻撃を受けた1992年、ジュバから逃げようと人々が空港に殺到したの。ウガンダに逃れるには特別な手続きが必要だったけど、そんな時間の余裕はなかったし、早く逃れるにはハルツームに行く以外なかった」
その後、ハルツームでの暮らしはどうでしたか?
「住むところも何もなかった。仕事も、食べるものも。避難民キャンプに住んだけど、町からは遠く離れている。みんなで助け合って、なんとか生きてきた。内戦が終わった今、南部に帰りたいとみんな思っている。だけど、帰るための旅費もない。飛行機代の300ポンド(約1万5千円)は高くて払えない」

話している間もハンドルを回していたリリーさん。ハンドルを止めると、ラジオからは再びスーダンの音楽が流れてきました。
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