2012年12月の記事一覧
11月21日に結ばれたガザ紛争の停戦合意から2週間以上が過ぎました。停戦後、それまで毎月行われていたイスラエル軍による暗殺も起きておらず、またガザ側からのイスラエルへのミサイル発射もなく、現地は急速に平常な状態に戻っています。そして、この間パレスチナの国連オブザーバー国家承認という歴史的瞬間もありました。しかし、ガザの人々に降りかかる目の前の問題が消えるわけではありません。私は停戦後2回ガザに入りましたが、被害の全容が明らかになってきているので、お伝えします。
2012年11日29日、国際連合総会にて、パレスチナが国連の「オブザーバー機構」から「オブザーバー国家」へと格上げされることが承認されました。賛成138カ国(フランス、イタリア、中国など)、反対9カ国(イスラエル、米国、カナダなど)、棄権41カ国(英国、ドイツなど)でした。日本政府は、今回の決議では賛成票を投じました。
ガザ地区でもガザ紛争の開始(現地時間11月8日)以降、これまで対立関係にあった2大党派のハマースとファタハが協調姿勢の方向に歩み寄っており、昨日(11月29日)もガザ市ではファタハなどの支持者が集まって国家承認への支持を表明するデモを開催していました。これまでガザ地区ではファタハの政治運動は厳しく制限されていましたが、昨日はファタハの支持者たちが満載のバスに乗ってうれしそうにファタハの旗を振りながらデモに向かっていました。
来日したこともあるパレスチナ人権センターのラジ・スラーニさんは昨日、今回のガザ紛争はイスラエルの政治・軍事・諜報面での失敗であると同時に、ガザ地区でのファタハ、ハマース、イスラーム聖戦運動など各党派の和解を進めるきっかけになったことから、紛争が始まった11月8日は「大きな歴史の転換点として記憶されるだろう」とおっしゃっていました。