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カプリコーン郡 家庭菜園研修

南アフリカ事業担当・現地代表兼任 渡辺 直子
2010年6月23日 更新

先日ご報告しましたリンポポ州・ベンベ郡を訪問した後、6月10〜15日にカプリコーン郡の活動地を訪問しました。カプリコーン郡での活動はベンベ郡より2年あと、2007年より活動を開始しました。現地のNGO・ポロションとともに(1)若者を対象とした予防啓発の研修、(2)HIV陽性者を対象としたエイズ治療等に関する研修、(3)在宅介護ボランティアの育成、(4)地元の給食センター(DIC)を通じた子どもの支援、(5)栄養改善としての家庭菜園研修を行ってきましたが、2009年度からは(2)、(3)、(5)の研修に集中して活動を行っています((4)は(5)を通じた支援)。

持続性のある菜園のために

今回の主な活動はこちらでも菜園研修でした。この三年間、陽性者、地域住民、在宅介護ボランティア、DICボランティア、ポロションスタッフを対象に家庭菜園研修を実施してきました。三年経った今、これまで研修に参加してきた人の実践が確実なものとなり、また彼らがお手本となって実践者が少しずつ増え始めています。ポロションの活動地は非常に乾燥したエリアな上に、参加者の中には家に水道がなく、歩いて10分程度のところまで水汲みに行く必要がある人もいますが、そんななかでも皆熱心に菜園をつくっています。

今年度の課題は、今年の9月にいったん活動の区切りを迎えるにあたり、どのように菜園づくりの持続性を確実なものにしていくかということです。このため今年度は、これまで研修に参加してきた人たちのなかで特にすばらしい菜園をつくっているポロションスタッフのジャクソンと地域の陽性者グループに参加していることがきっかけで研修に参加し始めたセリーナさんの二名をトレーナーとして育成しながら各菜園のモニタリング(現状確認とアドバイス)を行っています。

二人が適切な方法で他の人たちにアドバイスし、また新しい人たちに教えていくにはどうしたらいいか・・・。先日のベンベ郡の活動報告でも書きましたが、100の畑があれば、100の実践方法があり、野菜ひとつつくるのにも繊細な感性が必要とされます(と私は思います)。しかしそうは言ってもこれまで繰り返し学んできた技術があり、自分たちで持続的に菜園をつくっていくのにはずせないポイントがあります。ただこれらは、枯れ草で畑を覆って水分の蒸発を防ぐマルチ、採種、牛糞の使用、混作などとてもシンプルな工程であるがゆえに、忘れてしまいがちでもあります。そこでこれらを簡単な10のポイントにまとめてシートにし、二人がこれを使って菜園の状況を確認できるようにしていくことにしました。これまでの研修参加者間で学んだことを振り返ってもらい、大切な点を洗い出し、そこにトレーナーとJVCの意見も反映させてシートをつくりました。

切磋琢磨!

実はこの方法、かつてJVCが東ケープ州で環境保全型農業普及事業を行っていた際に採用していた方法です。そのときには9つのポイントをまとめて、毎月トレーナーと駐在員と研修参加者がそのシートを持って各人の畑をまわりました。そうすることで、研修参加者間がお互いから学び合うことができ、シンプルなポイントを体系立てて毎月繰り返し確認することが可能になりました。畑の状況の変化もわかるようになります。また畑の状態を数値化することでいい意味での競争も生まれました。その結果、畑の状態がぐんぐんとよくなっていったのです。そこで、この経験を今回も活かせるのではないかということで、取り入れてみたところ数ヶ月ですでに同じような効果が生まれています。

みんなで菜園を観察することで学びの場にもなりますみんなで菜園を観察することで学びの場にもなります

今回つくったシートには、10ある重要項目をどういう点から見て行くのか、各項目5つのポイントがあります(例えば、「雨水の有効活用」であれば、等高線に沿って畝を作っているか、雨水が畑に流れるように溝を掘っているか、マルチしているか、雨水を溜める工夫をしているか、保水しやすい畝をつくっているか)。これを菜園のどこを見てどんな風に観察していくのか、ジャクソンとセリーナさんがトレーナーのジョンとともに菜園を回り、各自で菜園の点数をつけながら、トレーナーから着目すべき点を教えてもらっています。そこに菜園の持ち主やその他の参加者が一緒になって菜園を観察することで同時に学ぶ過程になっています。

