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9.11から5年。パレスチナにいて、想うこと

パレスチナ現地調整員 小林 和香子
2006年9月11日 更新
栄養失調の子ども(2006年)栄養失調の子ども(2006年)

パレスチナ自治政府統計局によれば、2006年第二四半期の失業率は西岸で18%、ガザで34%である。雇用者の約3割(ガザでは4割)が公務員であるが、彼らの多くの給料は1月から支払われていない。その結果、貧困率は西岸で54.7%、ガザではなんと87.7%である。ガザには3万人の5歳未満の子どもが慢性的な栄養失調にかかり、今後の食料不足および水の汚染でさらに増えると予測される。欧米のメディアでは、ガザに飢饉が来ると警鐘を鳴らしている。JVCが緊急支援しているガザ地区栄養失調児への栄養支援プロジェクトの現場では、栄養センターに連れてこられる栄養失調の子どもや貧血の子ども達が後を絶たない。

何故、パレスチナは特にガザはここまでひどい状態なのか。この状態を作り出したのは、2001年9月11日の同時爆破攻撃への「報復」に始まったアメリカ主導の終わりのない「テロとの戦争」の影響だと言っても過言ではない。2001年9月、パレスチナは、おりしもオスロ和平最終合意決裂後のアル・アクサ・インティファーダの最中だった。オスロ和平プロセスは、パレスチナ人の生活をさらに困難にし、イスラエルによる占領を合法化し、パレスチナ独立主権国家が夢であったことを明らかにした。アル・アクサ・インティファーダはパレスチナの人々がイスラエルの占領の継続、そして自分たちの指導者の腐敗を非難する行動であった。

9.11事件の数ヶ月後、早くも「テロとの戦い」と称したイスラエルによる西岸・ガザへの再侵攻が始まった。2002年春にはジェニン、ラマッラー、ベツレヘムなど西岸の都市に次々と侵攻が始まり、外出禁止令が敷かれる中、自治政府施設や難民キャンプ、現地NGO施設などが次々と破壊されていった。中でもジェニン難民キャンプへの侵攻と虐殺は、国際的な非難を受けたものの、イスラエルは最後まで国連による視察団の立ち入りも許さず責任も賠償も問われていない。

攻撃を受けた一般家屋(2006年)攻撃を受けた一般家屋(2006年)

2002年に建設が始まった西岸内の「壁」は、パレスチナ人から土地を奪い、水を奪い、移動の自由を困難にし、イスラエル人の入植地を拡大するものであるが、イスラエルは「テロリスト」の侵入を防ぐための自衛処置だとしている。2004年7月に国際司法裁判所の勧告的意見がその違法性を指摘したのにも関わらず、建設は着々と進んでいる。また、2005年夏にイスラエルはハマスによる抵抗が激しいガザからの一方的撤退を行ったものの、空域、海域、領域の管理および電気やガソリンなどのライフラインの管理を引き続き行い実質的占領は継続している。このハマスとはイスラム系組織で貧困にあえぐ人々の救済を行う福祉部門を持つ一方、イスラエルの占領に武力で抵抗するための武装部門も併せ持つ。この両方の顔を持つハマスをイスラエルと米国は「テロリスト集団」とみなしている。

パレスチナ人のさらなる苦悩は、2006年1月に民主的に実施された選挙によって、このハマスがパレスチナ評議会の過半数を獲得したことに始まる。解放運動家気質を抜け切れず、腐敗したイメージが定着したファタハ指導者に辟易していたパレスチナ人はクリーンでプロフェッショナルなイメージを持つハマス政党の候補者に民主的国家の構築を委ねたのだった。しかし、イスラエル・米国は「テロリスト集団」であるハマス政権を承認せず、多くの国もそれを見習っている。そのため、パレスチナ自治政府の財政を支えてきた、イスラエルが徴収している税金や、各国からの支援金の送金がほとんど凍結し、パレスチナの役人や公立学校の先生などの公務員の給料のほとんどが1月から支払われていない。

加えて、6月末にハマスの一グループがイスラエル兵士を拉致し、イスラエルに拘留されているパレスチナ人女性や子どもとの交換を迫ったが、イスラエル軍は「テロリスト」とは取引しないとして、ガザに侵攻し、評議会の議員および内閣閣僚を数十人拉致し、省庁を破壊し、水や電気などのライフラインを破壊した。ほぼ同じ時期にレバノンではイスラム系組織ヒズボラがイスラエル軍人を拉致し、イスラエルに拘束されているレバノン人捕虜との解放を求めたが、イスラエルはこれも「テロリスト」とは取引しないとしてレバノンにたいして徹底的な軍事攻撃をしかけた。

「テロ」とは何か、「テロリスト」とは誰かという明確な国際的に共有される定義がないまま、一方的な「テロとの戦い」は継続していく。米国大統領は9月5日の演説で今後もこの戦いを推し進めていくと断言している。そして、この戦いで集団懲罰的に被害を蒙るのは一般の市民であり、特に社会的弱者である女性や子どもなのである。この状況下で私達NGOが彼らに出来ることは僅かかも知れない。収入のない家庭に現金収入の道を作り、栄養失調の子どもに栄養のある食事を提供し、トラウマを持った子どもにケアを提供する。今はこの弱者に寄り添い、この不条理な時の証人となり、現状を訴えることを、とにかく地道に続けていく。


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