2016年10月の記事一覧
こんにちは、エルサレムに駐在中の並木です。 先日、週末のお休みを利用して、パレスチナ自治区・西岸の第二の都市、ヘブロンへのツアーに参加してきました。ツアーを主催していたのは、イスラエルのNGO「Breaking the Silence」(以下、BTS)。2000年から始まった第二次インティファーダ以降に立ち上げられた、イスラエルの兵役経験者の団体です。日本でも、パレスチナに向き合い続けているジャーナリストの土井敏邦さんが本やドキュメンタリー映画を出されていることもあり、ご存知の方も多いかもしれません。
JVCパレスチナ事業は、現地で安定した活動を行うために、イスラエルの社会省とパレスチナの内務省にNGO登録をしている。賛否はあるが、現地でスタッフの労働ビザを取ったり銀行口座を開設したりするためには、こうした団体登録は必要不可欠だ。しかし、当然ながら、それに付随した沢山の行政手続きも発生する。
10月11日、火曜日の夕方。東エルサレムにある自宅を出たところで、中学生くらいのパレスチナ人少年たち3人に声をかけられました。近所の子どもたちです。
そのうちの1人、黒くて大きな目をした、人懐っこそうな少年が私に言いました。
「お姉さん、いつもウチの店に来てるだろ? あの店、いま閉まってるんだ」
「どの店?」
「あの、ロックフェラー公園の前のスーパーだよ」
確かにそれは私の行きつけの、夜遅くまで開いている便利なお店です。店長も店番の青年も優しくて、よくお世話になっています。聞いてみれば、お店は「シャヒード(殉教者)」の追悼のために喪に服しているとのことでした。
「シャヒード」は宗教的な闘いに身を投じて命を落としたムスリムのことですが、パレスチナにおいては、主に占領者イスラエルとの闘いで命を落としたムスリムを意味します。そして10月9日の昼間、私の家から徒歩10分くらいのところで、パレスチナ人による銃の乱射事件がありました。この事件でイスラエル人が2人死亡、5人負傷。犯人は39歳男性で、その場で射殺されています。この犯人もまた、パレスチナ人にとっては「シャヒード」なのでした。
「アッバース大統領には本当に怒っているんだ。昨日、ペレスの弔問に行ったことに。」
汗がにじむような秋晴れの土曜日、ヨルダン川西岸地区のある村を訪ねた時のこと。お邪魔した家庭で食卓を囲む私たちを前に、パレスチナ人のお父さんが怒りを露にして話し始めました。