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イスラエル軍の侵攻とガザの人々の生活

パレスチナ現地調整員 藤屋 リカ
2006年6月30日 更新

ガザへの心配
6月24日のガザでの仕事は充実していました。一発の銃声も聞こえませんでした、という連絡をしたのもつかのまのこと。25日、ガザ南部でパレスチナの抵抗組織がイスラエル領まで掘ったトンネルからイスラエルの軍事基地を攻撃。2人のイスラエル兵が死亡、一人が拉致されました。
イスラエルとパレスチナの緊張は高まっています。イスラエル兵を拉致したパレスチナ側の組織は、イスラエルの刑務所に収監されている女性と18歳未満の子どもの解放を要求。イスラエル政府はそれには応じません。イスラエル軍はガザ地区への軍事侵攻の準備を進めています。

子どもの栄養改善事業の責任者のモナは、来週から開始予定の経済危機で十分な食べ物が家にない声面たちへの「緊急対応」としての幼稚園の子どもたちのためのサマープログラム、午前中の遊びとビスケットと果物の提供、の準備を淡々と進めています。「地上戦が始まるかも知れないけれど、私たちはここに住んでここに生きているの。子どもたちには食べ物が必要。地上戦が始まっても、全ての地域が戦闘に巻き込まれるわけではないのだから、予定通り準備しているの」と言います。そして、「今度はいつガザに来るの、来週?」私にと聞き、いつもの調子で仕事の打ち合わせです。

今イスラエル軍の戦車が集結している場所や今回のパレスチナ側による攻撃があった場所を考えれば、南部のことが心配です。
ガザ地区南部は、現在、特に状況が厳しいです。6月から緊急支援をしている子どもの栄養を専門とする「人間の大地」ハンユニスセンターに連れてこられる栄養失調児は増える一方です。2月の来所者総数877人から5月は2177人にまで増えています。中でもラファからの子どもが7割を占めます。センターの代表のハナンは、「2004年にイスラエル軍のラファへの侵攻があった時点で、ラファの経済状況はパレスチナの中で最悪でした。その後、経済の回復が考えられるようなことがありましたか」と言います。そして、悪影響は弱い立場の子どもたちに出ているのです。

2004年のラファ侵攻のとき、エジプト国境に隣接する子どもの栄養改善事業のフィールド・コーディネーターのラシャの家は、イスラエル軍によって破壊されました。泣きながらガザ市内にいた私たちのところに何度も電話して来ました。その後、彼女は結婚、今では5ヶ月の女の子の母親ですが、この状況をどのように感じているのでしょうか。彼女が味わった恐怖と苦しみを、幼い娘が味わうことのないように祈るしかありません。

私たちが支援しているラファの幼稚園に通っていた、流れ弾が当たって亡くなったラワンのような子どもがもう出てほしくありません。
イスラエル軍の侵攻は24時間以内に決まる様子です。この最悪の経済状況で軍事侵攻があれば、最も貧しい人たちから間接的な犠牲になっていくことでしょう。また小規模ですが、何らかのアクションを起こさなければならないかもしれません。本当はこんな仕事の計画等しなければ良い状況が来て欲しいです。最後の瞬間まで、軍事介入にならない解決を願っています。
(6月27日未明)

イスラエル軍のガザ侵攻
恐れたことは現実になりました。28日の未明、イスラエル軍はガザ地区に侵攻。侵攻した地域、南部のラファ市の東側のショウカットは貧しい地域で、2004年の緊急支援1緊急支援2で関わった栄養失調だった子どもたちも住んでいる地域です。細々と農業をしている人々の土地はどうなっているのでしょうか。その軍事侵攻のとき戦車は地雷が埋まっていないと予測される農地や幼稚園の園庭等を選んで走っていたようで、様々な被害が出たことが思い出されます。また、昨晩の空爆でガザの南部を結ぶ橋や変電所も破壊されました。

昨日、子どもの栄養改善事業の幼稚園でのサマープログラムの最終的な合意が得られ、準備が整えば明日からでも開始可能でした。責任者のモナは、「昨晩の空爆で南部には行けなくなりました。南部の幼稚園の子どもたちが特に栄養を必要としているのはわかっていてもどうやって新しいプログラムを始められるでしょうか。電気もありません。爆音が響いています。そんな中で、子どもたちが幼稚園に集まって来られるとは思えません。軍が撤退までサマープログラムの開始を延期しなければならないかもしれません」と言います。事務所には発電機があるのでとりあえず今日は電気があります。でも、燃料がいつまで続くかはわかりません。プロジェクト用のジープも今日は使わないで、ガゾリンを節約しておくとのことです。「でもまだ水も空気もあるし太陽も照っているし、生きてはいけるわよ」と笑いながら言い、「冗談を言って、笑いながら、この状況を乗り切るのよ」と言って、更に面白い話を続けました。

子どもの栄養支援事業のフィールド・スタッフ、アイダは、明日が結婚式の予定です。一体どうなるのか誰も予測がつきません。
ラファに住むラシャは、2004年の軍事侵攻で家を破壊されたのと同じ状況になるのではないかと心配しています。「とても困難な状況」と何度も繰り返します。5ヶ月になる娘は元気、とその話になると少し声が明るくなりました。ラファも電気は切られました。連絡は携帯電話ですが、電話の電池は重要で長電話はできません。彼女は、近所の雑貨屋で乾電池を買ってきてみんなでラジオからのニュースを聴いているとのことでした。
エルサレムにいると「限局的な侵攻」という形で伝わってくる事件ですが、ガザの人々にとっては、移動できない、電気はない、燃料はなくなりそう、水も心配と、死活問題です。
(6月28日朝)

