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稲を刈る

カンボジア現地インターン 萩原 大地
2014年12月 8日 更新

2014年もあとひと月。いまだに気分は夏真っ盛り。朝夜は多少涼しくなったものの、年の瀬であることを全く感じられない、そんなカンボジアです。今の時期は、バイクで村の中を走っていると必ずと言っていいほど稲を刈る農民の姿を目にすることが出来ます。雨季が終わり、カンボジアでは稲刈りの季節になりました。JVCの試験農場の稲もとうとう収穫を迎えました。4か月ほど前に初めて農場を訪れた時はまだ青々としていた稲が今ではすっかりキレイな金色に染まりました。

カンボジアに来た当初、まだ青々としていた田んぼカンボジアに来た当初、まだ青々としていた田んぼ

日本での稲刈りと言えば、もっぱらコンバインと呼ばれる機械で一気に刈ること。田んぼの端の機械が入れないところだけ手で刈ります。それがここではすべて手作業なので大変なのは言うまでもありません。カンボジアでは稲を半分ほど残す程度の高さで刈っていきます。日本では機械で根元から刈るのが一般的ですが、手刈りするカンボジアでは、腰を大きく曲げなければなりません。体への負担も考えて、すべて手作業のカンボジアだからこそのやり方なのかなと勝手に思っています。

稲刈りの様子。二人とも手際よく刈っていきます。稲刈りの様子。二人とも手際よく刈っていきます。

稲刈りは簡単そうで実は意外と難しいのです。今回は雨が降った翌日に刈ったということもあり、足場の悪い中での作業となりました。加えて、生育段階での草刈りを怠ってしまったことで草は生え放題、さらに途中で折れてしまったり倒れてしまったりしている稲もあったので、なかなか上手く刈ることが出来ませんでした。上手に刈れないとなるとそれだけ取れるはずのお米をムダにしてしまうことになります。

刈った稲は束にしてまとめます。刈った稲は束にしてまとめます。

わざわざ日本から来て収量ダウンに貢献するというどうしようもない展開に、ただただ申し訳ない気持ちでいっぱいです。そんな自分を尻目に農場で働くソチェットとトーおばさんは世間話に花を咲かせながらスイスイと刈っていきます。さすがだなと。こればっかりはやはり経験の差がものをいうのでしょう。やはり農作業ではこの人たちには敵わないなと痛感させられました。

刈った後の稲は束にしてまとめ、軽く乾燥させて後に脱穀(穂をとる作業)をします。この作業がなかなか衝撃的。なんと、わらの端を持って壁に叩きつけるのです。力の限り。イチローばりのスイングで豪快に穂を落とします。これも機械ですべてやってしまう日本では見られない光景です。この光景を想像していただければ分かると思いますが、あちらこちらに穂が飛び散ります。散らばった穂をすべて回収できるはずもないのでここでもムダが出てしまいます。カンボジアでも、脱穀は業者に頼んで機械を使って行っている農家も増えてきているそうです。お金は多少かかりますが、収穫したコメのムダは手作業よりも確実に減らせるでしょう。栽培技術だけではなく、ポストハーベスト技術の改善によっても収量を上げることが出来ます。

脱穀の様子。壁に叩きつけて穂を落とします。脱穀の様子。壁に叩きつけて穂を落とします。

農場での稲刈りはすべて手作業でした。機械化も少しずつ進んでいるとは思うのですが、まだまだ村では手作業が主流です。すべて手作業ゆえに農家は多くの時間を稲刈りに充てることとなります。そうなると他のことに回す時間がなくなって野菜栽培などにも手が回らない、ということが起きてきます。そして野菜を外から買ってこざるを得ない状況になり、食費とともに場合によってはバイクの燃料代もかかることになる。生活のための出費を優先させれば学費に回すお金の余裕はなくなり、子供は学校へ行けなくなる。

そうした問題は決して単独で存在するのではなく、様々な問題と繋がっています。その一つが解決されれば劇的に状況が良くなるということも可能性としてはありますが、一つを解決できたところで大して状況は改善しないということも往々にしてあるわけです。稲刈りを機械で出来るようになればより多くの子供が学校へ行けるようになるかと言ったら決してそういうことでもないでしょう。問題は複雑なのです。なぜか稲刈りをしながらそんなことを考えていました。

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