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蜂蜜の収穫

パレスチナ現地代表 福田 直美
2010年7月24日 更新

昨年から始めた養蜂(2010年1月30日「養蜂始めました。」参照)。私のミツバチたちの巣箱はヨルダン川西岸地区北部の村にあり、エルサレムからは車で1時間ほどかかります。これまで2〜3週間に一度、様子を見に行っていました。冬場は餌となる砂糖水をやったり、雨や冷たい風が入り込まないようにしたり、またミツバチが増える春先には、女王蜂や卵がたくさん産み付けてあるフレームを移動させたりと、実は3日に一度は世話をしなければなりません。私がなかなか頻繁に行くことができないため、友人の親戚がずっと面倒を見てくれていました。そしてとうとう収穫の季節がやってきたのですが、自分の巣箱の蜂蜜の収穫の予定日に行くことができず悔しそうにしていた私。そこで、西岸南部のアル・ジーブ村に住む知人のガッサンさんから「うちの蜂蜜の収穫を手伝って」とお誘いがありました。彼の家のミツバチを見に行くのはこれで5度目くらいです(2008年11月28日「アル・ジーブ村[1]:1日養蜂体験」参照)。2008年末に最初に訪れた際は11箱だった巣箱は、この日22箱にまで増えていました。

今年は春以降の寒暖の差が激しく、その影響で蜂蜜の収穫量も芳しくないとのこと。また、世界中でミツバチの数が減っているという現在まで原因不明の「ミツバチ滅亡危機」の影響はここにも及んでいます(パレスチナでは、「携帯電話の電波がミツバチを迷子にさせている」説が有力です)。「去年よりも一昨年よりも、収穫量は減っている」とのこと。通常であれば、22箱あれば400kg近い蜂蜜が収穫できるはずとのことでしたが、今年の収穫量は70〜80kg程度だそうです。

さて、まずはそれぞれの巣箱を空けて、ミツバチの様子をチェックします。春先に一気に増えたミツバチたちは今日も元気に仕事をしています。その箱のミツバチの「性格」は女王蜂によって決まるとのこと。おもしろいもので、箱を開けただけで「とっても働き者」「たくさんいるけれどもあまり働いていない」「まったくやる気がない」など、性格がわかるようになりました。パッと見て、この箱からはフレームをいくつか移動してもう一箱増やせそうだな、ということもわかるようになりました。そして何より(?)、防護服の中やジーンズの中に一匹くらいミツバチが入ってきても動揺することがなくなりました!

ステンドグラスのような色とりどりの花粉のセル ステンドグラスのような色とりどりの花粉のセル

さて、収穫の開始です。それぞれの箱の中のフレームを1枠ずつ取り出し、蜂蜜が詰まったセルが多いフレームを取り出していきます。よく見るとセルには、蜂蜜が完成されて“蓋”が作られたセル、ミツバチが蜂蜜を作りかけているセル、花粉を貯蔵しているセル、幼虫のセル、卵が産み付けられているセルなど、別れています。春先によく見る、色とりどりの花粉のセルはとっても美しく、ステンドグラスのようです。蜂蜜が完成されたセルがぎっしりのフレームは表面が白っぽく見え、持つとずっしり重みを感じ、ミツバチが頑張って仕事をしてきたことを実感します。

完成された蜂蜜のセル完成された蜂蜜のセル

その、“蓋”が作られ蜂蜜が完成されたセルが多くあるフレームを取り外し、ブラシでやさしくミツバチを払って、ミツバチが入ってこないように静かに箱に入れます。「収穫された蜂蜜を奪われる!」とミツバチも必死に追いかけてくるため、このフレームを集めた箱を室内に移動します。次は、室内でそのフレームの蜂蜜の“蓋”を、金属のブラシで掻き、“蓋”を壊していきます。すると、中からトロンとした蜂蜜が出てきます。その匂いをかぎつけてハチミツを取り返そうとするのか、網戸にぶち当たるミツバチの多いこと!そんなミツバチを見ながら、フレームを今度は4枚ずつ遠心分離機に入れ、勢いよく回します。ある程度蜂蜜がフレームから落ちたら、今度はフレームの表と裏を逆にして、もう一度遠心分離機にかけます。4枚につき20分ほどぐるぐる回し、蛇口を開けて遠心分離機内に落ちた蜂蜜をお鍋で受け止めると、なんとも美しい黄金色に輝いた液体が流れ出しました。「ビールみたい!」なんてムスリムの人の前では口が裂けても言えませんが・・・。

遠心分離機に入れる前に、蜂蜜のセルの表面を掻いて“蓋”を壊す。後ろに見えるのは遠心分離機遠心分離機に入れる前に、蜂蜜のセルの表面を掻いて“蓋”を壊す。後ろに見えるのは遠心分離機
遠心分離機から出てくる蜂蜜は黄金色!遠心分離機から出てくる蜂蜜は黄金色!

一見のどかな光景のように見えるハチミツの収穫。しかしこのガッサンさんの住むアル・ジーブ村も分離壁に囲まれ、隣の村に行くのにもユダヤ人入植者が通るために作られた道路の下に掘られたトンネルを抜けていかなければなりません(「アル・ジーブ村[2]:壁に囲まれた村」参照)。「トンネルができて、移動が前よりは楽になった。その前は大きな町までわざわざ行ってぐるっと遠回りをしてこなければならなかったから」とガッサンさんは言いますが、すぐ目の前に見える入植地の拡大している様子がこの日も家のすぐ前から見えました。いつまた隣の村や町まで移動するルートが強制的に変えられるのか、そんなことは村の人にはわからないのです。収穫されたハチミツはこの後、村の生産者組合で集められ、ヨルダン川西岸地区内での販売に向けて出荷されます。西岸内での蜂蜜の需要には生産量が追いついていないそうです。西岸内の物資の移動も封鎖によって影響を受けますが、イスラエルがコントロールしている国境を越えて国外に輸出するのも大変です。それでも、一昨年前にヨーロッパで行われた品評会では、西岸産のハチミツは高い評価を受けたとのこと。「いつか、日本でもパレスチナのハチミツが売られるようになればいいね」と会話しながら、この日の収穫を終えました。


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