カンボジア現地通信
「カンボジアの現実をこの目で確かめたい。」
そんな思いでカンボジアに来て半年が過ぎ、いよいよインターンとしての期間を終える日を迎えることとなりました。
急速な経済発展を遂げる首都プノンペンでこの国の勢いを、一大観光地と化したシェムリアップで世界中から集う人々の賑わいを、カンボジアの秘境とまで言われるラタナキリで自然の壮大さを。そして活動地コンポンクダイで和なカンボジアの村での生活を。この半年、カンボジアの様々な場所で異なる景色、異なる雰囲気を見て感じてきました。
先週は、これからのプロジェクトに向けて新たにJVCが支援の対象とする農家を選ぶために、現在活動を行っている6村で農民に対する説明会を行いました。
私たちが普段村で行っている活動についての詳細な説明をし、そのあとでJVCの活動に協力してくれる農家を募りました。
こうした説明会のようなものを村で行う際にはいつだって困難がつきものです。子連れのお母さん方が多い村では赤ちゃんが泣いたり騒いだり走り回ったりで、お母さんは話も聞かなきゃいけない、子どもも落ち着かせなきゃいけないで大忙し。
手持無沙汰なことの多い私は、たまに子守を任されることも。それでもなかには真剣に話を聞く子どもも稀にいたりするのも面白いところです。その他にも近所の酔っ払いが騒ぎ立ててくることもありました。
ファシリテーターを務めるスタッフは気にするそぶりも見せずに話を続け、別のスタッフは酔っ払いを落ち着かせようと説得するなどして、それぞれの立場で協力して対応していました。
現在、環境教育プロジェクト(EE)のリーダーを務めるテロアット。彼女がJVCで働き始めたのは2012年の3月のこと。来月でもう3年になりますが、ここ数カ月で彼女を取り巻く環境は大きく変わりました。EEチームの彼女以外のメンバーは全員入れ替わり、その結果として最古参であった彼女が新たにリーダーを任されることとなったのです。これまでとは違って責任ある役割を果たすことになり、やる気に満ち溢れる彼女に少しだけ話を伺いました。
テロアットは非常に優しい性格の持ち主で、現在JVCカンボジアに在籍するスタッフの中では抜群に面倒見が良く、チームのまとめ役にはもってこいの存在と言っていいでしょう。力強くみんなを引っ張るタイプのリーダーではないものの、チームに一体感をもたらす不思議な魅力の持ち主でもあります。そんな彼女がリーダーの役割として挙げるのが、プロジェクトへの深い理解と人材育成です。
彼女を除くEEチームのメンバー2人は今年になってからJVCで働き始めたばかりのため、プロジェクトへの理解度が低いというのが現状です。チーム一の古株として、そんな彼らのために出来ることは自分が誰よりもプロジェクトのことを深く理解し、教え伝えることだと彼女は話します。ふたつ目の人材育成については、テロアットが特にこれから力を入れていきたい点だそうです。
「私の夢はプロジェクトの完遂にとどまらず、私たちスタッフがより高みに到達すること。」という言葉から彼女の強い思いがひしひしと伝わってきます。そのために私は全力で彼らの手助けをするし、彼らには私を超えていってほしいとも話す彼女がどのようなリーダーシップを発揮しチームを導いていくのか楽しみで仕方がありません。
2015年もあっという間にひと月が過ぎ、カンボジアでのインターンとしての時間も残り少なくなってきました。今回は共に活動するカンボジア人スタッフのストーリーを少し紹介したいと思います。
人生は学び
2015年に入ってから環境教育のプロジェクトで働き始めることになったピー。私と同じ年に生まれた24歳。年の割に妙に落ち着いていて大人びた雰囲気をまとっています。非常に勉強熱心な彼は、農業に関する知識は他のスタッフのそれを凌ぐほど。かつて英語の教師をしていたことから英語も堪能。同じ23年を生きてきたとは思えないほど自分との差を感じてしまいます。
私たちは誰を支援するのか。誰を支援しないのか。
先週、JVCの今後のプロジェクトを考えるにあたって、スタッフと共に村へ出向いて農家の方々にお話を聞いてきました。訪問に際してアポイントメントをとったりすることもないので、農家にとっては不意の訪問となります。村を回ってみると農家の反応十人十色で、非常に興味深いものがあります。農家は基本的に爽やかな笑顔で迎えてくれることが多く、特にJVCがある程度名の知られた存在となっている村では、初めて訪問する農家も歓迎といった様子です。その眼には少なからずJVCに対する期待がこもっていたりもします。
その一方で突然のNGOの訪問に怪訝な目を向けてくる農家もいます。至極当然の反応でしょう。急に見知らぬ外国人が家に来て「何か問題はありますか?」と聞かれても、「急に何だ?」となるのは別段おかしなことではないと思います。
唐突ですが、ポニーテールの女性は好きですか?
