プロサバンナ事業ブログ
今日は、10月5日付「【速報】モザンビークのビザ申請に行ってきました」の記事の続きです。
9月21日の外務省経由・モザンビーク大使館からの連絡を受け、10月2日にビザを申請したことを、前回のブログでお伝えしました。その後、18日にはchange.orgを通じて集まった4,516筆の署名を外務省に提出いたしました。
しかし、19日が受け取り日、20日から現地に出発、11月7日までモザンビークに滞在する予定だったにもかかわらず、今回もビザが出ず...11月9日現在、いまだ東京にいます(涙)。前回のように「今回は出ない」という明確な結論もまだ出ておらず、いつ出るのか全くわからず待ち続けている状態です。ちなみに、今回も「現地の司法当局の判断」と言われています。
8月23日からはじまった、私のモザンビーク入国ビザの発給を求めるChange.orgでの署名活動にご協力くださった皆さま、Facebookやツイッター等で情報を拡散してくださった皆さま、励ましのメッセージを送ってくださった皆さま・・さまざまな形でのサポートを本当にありがとうございました。
残念ながらビザが発給されないまま帰国をいたしました(TICAD閣僚会議には参加できませんでした)が、4,000筆を超える署名は、モザンビーク現地の農民の皆さんや私の大きな励みになっています。
9月22日(金)には、クーリエ・ジャポンと堀潤さん率いるGARDENのご協力を得て、報告イベント「いま世界・アフリカで何が?~日本NGOのモザンビーク入国拒否問題から考える~」を開催しました。そこですでにご報告させていただきましたとおり、実はこのイベント前夜、外務省経由でモザンビーク大使館より以下の連絡がありました。
「・・・在京モザンビーク大使館の臨時代理大使より本国に確認した結果として連絡があり,(1)司法当局として未来永劫入国査証を発給しないとの決定を行ったわけではなく,今後通常の手続きに従い,日本あるいはモザンビーク大使館の所在地において査証申請できる,(2)・・・」
つまり、今後ビザが発給される可能性が示唆されている訳ですが、報告イベント前夜に連絡が来たことから、私たちはこれを、署名をはじめとする「市民の声」が政府へのプレッシャーとなり、大きな力として働いたと考えています。一方で、残念ながら今回の「不発給」の理由は開示されず、また、再発防止の対策が取られているわけでもなく、相変わらずの"司法当局"という言葉・・・。不明確な部分がまだ多く残されており、引き続き粘り強く対応を続けていく必要があります。
とはいえ「今後通常の手続きに従い,査証申請できる」とありましたので、10月2日にひとまずビザの申請に行ってきました。これは、10月下旬に「プロサバンナ事業」の実施国であるモザンビーク・ブラジル・日本の三カ国の農民・市民社会組織による「民衆会議」の開催がモザンビークで予定されており、これに参加するためです。
ビザ受け取り日は出発前日(!)の10月19日(うちの猫の命日でもあります・・涙)。果たしてビザは無事に出るかどうか・・・。またここでご報告させていただきます。引き続き、応援どうぞよろしくお願いいたします。
8月中旬、マラウィ、タンザニア、マダガスカル、南アフリカ、モザンビーク、ジンバブウェ、モーリシャス、ザンビア、アンゴラ、ボツワナ、スワジランド・・南部アフリカの人たちが南アフリカのジョハネスバーグに結集しました。
「STOP THE PLUNDER. AFRICA IS NOT FOR SELLING - THE SOUTHERN AFRICA CAMPAIGN TO DISMANTOLE CORPORATE POWER(略奪を止めろ。アフリカは売り物ではない‐企業の力を解体するための南部アフリカキャンペーン)」の一環として開催された「民衆法廷」に参加するためです。
鉱山やダム開発による環境汚染と公害問題、多国籍企業のF1タネを押し付ける援助と自分たちで採種したタネをめぐる問題、タックスヘイブンの問題・・・日々の暮らしや主権をめぐる様々な問題に対し、現地に暮らす人、そしてそれを支える同国のNGOメンバーが協力しながら訴訟を起こし、法廷で、いかに人権が侵害されているのか、国内・国際法に照らし何が違法なのかを陪審員に訴えます。
これらのケースはいずれも国内のガバナンス(統治のあらゆるプロセス)が悪く、それゆえに司法も機能せず、どうしようもない状態になってから、問題に対する国際社会の目を集めて事態を変えたい、連帯によって社会正義と公正な社会の実現を、「誰か助けて」との祈るような思いで持ち込まれています。ゆえに、どの事例も、「プロサバンナ」における人権侵害やモザンビークの人たちが抱える土地収奪の問題(http://bit.ly/1VM0Rm0)と通じるものがあり、被害の酷さに驚愕しました。そして、自分が活動する南アフリカのケースもいくつか報告され、まだまだこの国の現状をわかっていない自分も痛感し、少々落ち込みもしました・・。しかし一方で、途方に暮れそうな大きな問題と権力に対し、力強く、かつ非常に冷静に、ファクトやデータを用いて訴える参加者の様子を見て、「こんなにすごい人たちがこんなにいるのか・・・」と民衆のパワーと自分がその連帯の輪のなかにいることを実感し、非常に勇気づけられました。
また、参加をしたことで自分たちの運動の意義も知ることになりました。訴訟が起こされるケースはそのテーマからも加害側は先進国の企業であることがほとんどです。ある国のオーストリアの企業のケースを扱っている際、陪審員の一人がこういいました。「モザンビークのプロサバンナの事例は、被害を受けている人びとと加害側の国の市民による連帯・協働の好事例だと思う。あなた方は、オーストリアの市民社会とのこのような連携はないのか」。気がつけば、どのケースも自国の被害者とそれを支える市民社会が国家権力による逮捕や脅し、拷問にあいながら、必死に、命をかけて闘っています。このやりとりから、援助国としてあるいは進出する企業が存在する加害国側の市民として、変えるべき自分たちの社会、そして果たすべき責任・役割の大きさを痛感しました。同時に、モザンビーク、ブラジルと自分たちとの連帯による一連の抵抗運動は、(国家)権力の側からしたら、非常にやっかいな存在なのだと気がつきました。
それだけに、やはりモザンビークに入国して、活動を続けることは、自分の使命でもあります。
今回、自分はあくまでも聴衆の一人であり、「南部アフリカの現状を少しでも知ってもらえれば」と誘ってともに参加したJVC南アフリカのスタッフたちと、ひっそりと座っているつもりでした。しかし、プロサバンナの活動とビザのことを知った運営側の人たちが、ビザ発給への連帯を求めるメッセージを伝える場を2分ほど用意してくださいました。(現在署名活動をおこなっています)
その結果、TICADに関する提言活動等を行う「市民ネットワークfor TICAD」がTICAD開催に際して出した声明(JVCも賛同)、「TICAD VIフォローアップ閣僚会議参加希望者へのビザ不発給措置について強く再考を求めます」にその場で20弱の団体が賛同署名をしてくれました。署名をしてくださった皆さま、本当にありがとうございます。皆、他人事ではなく、当事者として怒ってくれました。法廷が終わったあとの夕食時のレストランでも「この場でまだ集めよう!」と言って署名を募ってくれた方もいました。アフリカの連帯のパワーとともに、温かさも感じた場面でした。
様々な方とつながることができて、今後の活動にとっても非常に貴重な機会を得ました。こうした方々の思いに報いるためにも、なんとか頑張って「ビザ発給拒否」問題が解決されるよう働きかけを続けたいと思います。