イラクを長年取材するジャーナリスト・綿井健陽監督の新作映画『イラク チグリスに浮かぶ平和 Peace on the Tigris』が10月25日、東京の映画館「中野ポレポレ」で公開されました。私も公開二日目に見にいってきました。
本作は2005年に公開された映画『Little Birdsイラク 戦火の家族たち』の続編。前作に登場した人々の10年を描き出します。
2013年3月の開戦前夜から映画は始まり、現在も収束する見通しのないイラクの現実を綿井さんのカメラは撮り続けます。想像を絶する戦争の日常に、映画を見ながら「これがフィクション映画であってほしい」と何度も思いました。
この映画では前作にも登場したアリ・サクバンさんとその家族の戦争の日常が描かれています。イランとの戦争、湾岸戦争、イラク戦争と戦争に翻弄されたサクバンさんの人生と彼の家族をカメラは追い続けます。戦火の国で暮らす人たちの等身大の実像、怒り、悲しみ、絶望が彼らを通して見えてきます。
映画を見ながら、イラク事業のパートナー団体インサーンのメンバーの顔が浮かびました。彼らもこのような人生を歩んできたかと思うと、胸が締め付けられました。インサーンの代表のアリーさんが「僕の人生は戦争ばかりだ」と言っていた言葉の重みが少しわかったような気がしました。
映画『イラク チグリスに浮かぶ平和 Peace on the Tigris』はポレポレ東中野で11月14日まで公開され、その後順次全国で公開される予定です。