昨年末からのガザ情勢に対する緊急対応に追われていて、しばらくベツレヘム、ベイト・ジブリン難民キャンプの女性グループを訪問することができないでいました。女性たちは順調に仕事をこなしており、またこの間、材料費や賃金などの設定を再度計算したりと、彼女たちなりに色々な仕事を進めてきました。久々の訪問が年明け最初だったので、メンバーを集めて会議と技術向上のためのワークショップを行うことになりました。

会議では、メンバー間で仕事についての話し合いが行われました。注文を受けたり、在庫分を制作する時には、運営・会計を担っているメンバーたちが、それぞれの女性たちにできるだけ仕事が均等に行くようにしているのですが、時々「あの人のほうが仕事をもらっている」と不満を言うメンバーもいるとのこと。しかし、決められた期限までにきちんとグループとしての仕事をこなすには、例えば家の事情で仕事をする時間がない人がいればその時は他の女性たちがその仕事をする、などの調整が必要になってきます。メンバーそれぞれが、家庭の事情を抱えているのです。できる限りの配慮はするとした上で、「一人の仕事が遅れれば、それはグループ全体の仕事に関わる」ということを理解してもらう会議になりました。
その後、刺繍技術のワークショップが行われました。刺繍の商品の中には、グラデーションの糸を使用した模様があるのですが、実はきれいにグラデーションを出すには「刺繍の仕方」にコツがいるのです。同じ糸を使っていても、このコツを間違えていると全く違う仕上がりになるのです。そのコツとは、円形の模様を縫うときには、縦や横の方向ではなく、ぐるっと円を描くように刺繍をしていく、という実は覚えれば簡単なこと(私はできませんが)。ずっと前から、「これはいい例。これが悪い例」と実物を見せて伝えてきたのですが、どうしても未だに仕上がりにばらつきがあったので、上手な人にワークショップを行ってもらうことになったのです。

ワークショップを行っているうちに、実はこの「コツ」を知っているメンバーが多くいることに気づきました。では、なぜ、実際に商品を作る時にはそれを実践しないのでしょうか。「だって、このやり方だと時間がかかるんだもの」「ほら、こうやって横に縫えばカンタン」・・・という言葉を聞いて、私はつい、「こらーっ」と怒りの声を上げたくなりました。きれいに仕上げる方法を知っていながらそれを行わないとは、「怠慢!」と、(そこはアラビア語で)女性たちに伝えました。このコツを実践するとしないでは、商品の売れ行きにも影響が出てしまいます。より良い商品を作っていこうという意識がなければ、彼女たちの仕事が増えることはないでしょう。それを再度説明して、それぞれの仕事に責任を持つように、ということも年を新たにして再確認されました。

「今年も更に厳しいわねー」と女性たちに憎まれ口をたたかれることになろうと(面と向かっていわれるので気にはしませんが)、今年も女性たちがよりグループとして自立し、よい仕事をしていけるよう、適度に厳しく、そして一緒に笑いあいながら頑張って行こうと思います。

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