エルサレムでは2月14日午後から大雪が舞い始めました。大粒の雪は家々の屋根を木々を白く染めていきました。人々は家路を急ぎ、東エルサレムのメインストリートのサラハディーン通りのお店も次々と閉まっていきます。夕方には道路にも雪が積もり始め、車の通りもほとんどなくなりました。雪はしんしんと夜中まで降り続きました。美しいこの街並がさらに神秘的な魅力に包まれていきます。

翌朝7時に街に出ました。いつもなら通勤ラッシュのこの時間帯ですが、人通りも車もほとんどありません。雪では交通が麻痺するため、学校は休みと決まっています。アラブバス・ステーションも真っ白な雪におおわれたまま、今日は営業中止を決め込んでいます。セルビス(乗合タクシー)乗り場にも車やドライバーはいません。
てっきり子どもたちは朝から雪遊びに夢中と思いきや、旧市街で数人の子どもたちがソリで遊んだり、雪を投げたりしている以外は、街中では子どもの姿すら見当たりませんでした。きっと、昨日の夜はどこの家も夜中まで電気が灯っていたから、雪が降り積もる様子を夜中まで眺めていたのでしょう。まるで、街全体が眠りについてしまったかのようです。

雪化粧し、ますます聖なるオーラを醸し出すこの街を見ていると、度重なる紛争と30年以上もの占領と衝突による、双方の憎しみや怒り、悲しみや絶望が、浄化されていくかのような錯覚をもたらします。この聖地における血なまぐさい数々の虐殺の歴史が、さらなる憎しみを生むのではなく、逆にさらなる不幸を起こさないための和解へと繋がっていくのではないかと、淡い希望を抱かせます。
この土地に対する「正当性」を語り始めたら、どちらの民族も妥協は出来なくなります。ましてや分断することは不可能とも言われています。結果は共存しかない。でも、どうしたらそれが可能なのか。オスロ合意そしてロードマップという「分離」を前提とした解決案が崩壊したといわれる今、まだまだ一部に限られているものの、「共存」というテーマが話されるようになってきました。
「分離」ではなく「共存」へ。分離のための「壁」建設が急ピッチで進む今だからこそ、もう一度根本にもどって、どうしたら「共存」できるかの議論を真剣に始めるべきではないだろうか。時間がかかってもいずれは和解への道が見えるのではないだろうか。雪のエルサレムはそんなことをしみじみと考えさせてくれました。
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