今回は全部で15ヶ所ほどの菜園をまわりました(残念ながら菜園の持ち主が他の研修で不在等の理由で全員の畑をまわることができませんでした)。うち3ヶ所が新しく始めた人たちの畑です。ポロションのダイレクターのジョナサン、そして在宅介護ボランティアのメンメさんケイトさんです。ジョナサンはこれまでずっと菜園づくりには関心がなく、研修にも出たことがなかったのですが、この4月から突然菜園づくりを始め、今年度の研修(=各菜園のモニタリング)にもついてきて、実践状況がよくない人を叱咤激励するようになりました。なぜ突然このような変化が起きたのか、何度聞いてみても「もともと関心はあったんだ」というばかりで理由は定かでないのですが、リーダーがやる気とお手本を見せて他の人たちを励ますことはとてもいいことです。実際、皆が俄然やる気になっている様子が感じられました。ジョナサンの名誉のために言っていいかが少しためらわれますが、今回のモニタリングでは4月から菜園づくりを始めたばかりのジョナサンが一番低い点数でした。それを知った参加者たちは大笑いの大喜び。ボランティアたちが「次も私が勝つわよ!」といえば、ジョナサンも「次回のモニタリングでは皆を驚かせてやる!!」と応酬。他の参加者間でも同様のやりとりがあり、いい競争と皆で各菜園を訪問することで活動への一体感が生まれているのが感じられました。ちなみに一番点数がよかったのはジャクソンの84点、ついでセリーナさんの61点で、二人ともちゃんと他の人のお手本になるような菜園の状態でした。セリーナさんは「次回はジャクソンを超えてみせるわ!」とはりきっています。

4月に始めたばかりのジョナサンの菜園。これからどんな風に変化していくのか楽しみです。4月に始めたばかりのジョナサンの菜園。これからどんな風に変化していくのか楽しみです。
セリーナさんの菜園を観察。ジョナサンも参加しています。セリーナさんの菜園を観察。ジョナサンも参加しています。
最高得点をとったジャクソンの畑。緑があふれています。最高得点をとったジャクソンの畑。緑があふれています。

在宅介護ボランティアたちについては、これまで熱心に菜園をつくり、自分の患者さんや子どもたちのサポートをしてきた人たちが途中で地域のクリニック担当官にプロモートされてポロションの活動地を去るなど、「育成してきた人材が流出してしまった・・」ということもありましたが、HIV/エイズ事業おける家庭菜園づくりの意義は実感してもらっていたようです。というのも、去ったボランティアたちが新しいボランティアたちへとその大切さを伝えていて、今ではメンメさんやケイトさんらあたらしいボランティアたちが家庭菜園をつくっています。彼女たちはJVCの研修に一度も参加したことがないため見よう見まねでやっていますが、なかなかの出来栄えでした。

在宅介護ボランティアのメンメさんの菜園。彼女は研修に参加していませんがちゃんとマルチもしています。在宅介護ボランティアのメンメさんの菜園。彼女は研修に参加していませんがちゃんとマルチもしています。

一日はトレーナーのジョンがいないなかでまわりました。ジョンは当然ながら畑の様子を見ながらほんのわずかなことでも適切にアドバイスを与えていきます。しかし、ジョンがいない中で、先日ジョンが他の人に示していたことを後日訪問したモニタリング対象者に指導するなど、研修を通じて二人が確実にいろんなことを学び、他の人を引っ張って行く力をつけている様子が見られて頼もしいかぎりでした。

モリンガの葉っぱを使ってコンポストにする方法を指導するジャクソンとセリーナさん。前日にジョンが他の人に教えていたところです。モリンガの葉っぱを使ってコンポストにする方法を指導するジャクソンとセリーナさん。前日にジョンが他の人に教えていたところです。

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