2011年2月の記事一覧
以前にもお伝えした、生徒から生徒へと健康教育を行っていく、「トレーナーのためのトレーニング」。現地でJVCが一緒に活動しているNGO「医療救援協会(MRS)」の医師と保健指導員は、これまで10回以上この学校で授業を行い、トレーナーたちの育成に当たりました。
これまでJVCはガザで、現地NGO「人間の大地」とともに、栄養失調になってしまった子どもの治療のための支援を行ってきました。厳しい封鎖により経済が壊滅状態に追い込まれ、一向に回復の兆しを見せないガザでは、貧困が直接子どもたちの健康に影響を与えています。この2月、国連機関が「ガザの失業率が45.4%にまで上がっている」と警鐘を鳴らしました。イスラエルが封鎖の“緩和”を発表した2010年6月以降の44.3%から、さらに上がっているのです。子どもたちが栄養失調状態になってしまう原因はまず、栄養価の高い食事をすることができない、つまり「それらを買うことができない」家庭の経済状況の悪化にあります。しかしこれまでの栄養失調児に対する支援を通して、私たちは、母親たちの栄養・衛生に関する知識が子どもたちの健康を守っていくということを実感してきました。そこで2011年からはガザ市内の3地域で、主に母親たちへの栄養・衛生に関する教育や幼稚園などを通して子どもたちに健康に対する意識向上のための教育を行うことで、地域レベルで子どもたちの栄養状態を改善し、栄養失調を「予防」する支援を行っていくことになりました。
- このブログを書いている人のプロフィール
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山村 順子
パレスチナ現地代表大学時代は南アフリカの構造的暴力をHIV/AIDSを通して研究。課外では日本とコリアの平和構築活動に携わる。2009年に開発と紛争・ガバナンス専攻で修士号取得。3年余り電機メーカー勤務を経て、2012年にパレスチナの分離壁のある村に滞在し、静かにパレスチナ人を蝕む「理不尽が当たり前」の現実に憤ると同時に彼らの人としての強さに魅了される。帰国後にJVCでボランティアをしながら、女性と子供支援に特化したNGOでインターンを経験。2013年から産油国への協力事業(教育・投資促進)に数年携わった後、当団体勤務。主観や偏見をできるだけ取り除き、問題の本質を常に考えることと、多様な価値観を武器とし、皆で知恵を出し合い事業を運営するのが目標。2016年からJVCに参加。
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