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2008/6/19版

JVC代表理事 谷山 博史 2008年度イラク事業インターン 森 若奈
2008年7月18日 更新

「我々は貧しい国ではない」マーリキー首相、投資と開発に協力を求める

5月29日にストックホルムにおいて、約100カ国と国際機関が参加するイラク・コンパクト第1回年次レビュー閣僚級会合(International Compact with Iraq)が開催された。会議は、イラクの安定と政治的和解のために、昨年シャルム・エル・シェイクでの支援国会議で採択された協定により、イラクの前進を評価する目的で開かれた。会議において、バン国連事務総長はイラクは「我々が恐れていた最悪の事態から脱した」が、状況は「依然不安定」だと述べ、イラクの復興のために国際的な取り組みを賞賛した。[1]

一方イラクのマーリキー首相は、バグダッド・バスラ・モースルでの武装勢力に対する軍事作戦による治安の改善を強調し[2]、「イラクは貧しい国ではない。イラクには莫大な人的・物的リソースがある」[1]、「莫大な資金協力を求めていない」[3]と発言し、投資と開発のためのパートナーとして、国際社会に協力を求めた。[4] The Washington Postによると、イラクの石油収入は今年700億ドルにのぼると見られ、外貨準備高は340億ドルに達する。[3]

また、マーリキー首相は「イラクの債務は前政権から受け継いだもので、復興プロセスを阻害するものだ」として、各国に債務の帳消しを求めたが、アラブ諸国はこれを拒否した。[5]イランやアメリカの支援を受けた議会のエリートによる宗派・民族主義的な国づくりに不満をもつイラク人にとって、最後の頼みであるアラブ諸国は、マーリキー政権への協力に消極的である。[6]サウジアラビアとクウェートは、閣僚を出席させていない。[5]

日本からは宇野外務大臣政務官が出席し、イラクの政治的前進を評価し、石油・ガス法案の早期成立に期待を寄せた。日本の円借款については、2003年に約束した35億ドルのうち、インフラ整備を中心に、12案件24,5億ドルへの供与を決定しており、残り10,5億ドルに関しては、中部スンナ派地域での案件を重視している。

2003年に15億ドルの約束した無償資金協力では、既に17億ドルの実績がある。[4]また、日本と民間債権者は、660億ドルの債権を放棄している。[7]今回の会議において、いくつかの点でイラク政府の報告書は、アメリカのものよりも楽観的だ。イラクは今年中に18県全てでアメリカからの治安権限の移譲を予定しているが、ペトレイアス米軍司令官は不可能であるとの見通しを示した。また、10月に予定されている地方選も、少なくとも11月に延期されると述べた。[3]

比較的治安が安定したイラクも、再び政府に参加しようとするスンナ派最大連合との協議が難航し[1,7]、政界の安定には至っていない。イラクの復興への道には、問題が山積している。

【作成者コメント】

今回の会議ではNGOが繰り返し「人道危機」として警鐘をならしているにも関わらず、国内270万人の避難民、海外200万人の難民については主要な議題には取上げられなかった。イラク政府と連合軍を構成する国々が治安作戦の成果を自画自賛する一方で、イラクの人々の窮状は忘れ去られているかのように見える。また、バスラ、サドルシティーやモスルでの反政府武装グループの掃討作戦では市街の封鎖によって住民生活は極度に悪化した。水、電気、基本的な食料が不足し、医療機関へのアクセスも困難な状況にある。サドルシティーでは病院への空爆で市民が負傷している。復興支援と経済開発のシナリオに重点を置くあまり、治安作戦による国際人道法の違反にすら国際社会は目をつぶっている。

会議では債務削減が主要な議題の一つとして取上げられた。また会議に先立ってイラク政府は援助効果に関するパリ宣言への参加を表明した。石油収入が今年700億ドルにのぼり、外貨準備高が340億ドルに達するとされる一方で、病院への医薬品の供給は相変わらずNGOなどの国際社会の支援に頼っている。国際支援の条件として政府のガバナンスを問うのであれば最低限の社会サービスである医療すら立ち行かない行政のパフォーマンスを真っ先に問うべきではないか。

【ニュースソース】

[1] Iraq 'stepping back from abyss', BBC,2008/05/29

[2] International Compact with Iraq-Annual Review Conference in Stockholm

[3] Citing Its Resouces, Iraq Appeals for Development Partners, Washingtonpost,2008/5/29

[4] イラク・コンパクト第1回年次レビュー閣僚級会合の開催, 外務省

[5] イラク支援会議開幕、対アラブ債務帳消しで進展なし, NIKKEI NET, 2008/05/30

[6] The Stockholm Conference and Conditonality in Iraq, historiae.org, 2008/05/28

[7] Iraq PM appeals for debt relief, Al-Jazeera, 2008/05/29


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