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ガザ:養鶏始まりました オヤジたちのその後

パレスチナ現地代表 福田 直美
2010年9月25日 更新

参加者へのトレーニング後、養鶏が始まって一ヵ月半。今日は参加家族に集まってもらい、「その後」の情報を共有するミーティングです。まず初めに、コーディネーターのファリッドさんが私に申し訳なさそうに言ってきました。「実は、誰も記録をつけていないんだ」。えーっ、と驚くそぶりを見せながら内心「やっぱり…」な私。参加家族にはそれぞれ、毎日いくつ卵が採れたか、いくつ家庭で食べたか、もし購入するものがあったら何にいくらかかったか、など記録をきちんとつけるようにしつこく伝えてあったのですが(HP記事424)、ノートと筆記具を配りながら実は私は「きっと面倒でやらないかもしれないなあ」と感じていたのです。聞けば、「最初の数週間は特に、卵が採れない日も多かったりして、つける気にならなかったんだよ」とのこと。

ミーティングに参加した男性たちには、配布後どのように養鶏が行われているか、何か問題があったか、獣医からのアドバイスには従っているか、工夫している点はあるか、などを一人ひとり発表してもらいました。まずは、現在平均で毎日いくつくらい卵が採れるか。多くの男性から、「毎日3個」、多い人で「毎日4〜5個」という答えが返ってきました。まずは順調な滑り出しのようです。また、数週間前に行われた、獣医による家庭訪問では、それぞれの男性が「水を毎日取り替えるように」「場所をきれいに保つように」「前から飼っていたニワトリや他の動物を一緒にしないように」などのアドバイスを受けたとのことでした。中でもニワトリが順調に卵を生産している男性が「うちは、ニワトリの餌にお米や麦のくずを入れて混ぜて与えている」など工夫点を発表すると、他の男性たちは「それは何だ?」と身を乗りだして聞いてきます。他の人が話すのを皆真剣に聞いており、自分の家での工夫や改善につなげていこうとする姿勢が感じられます。前回のミーティング以上に、オヤジたちが盛り上がっているのを見て、私も嬉しくなりました。最後にあらためて「生産性をみていく」というこの事業の目的を説明し、生産が安定してきたこともあるので、記録をつけることを皆にお願いしました。

オヤジたちの情報交換。「お宅は餌なにやってんの?」オヤジたちの情報交換。「お宅は餌なにやってんの?」

さてその後は、月に一度の獣医による家庭訪問です。先月に続き2回目です。今回は、前回の訪問時に受けたアドバイスに従っているか、ニワトリに問題はないかなどがチェックされます。イードさんは、以前から飼っている古いアヒルと今回配布されたニワトリがまだ一緒に飼われていること、ファレスさんは台所からの汚水がニワトリを飼っている庭の土に染み出していること、またいくつかの家庭で水を頻繁に交換していないことが指摘されました。アベッドさんは、「ニワトリに西からの風があたらないようにシートをかぶせなければならない」と指導されました。ニワトリは冷気に弱いため、特に冬に向かっていくこれからの季節、寒さに備え、また外気によって運ばれてくる病原によってニワトリが病気にならないよう気をつけなければならないのです。それぞれの家族はこれらの獣医の指導に従うことが求められ、それができているかどうかは、週一回のファリッドさんの訪問でフォローアップされます。

一方、きちんとトレーニングで学んだことや獣医のアドバイスに従っている家庭では、やはり卵が生産される数は若干多いようです。ムスタファさんは、餌に色々混ぜてみたり、またニワトリの囲いを置く場所や日光や風が直接あたらないようにカバーをかけたりと工夫しており、獣医さんから「パーフェクトだ」と褒められて照れくさそうな笑みを浮かべました。その横では、「毎日卵を食べている」という子どもが嬉しそうにニワトリを見つめていました。アティアさんは、餌にフブス(パン)を混ぜたり、また場所をとても清潔に保っていることを褒められました。この2人のニワトリは毎日4〜5個の卵を産んでおり、全てのニワトリが健康。今のところ最も成功しているといえるでしょう。

「パーフェクト」の太鼓判をもらったムスタファさんと息子「パーフェクト」の太鼓判をもらったムスタファさんと息子
獣医に「ちゃんと水を取り替えて」と指導されるアフマドさん。頭をかいている場合じゃないですよ獣医に「ちゃんと水を取り替えて」と指導されるアフマドさん。頭をかいている場合じゃないですよ

また、「かわいそう」な人もいました。業者が持ってきた餌の袋に、ブロイラー(食肉用ニワトリ)用のものが1袋紛れ込んでいたのです。不運にもその袋をもらってしまったジュムアさん。そのことに気づかず、餌をやりながら「どうしてうちのニワトリは、太る一方で全然卵を産まないんだ?」と疑問に思っていたそうです。確かに、ジュムアさんのニワトリを見ると…丸々と太ったものばかり(おいしそう?)!餌が間違ったものだと気づいて、ジュムアさんは自分で、皆と同じ餌を購入したそうです。これから無事、卵を産むように育ってくれることを願います。

まだこの事業が始まる前、各家庭を訪問し、食生活や経済状況について聞き取りをした時の皆の表情と比べると、どのオヤジも生き生きとした表情を見せてくれました(気のせいでしょうか?)。台所事情は少し変わったでしょうか?次は、お母さんたちにも感想を聞いてみたいところです。

オリーブの木の下で涼むニワトリたちもオリーブの木の下で涼むニワトリたちも

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