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農村生活編 第6話

11期インターン 宮田 敬子
2008年11月25日 更新

イサーンの昔

コンケン県ポン市の朝市で売子のお手伝いをしているコンケン県ポン市の朝市で売子のお手伝いをしている

9月11日から10月4日まで、ノンウェンソークプラ区ノンウェンコート村のスラポン先生(小学校の校長先生)の家にお世話になりました。仕事が忙しいスラポン先生ですが、時間がある時は私に昔のイサーンの話を聞かせてくれます。

「昔」というのはスラポン先生の子供時代なので、40年ほど前です。まだ村と町を結ぶ幹線道路がなかった頃、村人は「ポン市」という町を知らなかったそうです。必要なものは村の中で全てまかなえていたからです。食べ物、服、身の回りのものは自分達で作ることができていました。男性は竹細工、女性はシルクの布がうまく織れないと結婚できなかったそうです。
スラポン先生の好きな話のひとつに、タイ・シルクの話があります。昔、若い女性がタイ・シルクのスカートをはいてお寺へ行く姿は、うっとりするほどきれいだったそうです。しかし、今ではそんな姿もみられなくなり、スラポン先生は残念がっています。 
現在でもノンウェンコート村では多くの人がタイ・シルクを織っていますが、若い世代(20〜30代)で織ることの出来る人は、ほとんどいないそうです。元々は、農閑期に織っていたので、外へ働きに出て行ってしまう若い世代に伝えていくことはとても難しくなってしまうのです。タイ・シルクを作るには、桑の木を育て、蚕を養殖し、糸をつむぎ、染色し、織っていきます。これらの全ての作業を、村のお母さんたちは一人でこなしています。

もうひとつ、スラポン先生の好きな話でお米の話があります。どこの土地でも同じように、その土地独自の品種、いわゆる在来種があります。その土地の気候、土にあった稲が何世代にもわたって受け継がれてきました。スラポン先生が話してくれたお話は、カオドー、カオプラン、カオヤイという三種類の在来種のお米の話です。現在はカオドーが10%、カオプランが40%、カオヤイが20%生産されています。
タイ政府が、コメを大量生産し輸出する政策をとって以来、農民の考え方も「輸出のための米」を作るというように変りました。40年前は、水牛を使って耕起し、田植え、稲刈り、脱穀、精米を自分達で全て行っていました。機械、化学肥料、農薬なんて全く必要としていませんでした。

政府が村に電気を通し、村人が助け合って道路を作りました。誰しも生活が良くなるように願っていましたが、瞬く間に現金収入が必要な生活となり、政府の言われるがまま輸出用の米を作りました。
全て村でまかなえていた昔は、本当に幸せだったんだよ、とスラポン先生は変ってしまったイサーンの姿に嘆いています。誰しも「良い生活」を求めているはずなのに・・・。


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