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「人間の大地」栄養センター:笑顔という栄養

パレスチナ現地代表 福田 直美
2009年12月 8日 更新

ガザの現地NGO「人間の大地」を訪問した12月初旬、ガザは気温が下がりすっかり冬になっていました。センターに通ってくる栄養失調の子どもたちも、毛糸の帽子をかぶっていたり、暖かそうなコートを着込んでいます。

お母さんたちがセンターで子どもたちに食べさせる栄養食を調理している部屋にお邪魔しました。おいしそうな匂いが部屋の外まで漂います。お母さんの1人が、鍋の中に入っている野菜を説明してくれました。キャベツ、グリーンピース、たまねぎ、じゃがいも、パプリカ、にんじんなどの野菜、そしてミンチにした牛肉が入っています。全て一緒に鍋で調理し、出来上がったものをミキサーでかくはんするのです。子どもたちが食べているのはどんな味だろう、と少しだけ味見をさせてもらいました。「子どもに与えるものは調味料を入れていないから、味が薄いの。お塩を少し入れたほうがいいわよ」とお母さんたちは言いますが、塩を入れずに子どもたちが食べているものと同じものを食べてみました。野菜の甘さがしっかり出ていて、とてもお腹に優しいスープです。

野菜とお肉のスープを作るお母さん野菜とお肉のスープを作るお母さん

「人間の大地」では、栄養失調の子どものお母さんたちに、栄養価の高い食事の作り方を教えています。また、お皿などを清潔に保つために熱湯で消毒することなども指導しています。お母さんたちと話していると、調理室にどんどん他のお母さんも集まってきました。市場での野菜などの値段について聞くと、皆が口を揃えて「高くて何も買えないわ」と言います。お母さんたちが教えてくれた価格は次の通り:トマト1kg=約150円、じゃがいも1kg=約100円、たまねぎ1kg=約125円、牛肉1kg=約1,500円、卵は30個で約425円もするそうです。「以前はトマトなんかは約半分の値段だったわ」とのことです。

また、ここ3週間ほど、調理用ガスがガザに全く入ってこない状態が続いているそうです。正規ルート(イスラエル経由)で入ってきたガスは、以前は1缶約1,500円で満タンにすることができました。しかし今は、エジプトからトンネル経由で入ってくるものしかないため、買おうとすれば約6,000円もするそうです。調理だけでなく、こちらではこの調理用ガスを使ったストーブが冬場に活躍するのですが、それを使うこともできません。調理には、粘土でできたオーブンを使っているそうです。実際に道端でこの「土釜」が売られている光景は、いまだによく見かけます。「何を燃やすの?」と聞くと、「木とか草とか、ゴミでも何でも燃やすわ」というお母さんに対して、健康指導員さんは「プラスチックなど有害な物質を発するものは燃やしてはダメよ。それから、子どもを絶対に近づけないで」と注意しました。
一見、ガザ内の商店などは食料品から電化製品、車の部品などまでモノで溢れているような印象を受けますが、エジプトから入ってくるものはとても高価です。この日、調理場に集まっていたお母さんたち10人ほどに、ご主人が仕事を持っているかという質問をすると、手を上げたのはたった1人でした。封鎖の影響で仕事を失ったままの人が多い状態が続き、貧困に生きる人にとって厳しい日々は続いています。

栄養センターのフィーディング・ユニット(栄養食を食べさせる部屋)では、先月会ったサブリーンちゃんに会いました。9月は4.5kg、11月は3.8kgあった体重はこの日、3.6kgへと再び下がってしまいました。健康指導員さんがとなりについて、「寝かせたままではなく、少しでも体を起こした状態で食べさせて」とお母さんに食べさせ方の指導をしています。サブリーンちゃんは泣きながらも、この日のスープをすべて食べることができました。健康指導員さんに「えらいわ」とほめられ、お母さんもうれしそうです。

サブリーンちゃん、頑張って全部食べました!サブリーンちゃん、頑張って全部食べました!

一方、7ヶ月になるゼナちゃんは順調に回復している様子。初めてセンターに来た10月初旬、体重は4.7kgで重度の栄養失調と診断されましたが、一ヵ月後の11月初旬には4.95kgへ、そしてまた一ヵ月後の今回は5.3kgにまで増えていました。まだ、細い手足が気になるものの、「笑顔を見せるようになったのよ。センターで食べる食事も大好きみたい。ほら、今も調理中のスープを待っているわ」とお母さんはゼナちゃんをあやしながら、やはりうれしそうな笑みを見せるのです。

調理室で、お母さんと子どもたち。右の黄色い服を着ているのがゼナちゃん調理室で、お母さんと子どもたち。右の黄色い服を着ているのがゼナちゃん

エルサレムに戻った後、私の聞き取りを手伝ってくれた「人間の大地」のスタッフからメールが届きました。「センターに来るお母さんたちは、あなたたちに子どもの健康状態について話したり、家のことやお母さんたち自身のことを一緒に話すのを、とっても楽しんでいるのよ。だからまた来てね」とのことです。私は栄養の専門家ではないので、お母さんたちにアドバイスなどはできないのですが、ちょっとした雑談がお母さんたちを元気づけていると聞いて、うれしくなりました。ガザの人々にとっては、長期的に続く封鎖、それによって生じる貧困という問題、その影響を受ける子どもたちのことを、私たちが忘れずにずっと見守っているということだけでも、大切な支援なのかもしれません。お母さんたちの笑顔は、子どもたちにとってとても大切な栄養です。そしてその栄養を生み出すためにも、私たちは「見守っていく」「日本に伝えていく」ことも含めた支援を続けていきたいと思います。


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