侵攻の中での生活
28日夜、BBCからはイスラエル軍の砲撃の様子が伝わってきます。イスラエル軍はガザ空港(第2次インティファーダ開始後、2001年2月に封鎖、同年12月にイスラエル軍に破壊、現在使われていません)を占拠、そこを拠点としているようです。ガザ空港の建設には日本のODAも投入されています。それが破壊されて使えなくなり、更に軍事侵攻の拠点になっています。私たちの税金の一部はこのような使われ方をしているのです。

子どもの栄養を専門とするNGO「人間の大地」のハンユニスセンターの代表のハナンは、ラファのエジプト国境近くに住んでいます。2004年の軍事侵攻では、家の塀や車が壊されました。四人の子どもの母親である彼女が、夫と役割分担をしながら仕事を続けるために欠かせない車でした。
ハナンによると、午後7時から6時間だけ、彼女が住んでいる地区の電気が再開されたとのこと。「今、パンを焼いているところ。6時間しか電気は来ないから、することがたくさんあって」と言います。彼女は、昨晩は一睡もできなかったそうです。今朝はハンユニスの職場にいつもどおり行き、子どもたちのためにセンターを開けました。私たちは6月からハンユニスセンターを通して栄養失調児のための緊急支援をしていて、7月からは急増する来所者に対応するために看護師を一人増員する予定でいました。ハナンによると「明日には新しい看護師が決まる予定」とのこと。明日もいつもどおり仕事をする予定でいます。「新しい看護婦も決まるし、近いうちにセンターで会いましょうね、いつ来れそう」と言います。ガザの南部を結ぶ橋は破壊、車での移動は困難が伴います。「(移動には)ロバが必要かもね」と言って笑いました。変電所が破壊された悪影響は大きく、センターの運営に欠かせない電気の復旧は3−6ヵ月かかるといわれますが、ガザへの物流はイスラエルの管理下にあるので修理機材が入ってくるかはわからず、実際は目処さえ立っていないようです。センターには緊急用の発電機があり、昨日燃料を備蓄し節約しながら電気を使ったそうです。彼女は普段どおり仕事を続けようとがんばっています。
(6月28日夜)

仕事を続ける女性のこと
28日の夜はガザのいたるところで爆音が響いていたとのことです。
友人の子どもは、爆音のたびに飛び起きて震えだし時には泣いて、それからまた浅い眠りにつく繰り返しだったようです。そのような状態では親も眠れません。

子どもの栄養を専門とする「人間の大地」のガザセンターの代表、イテダルは、ガザ地区中部の難民キャンプ住んでいます。昨晩は、ソニックブーム(音速を超える速度で戦闘機が飛行することによっておきる衝撃波で、爆音や振動を伴う)や海からの砲撃で眠れなかったとのことです。衝撃波で家の窓も割れてしまいました。持病の喘息が悪化、今朝は発作を抑える薬を吸入してから、仕事にやってきました。薬の効果もなく、私がセンターに電話したときは、しゃべるのもやっとで、今から医者に診てもらいに行くこところとのことでした。彼女が必要とする薬は、経済制裁で医薬品が不足するガザにはなくなってしまいました。彼女は来週からヨルダンに出張だったので、そこで薬を調達することを考えていました。ヨルダンでは今後のセンターの運営に関わる大事な仕事の予定です。しかし、この状況でエジプトとの境界封鎖。いつ開くかはわかりません。

昨日も今日も、栄養失調児を連れた母親が、いつもどおりガザセンターに来ているとのことです。電気は切られていますが、センターには発電機はありそれを使っています。しかし、燃料は限られます。昨日、燃料の備蓄を用意、しばらくは大丈夫とのことです。発電機を使うのは1日3時間だけ。血液検査などもその時間に集中させます。できるだけ窓を大きく開けて電灯はつけないで節約しているとのことです。ガザの水道水は塩分が強く、安全性も確保されていないので、飲料には適しません。「人間の大地」では飲料水は別に買っていて、子どもたちの栄養食作りレポート2レポート3にもその水を用います。不足が懸念されている水の備蓄もしています、「ここは診療所もあるセンターだから、確保できたけれど、ガザ全体で使える量は限られているので、節約しないと」と言います。私たちは、ガザ地区の経済悪化に対する緊急対応として、5月からガザセンターに連れてこられる栄養失調の子どもたちに栄養食の提供をしています。栄養食の材料は、1週間分仕入れ、冷凍・冷蔵庫で保管していました。明日金曜日が休日なので、停電で冷蔵庫が使えなくなりましたが、今週分は何とかなったようです。今後も冷蔵庫が使えない可能性が強いので「来週は、毎日食材を調達しなければならないだろう」と彼女は心配し、共同で行っている緊急支援は順調に進んでいることを、喘息の発作でヒューヒュー言いながら説明してくれます。思わず「食材よりも自分の体を心配して」と言ったところ、「こういう状況には女性のほうが強いみたいだから、大丈夫」と答えて笑いました。「緊急対応は何度も経験してきているから。被害を受けている弱い立場の人々のために、できることをする」と力強く語っていました。(6月29日)


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