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クメール・ルージュ特別裁判

CLEAN 環境教育担当 樋口 正康
2009年8月28日 更新

お久しぶりです、JVCカンボジアのインターン樋口です。ご無沙汰しております。5月以来の投稿となりますが、今回はクメール・ルージュ特別裁判(ECCC)について報告したいと思います。

私は、現在「カンボジア情報サービス」という会社のモニタリングの仕事を手伝っており、その仕事内容がECCCのモニタリングと英訳の仕事です。裁判の証人喚問を英語で聞き、日本語に訳すという仕事です。JVCの活動とは直接関係ないように見えるかもしれませんが、いくつもの内戦を経て今のカンボジアがあり、裁判を通してカンボジアの平和と社会について考える意味は大きいと考え参加を決めました。

ご存知の方もいると思いますが、ECCCとは、1975年から1979年迄の間に起きたカンボジア共産党(クメール・ルージュ)による殺戮と粛正に関わった加害者(党の幹部)を裁く裁判です。わずか数年の間に、多くの人が非業の死遂げました。正確な数字はわかりませんが、死者は100万人を超えており、人口の1/4が亡くなったと言われています。

党の指導者であったポル・ポトは既にこの世におらず、誰を加害者として訴えるのかという問題には今も疑問符がついています。しかし、カンボジア政府と国連は、ヌオン・チア、イエン・サリ、イエン・シリト、キュウ・サンパン、カン・ケク・イウの5名を裁判にかけています。

日本政府は、この裁判費用の約半分を負担しています。その割には、日本人の傍聴人を見ることは少なく、この裁判のことを知っている人はどのくらいいるのか見当がつきません。お金は多くだしているが、そのことを日本の皆さんは知らないのであればすこし残念に思います。この報告で、すこしでも読者の人が理解を深めて頂ければと思います。

法廷で証言する被害者の1人法廷で証言する被害者の1人


現在の裁判は、トゥール・スレン刑務所(S21)の元所長であったカン・ケク・イウ(別名:ドゥイ)被告に対しての裁判が行われています。S21とは、クメール・ルージュに「敵」として見なされた人々が辿った悲惨な結末(逮捕→投獄→尋問→拷問→処刑)の傷跡を残す場所です。

入ったら最後、生きては出られなかった悲惨な場所でもあります。無実の1万数千名もの人々が命を落としました、犠牲者の中には、クメール・ルージュの幹部と兵士も多く含まれています。棒で殴る、電気ショックを与え気絶させる、手足の爪を剥ぐ等、恐ろしいことが平気で行われていた場所でもあります。その理由としては、拷問によってカンボジア共産党の都合の良い「自供」を抽出し、党の政策を正当化しようとしました。また、カンボジア内部に潜むスパイを芋づる式に摘発する為にそのような残虐行為を行ったとの理由もあります。ドゥイ被告は、そのS21所長であり、拷問・処刑を止めなかった上官としての責任と、自らが拷問・処刑を命令、幇助、共謀した罪で起訴されています。

所感を述べるドゥイ被告所感を述べるドゥイ被告

この悲劇が起こったのは、約30年前の出来事ですが、未だに多くの証人が涙を流して、苦しみと怒りを訴えます。自分の愛する人を失い、長い間苦難を経験された被害者の声を聞くと涙がでます。

多くの人が、なぜ愛する人を失しなわなければならなかったのかを理解できない状態にあります。なぜなら、大多数の加害者と被害者がカンボジア人なのです。

もちろん、外国人で犠牲になった方も多いです。被害者がその悲しみと怒りをぶつける矛先がないというのも現実なのではないかと思います。しかし、多くの証人がECCCに法による裁きと正義を懇願しています。自分の罪もわからないまま命を落とした無実の人々と残された家族にとって、待ちに待ったECCCの存在意義は非常に大きいと思います。

残念なことではありますが、ECCCに対するカンボジア政府の圧力があるのは明白であり、カンボジアの司法は独立性が保たれていません。政治の影響を直に受けます。司法に乗っ取った平等な裁判ができるのかどうかという懸念は残っていますが、被害者の方々にとっての正義と公正をもたらす裁判になるよう、私も心から祈っています。

また、ECCCがクメール・ルージュの虐殺を経験していない若い世代に、内戦の悲劇と教訓を引き継いでいくのかということにも焦点が当てられています。それは、日本でも同じ事が言えるのではないでしょうか。戦争を経験していない私達が、どうやって反戦の意志を受け継ぎ、未来へ残していくのか。未来は、私達の手の中にあるのではないでしょうか。

裁判の様子裁判の様子

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