私の活動地ジャララバードは、首都カブールとパキスタン側の商業都市ペシャワールを結ぶ幹線道路の中間に位置する。2月に今まで流通していたパキスタン紙幣の使用が禁止されたはずなのだが、街中ではいまだにドイツで印刷された新アフガニスタン紙幣よりもこちらの方が幅を利かせている。
さて、当地で私が今一番気にすべきは、駐留アメリカ部隊の動きでもカルザイ暫定政権の今後でもなく、毎日いや毎時間の物価の変動である。
隣国パキスタンやイランから入ってくる品物や中国製品は店による違いはあっても毎日同じ値段だが、中東の産油国を経て入ってくる物は、当日の対米国ドル交換レートが適用されるため次のようなことが度々起きる。
車2台に分乗して活動先から戻ったうちのスタッフが申し訳なさそうに、領収書を持ってきた。確認すると同じスタンドでどちらも同じ量だけガソリンを入れたのに、料金が違っている。直ちにスタンドへ行き店主に抗議してみると、なんと給油中にレ−トが変わったとのこと。
当地に赴任して4ヶ月が過ぎたが、ここでは外国人の私に対して定価や生産国を偽って、高く売りつけようとする商人には一度も会っていない。アフガンにはアフガンの買物の流儀が存在する
、ただそれだけのことなのだ。