もし、好きだという方がいらしたらぜひともカンボジアへ来ることをお勧めします。きっと楽園のように感じられることと思います。
最近ふと、そういえばカンボジアの女性は髪の毛を後ろで束ねている人が多いなと思い、ちょっとした好奇心で街行く女性の髪の毛を観察してみました。別に変な趣味があるわけではないですが。そうしたらですよ。多いなんてものじゃなかったのです。およそ9割近く(あくまで個人の調査)の女性がポニーテールだったのです。
これにはさすがにびっくりしました。日本ではあまり見かけることのない希少種だと思っていたポニーテールですが、ここカンボジアでは主流なのです。気にしなければ本当にどうでもいいことではあるのですが、一度気にしだすとどうも歯止めが効かないものでついつい女性を見かけると髪の毛に目が行ってしまいます。
髪の毛のほかにもう一つ、カンボジアの女性に関して気になったことがありました。柄物です。ことこれに関しましても、カンボジアではシンプルなものよりもどこかごちゃごちゃしたデザインのほうがキレイと思うようで、市場などではとにかく派手な格好をした女性に出くわします。とはいえ若い世代はオシャレに気を使う子も多いのか、日本でも通用する洒落た格好の子がいたりするのもまた事実です。柄物のド派手なファッションは中高年の女性に多く見られる傾向と言っていいでしょう。
そして面白いことに、そんなエキセントリックなファッションのおばちゃんたちはなんと髪の毛が短い方が多いのです。ポニーテールではないんですよ。中途半端な短さではなく肩にもかからないくらいの短さです。どうしてでしょうね。ポニーテールと柄物には何かしらの相関があるのか気になります。いったいどのくらいの年齢から髪の毛が短い人の割合が多くなるのでしょうか。
明けましておめでとうございます。カンボジアでは新たな年を迎えたことをつゆほども感じさせることなくいつもと変わらぬ日常がそこかしこに溢れています。それもそのはず。カンボジア人にとっての新年は4月のクメール正月、または2月の中国正月(旧正月)です。そのため国際的な新年にあたる1月1日は特別大きなお祝い事はありません。もっとも、外国人が多く集まるシェムリアップなどは別ですが。
さて、JVC活動地のあるコンポンクダイでは新年を迎えた高揚感こそなかったものの、旧オフィスの隣にできた新居にオフィスを移し、気持ちも新たに2015年をスタートさせました!
どういうわけだか、再びスバイリエンに来ています。ベトナム国境沿いのこの地で活動を行っているIVYという団体にお世話になりました。なんと今回は2週間にわたる農場での研修。フィリピン人農場長のセルナンの仕事ぶりを見学しにスバイリエンに出向きました。研修にはJVC試験農場の農場長のソカーと共に行ってきました。ソカーは1週間のみの滞在で、セルナンもクリスマス休暇で2週目はプノンペンへ行ってしまいました。
そういえばそんな季節なんですね。セルナンの仕事ぶりを見学させてもらうはずが、なぜか2週目は自分一人だけがスバイリエンに取り残されました。セルナンと共に働く農場ワーカーと2人で仕事をすることに。彼は現地の農民ですので、全く英語は通じません。なんでしょう。これは完全に試されてるなと。カンボジアに来て4カ月で自分のクメール語がどれだけ上達したかを試すにはまさに絶好のチャンスとなりました。まぁ、結果的にほとんど会話は成り立たなかったのですが...。
2014年もあとひと月。いまだに気分は夏真っ盛り。朝夜は多少涼しくなったものの、年の瀬であることを全く感じられない、そんなカンボジアです。今の時期は、バイクで村の中を走っていると必ずと言っていいほど稲を刈る農民の姿を目にすることが出来ます。雨季が終わり、カンボジアでは稲刈りの季節になりました。JVCの試験農場の稲もとうとう収穫を迎えました。4か月ほど前に初めて農場を訪れた時はまだ青々としていた稲が今ではすっかりキレイな金色に染まりました。
11月27日、地域の方々を巻き込んでの一大イベント、植林キャンペーン(TPC = Tree Planting Campaign)が盛大に行われました。このイベントは、植林を通じて自然資源の保護と持続可能な社会への関心を持ってもらうことを目的としています。
ビデオ上映会
TPCに先がけて、事前の啓発活動の一環としてビデオ上映会がありました。近くの村の小学校などの場所を借りて、2日間にわたり夜間に開催されました。昼間は農作業や学校で忙しい方が多いので、より多くの人に参加してもらおうとの配慮から、夜間に上映しています。ビデオの内容は、木が失われることのインパクトやどのように森林の保護をしていくべきかというもの。
スタッフからの質問等を交えながら、森林保護の重要性を伝えました。2日間ともビックリするほど本当に多くの方が参加してくれました。子供たちも大画面の映像に興味津々。上映が始まると食い入るようにスクリーンを見つめていました。夜間の開催でありながら、スタッフもMCで自慢の話芸を披露するなど楽しんでいました。