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家族と離れてガザから抗がん剤治療に通うムハンマドくん(10歳)

パレスチナ現地代表 山村 順子
2019年1月10日 更新

こんにちは。JVCエルサレム事務所の山村です。今回は、いつもお世話になっているエルサレム事務所・業務補佐の廣本さんが記事を書いてくれました。内容は、ガザからエルサレムの病院に定期的に入院しているムハンマドくん(10歳)との交流に関するお話です。

半年ほど前のある日、JVCガザ事業のパートナー団体の女性からメッセージが届きました。
「親戚の子のムハンマドがガンで東エルサレムの病院に入院するの。ガザから何も持って行くことができなくて、助けを必要としている。お見舞いに行ってもらえないかしら?どうか、お願い...」
といったものでした。その切迫感のあるメッセージを受け、JVC事務所の近くに住む60代の女性サミラさん(仮名)の協力のもと、断食月の最中に、急いで病院に駆け付けたのが始まりでした。次の日には車を持っているサミラさんにお願いして、食料、シャンプー、石鹸などの最低限の生活用品を届けてもらいました。エルサレムはガザに比べて物価も倍以上で、ガザからほとんど着の身着のままで来た彼らにとって、身の回りの物をそろえるのは大変なことです。

ムハンマドくんは、ガザ戦争の際にも大きな被害を受けた、国境とエレズ検問所から近い、「ベイト・ハヌーン」という地域の出身です。ガンで入院する前は学校の成績もよく、とても聡明な子だとのことでした。もともとガザの人を支援したことのあるサミラさんとともに、JVCスタッフはムハンマドくんのお見舞いに定期的に出向くようになりました。

以下、エルサレム事務所・業務補佐の廣本さんによる記事です。

ムハンマドくんに初めて会ったのは、6月の断食月明けの休暇が終わったころでした。

ムハンマド君は大腸がんを患っており、抗がん剤での治療のため、自宅のあるガザから、東エルサレムの病院に入院していました。山村さんとサミラさんが少し前からムハンマドくんのお見舞いに通っているというのを聞いて、同行しました。

病室を訪ねると、はにかんだ笑顔で挨拶してくれたムハンマドくん。抗がん剤の副作用でからだもしんどいはずなのに、家族のこと、日本のアニメ「名探偵コナン」が好きなことを話してくれました。落ち着いた話し方で、体は大きくないものの、10歳よりも大人びて見えました。

手土産の代わりにと、以前、2歳の日本人の女の子が事務所に寄付してくれたおもちゃを渡したところ、お絵かきボードやだるま落とし、ドミノに興味を示し、遊び始めました。2歳の子のおもちゃだからすぐに飽きるかなと思っていたら、しばらくの間、真剣に遊んでいました。しっかり者のムハンマドくんという第一印象から、その姿は予想外でした。よほど遊ぶものがなく退屈していたのではないか、と思わずにはいられませんでした。

ムハンマドくんには中年の女性が付き添っていました。病気の子どもに付き添う女性、普通に考えればお母さんか、おばあちゃんでしょう。しかし、彼女はムハンマドくんのお母さんでも、おばあちゃんでもありませんでした。
ムハンマドくんのお父さんには奥さんが二人いて、その女性は、お父さんのもう一人の奥さんでした。(イスラームでは一夫多妻が認められており、ベイト・ハヌーンは一夫多妻の家庭が比較的多い地域と言われています。)
ガザに暮らす人がエルサレムに来るには、イスラエル政府から特別な許可証を取らないといけません。その許可証は、重病の治療や国際機関での仕事などの特別な理由がない限り、45歳以下の若年層には発行されにくいと言われています。ムハンマドくんのお母さんは45歳より若かったこともあり、許可証をもらうことができませんでした。お父さんのもう一人の奥さんであるシャリーフェさんは、45歳より年配で、許可証が取得できたので、代わりにムハンマドくんの付き添いをしていました。

東エルサレムの病院に入院している間、ムハンマドくんは両親や兄弟と離れ離れです。体力的にもきつい抗がん剤治療。お父さんお母さんに傍で甘えたいはずです。それに、「病は気から」とも言います。精神的にも良好な状態で治療に臨めることが望ましいに違いありません。
そして、ムハンマドくんに優しく付き添うシャリーフェさんも、その間ずっと、自分の子どもたちと離れ離れです。また、病院があるのは小高い丘の上で、公共交通機関の便が少なく、なかなか気軽に街に降りることもできず、孤立した環境です。お見舞いに来たサミラさん相手におしゃべりが止まらない様子に、普段病室でムハンマドくんと二人きりで、他の大人とゆっくり話す機会がないのが伝わってきました。

「断食月明けの休暇中、ムハンマドはずっと泣いていたんだって」
病院からの帰り道、サミラさんが教えてくれました。

「病院に入院している子どもたちは皆、東エルサレムやヨルダン川西岸地区にある自分の家に一時帰宅して、家族と一緒に過ごしたんだけど、ムハンマドとガザから来ているもう一人の子の二人だけ、家に帰れなかったから」
あのしっかり者で大人びたムハンマドくんがずっと泣いていたなんて...。

ムハンマドくんの東エルサレムでの治療に本当のお母さんが付き添えないこと。 シャリーフェさんが子どもたちと離れて、孤立した環境で何週間も過ごさないといけないこと。 ムハンマドくんが断食のあとの晩餐(イフタール)を家族と囲めないだけでなく、断食月明けの休暇に家に帰れず、涙を流したこと。
占領/封鎖とは何か、それが人々の生活にどのような影を落としているかを、改めて、具体的な形で見せられたように思いました。

ムハンマドくんは今も、月に一回ほどのペースで、ガザから東エルサレムの病院まで、家族と離れて抗がん剤治療に通っています。容態は良くなったり、悪くなったり、一進一退を繰り返していましたが、最近は回復に向かっているようです。早く元気になって、学校に戻れますように。そして、来年の断食月明けの休暇は、家族と一緒に楽しい時間が過ごせますように。

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