
今年も、パレスチナではオリーブの収穫の時期がやってきました。爽やかな秋空となった週末、ベツレヘムの南にある村でのオリーブ摘みキャンペーンに参加してきました。この村のすぐ西側にはエフラットという大きな入植地があります。村のオリーブ畑は丘陵地の斜面沿いにあるのですが、村の敷地を貫通するように道路が建設され、畑と村は切り離されてしまいました。村の中から道路につながる道には金属製のゲートが設置されており、パレスチナ人農家の畑へのアクセスを阻んでいます。

特にこの時季、パレスチナ西岸では、入植者がオリーブ畑に入ってきてパレスチナ人農家の作業を妨害したり攻撃するという事件をニュース等で聞くことが少なくありません。そういった入植者の行為を外国人の存在、また多くの人たちが参加することによって阻止することも目的に、収穫の時期になると地元のNGOなどによるオリーブ摘みキャンペーンが行われるのです。この日は、村の人たち、主にベツレヘムから来たパレスチナの青年たち、加えてフランスなどからこのキャンペーンのためにやってきた人たち、現地に住む外国人等、40〜50名が集まりました。この日はゲートが閉められていたので、一人ひとりゲートの隙間を通ってオリーブ畑に到着、オリーブ摘みの開始です。


「オリーブは2年サイクルで豊作と不作の年があるんだ。今年は豊作だよ」と地元の農業系NGOのスタッフは言います。去年の冬は雨が少なく夏は西岸各地で水不足の状態だったので今年はどうなるかと思っていたのですが、確かに、どの木も重さで枝がしなるほど立派な実をたわわにつけています。一本の木に7〜8人がかりで作業をしても、なかなか収穫が終わりません。作業は、村のおばあちゃんとスペインから来た女性がそれぞれの収穫の歌を歌ったりしながら、また子どもを肩車して高い枝の実を摘んだりしながら行われ、とてものどかで気持ちがよく、あっという間に時間が過ぎていきました。途中で「疲れた!」と木陰に腰掛けた私に、作業を見ていた村のおじいちゃんは、「村人総動員でのオリーブ摘みは、昔から続くパレスチナの光景。本当にきれいな光景だ」と、嬉しそうに話してくれました。しかし丘陵地の上を見上げると、フェンス越しにこちらを見る入植者の姿が見えるのです。
「この畑のオリーブの木はどのくらいの樹齢なの?」と村の人に聞くと、「この入植地ができたのが1980年代。それまではこの辺りは一面ブドウ畑だったのだけれども、入植地の建設のためにブドウの木は全て切り倒されてしまった。自分たちの土地を守るために、村の人たちは入植地とのギリギリの境界線までオリーブの木を植えたんだ。だからこのオリーブの木はまだ、20年くらいなんだよ」と教えてくれました。また、エフラット入植地は拡大を続けており、今年の5月には近くの村のパレスチナ人の家屋が乗っ取られたとも教えてくれました。
パレスチナの農地のうち45%はオリーブ畑で、また、最大で10万家族がオリーブの収穫にある程度生計を頼っているといわれていますが、イスラエルによる厳しい封鎖政策により農地や市場へのアクセスが妨げられていることが、パレスチナ人農家にとっての大きな懸念となっています(The Olive Harvest In The West Bank & Gaza Strip: United Nations, October 2008)。パレスチナでは樹齢が数百年というオリーブの木も多くあります。まだ若いこのオリーブの木々が来年も再来年も多くの実をつけて成長を続け、村の人たちが毎年この木の下で収穫の歌を歌ってその喜びを分かち合える、そんな平和な光景を願って、皆で収穫の歌を口ずさみながら帰途に着きました。
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