青少年のレジリエンスと地域保健の向上(エルサレム)
エルサレム周辺では、イスラエルが建設する「分離壁」や入植地により、パレスチナの人々の日常の移動が著しく制限されています。パレスチナの土地に食い込む入り組んだ形の「分離壁」のルートについては、国際司法裁判所が違法であるとの勧告的意見を2004年に出したにもかかわらず、現在も建設が続いています。また、事実上イスラエル側に併合されてしまった東エルサレムにおいては、パレスチナの人々もイスラエル政府に税金を納めている一方で、行政による社会福祉サービス予算の割合が約10%と、人口比(約30%)に見合わないほど低い状況です。
それらにより、住民の保健サービスや教育へのアクセスは阻害され、地域社会そのものが麻痺状態に陥っています。特に青少年の中では、イスラエル社会の繁栄と、パレスチナに科せられる経済・文化活動への制限の狭間で、無力感や将来への不安を抱える若者も少なくありません。その結果、東エルサレムでは学校の退学率が他地域と比べて高く、犯罪率の増加や暴力、アルコールや薬物中毒の増加等、様々な問題を招く要因の一つとなっています。
JVCは2015年12月から、外的圧力に対する抵抗・回復力を意味する「レジリエンス」を若者の間で向上し、また彼らの自主活動によって地域の公衆衛生の改善を目指す活動を続けています。
地域紹介
活動概要
目的 | 学校保健委員会の自発的な活動を動力源にし、学校教師や教育省、学校を取り巻く地域の住民を巻き込みながら、地域が抱える保健の問題の解決方法を人々自身が探り、実施する仕組みを創る。また、保健委員会の若者たちの能力を高めることで、彼らの尊厳を取り戻し、政治的状況のため生じる圧力への抵抗・回復力(レジリエンス)を高める。 |
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期間 | 2015年12月〜(現在も継続中) |
活動分野 | 教育・人づくり |
活動地域 | パレスチナ・エルサレム県に位置する以下16コミュニティ ・分離壁のエルサレム側:ワディー・ジョーズ、エルサレム旧市街(3箇所)、ベイト・ハニーナー、スール・バーヒル、スィルワーン ・分離壁のヨルダン川西岸側:アブー・ディース、アル・アイザリーヤ、ヒズマー、アナーター、アッラーム、シュアファート難民キャンプ、ダーヒヤ・アル・バリード、アッサワーヒラ、アッシェイフ・サアド |
活動対象 | 学校保健委員240人、学校生徒1,600人、学校教師32人、政府職員10人、保健委員会を支える地域保健サポートチーム80人、地域住民3,680人(計:5,642人) |
活動詳細 | 外務省の日本NGO連携無償資金協力を得て事業を展開しております。 ・外務省の該当ページ ・活動の実施計画はこちら(PDF) |
活動の詳細
JVCは、パレスチナの医療NGO「医療救援協会(Medical Relief Society:MRS)」と共同で、「分離壁」で分断された東エルサレムの両側にある16のコミュニティで活動を実施しています。活動の主役は、各コミュニティの学校に設置された学校保健委員会のメンバーたちです。彼らは学校教師や政府職員に支えられ、地域に設置された地域保健サポートチームの住民たちとともに、地域の保健問題を解決する小さなプロジェクトを実施します。
- 学校保健委員会
- 生徒から生徒に教えていけるような仕組みができるように、トレーナーとなる保健委員会の生徒に対し、研修・訓練を行っています。救急救命法や公衆衛生、暴力、コミュニケーション・スキルやリーダーシップ論等について学んだ後、地域の人々とともにプロジェクトを1つ企画・実施します。また、学校の他の生徒達に対しても、保健の知識を伝えるためのセッションを実施します。
- 学校教師・パレスチナ自治政府職員
- 学校保健委員会の活動を支えられるよう、救急救命法やコミュニケーション・スキル、コーチング等についてのトレーニングを受けます。学校内外で行われる学校保健委員会の活動を、責任をもってサポートし、また健康や福利に関する知識・スキルを、生徒や他教師に教えます。
- 地域保健サポートチーム
- 16のコミュニティそれぞれに、学校保健委員会の活動を支えるサポートチームを立ち上げます。チームには住民が参加し、生徒たちとともに地域の保健の課題を見つけ、改善のためのプロジェクト企画・実施を支えます。プロジェクトにはサポートチーム外の住民たちも参加し、より広く住民たちの健康・福利が改善されるような仕組みにします。
- サマーキャンプ
- 16のコミュニティから学校保健委員会や地域保健サポートチーム、教師、政府職員が集まり、サマーキャンプに参加します。キャンプでは、各コミュニティが実施した計16のプロジェクトについて発表し、その中から優秀なチームを表彰します。このような機会に参加することで、参加者は他のコミュニティで実施されたプロジェクトの事例から学び合うことができます。
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