2014年6月の記事一覧
日本や欧米の主要メディアではイラク関連の報道の影に隠れていますが、今月12日、西岸地区全土にイスラエル軍が大規模な地上侵攻を開始し、ガザ地区でもここ数日間イスラエル軍による空爆が毎晩繰り返されています※注(1)。ガザ地区からは、小型ロケットがイスラエルに向かって発射されています。
ガザで2年来の付き合いになる、50歳代のタクシードライバーがいる。彼は、イスラエルに出稼ぎに行けた時代に買った20年来のおんぼろ自動車だけを頼りに、70平方メートルのアパートで家族7人を養って、子どもたちを大学に通わせている。真面目で朴訥とした信仰深い、嘘をつかない男である。彼が私に、これまで繰り返し言ってきたことがある。
「私はイスラエルもユダヤ人も嫌いではない。ヘブライ語も話せるし、一緒に平和に暮らせると思っている。私は大学に行きたくて、でも家族が学費を払えなかったから、学費を稼ぐために高校を卒業してすぐに、アシュケロン(イスラエル領内の都市)に働きに出た。当時は、イスラエル人がガザ中心部の市場に毎週金曜日にたくさん来ていた。魚を出すレストランにもイスラエル人が溢れていた。私もイスラエル人の下で働いていて、彼らにはとてもよくしてもらった。家に招待されたこともあったし、私が自分の家に招待することもあった。テルアビブに職場を移ってからは、ガザに帰るのが大変だったから、上司が自分の家に泊めてくれていた。」
私が、なぜそんな平和だったのにインティファーダ(占領終結と解放を訴えたパレスチナ人の民衆蜂起)が起きたのかと尋ねると彼は次のように答えた。