アジア・中東・アフリカで活動する国際協力NGOです。
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現地ブログ from スーダン

スーダン日記

スーダン駐在の今井が、日本ではほとんど知られていないスーダンの情報をお伝えします。

(前回より続く)

避難民向け住居の入口にクルマを停めると、あたり一面に広がる畑ではソルガムが膝の高さまで育っています。9月も中旬になり、種子を配布してからは約1か月。雨にも恵まれて生育は順調なようです。

ぬかるんだ地面に気を付けながら歩いていくと、向こうに見える家の前では人々が椅子を並べて会合の準備をしています。
「さあ、どうぞこちらへ」
椅子を運んでいた住民のひとりが、JVCスタッフの姿を見つけて手招きをしてくれました。私たちは7月からここで活動をしているので、住民とはすっかり顔馴染みになっています。

「今日は、住民の皆さんは何人くらい集まるのですか?」
「ウムダ、シエハ(※)が数人、ほかに保健委員会のメンバーが集まります」

保健委員会とは、2か月ほど前に州保健省が国連の支援で実施した「保健衛生研修」に参加した住民たちによって構成されています。まだ活動をしているわけではありませんが、水の供給は公衆衛生とは深い関係があるので会合に呼ばれているのでしょう。

今日は、ここティロ地区の避難民向け住居に設置されるウォーターヤードについて、住民代表とJVC、それに州政府も加わった初めての会合です。

※ウムダ、シエハ:この地方では、村の住民リーダー(村長)はウムダ、村よりも小さな集落のリーダーはシエハと呼ばれる。この避難民向け住居には複数の村から避難してきた人々が住んでいるが、元の村のウムダやシエハも同じく避難民となってここに一緒に住んでいるケースが多い。そして、ここにおいても相変わらず住民リーダーとして人々の世話を焼いている。

(前回より続く)

ガルドゥッド地区のウォーターヤードガルドゥッド地区のウォーターヤード

最初に訪問したのはカドグリ市街の北東、ガルドゥッド地区にあるウォーターヤードです。この辺りは、今年5月に多くの避難民を受け入れJVCが支援物資を配布した地区でもあります。

「おお、でっかいウォーターヤードだなあ」
JVCスタッフのアドランとタイーブが、給水塔を見上げて感心しています。ここにウォーターヤードがあることは以前から知っていましたが、近くに来てみてみるとその大きさを実感します。

「タンクには1万ガロン(約4万リットル)の水が入るぞ」
ウォーターヤードの管理人らしい、年配の男性が出てきて教えてくれました。

「水をどうにかして欲しい」
「隣のティロ本村にある井戸まで汲みにいくのは遠い」

カドグリ郊外、ティロ地区の避難民向け住居では、7月末までに230戸への入居がほぼ完了しました。人々の暮らしが始まれば、まず問題になるのは生活用水の確保です。

計画では、国連が手押しポンプ井戸を2基、JVCが揚水機付きの井戸を1基建設することになっていました。このうち手押しポンプ2基は8月から9月にかけて完成し、住民は遠くまで出かけなくても水を利用することができるようになりました。

しかし、11月から乾季が始まると水の需要がぐっと増えます。そのために、より供給能力が大きい揚水機付き井戸の完成が待たれています。

「揚水機付き井戸」といっても、皆さんにはピンとこないと思います。

まずは、写真をご覧ください。

カドグリ郊外のウォーターヤード。給水タンクの容量はJVCが計画しているものと同じ5千リットル。カドグリ郊外のウォーターヤード。給水タンクの容量はJVCが計画しているものと同じ5千リットル。

これは現在カドグリ周辺で稼働している揚水機付き井戸です。JVCが設置したものではありませんが仕組みは同じです。

2年3ヶ月ぶりのカドグリ(2)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2013年10月28日 更新

(前号から続く)

訪問団が州政府庁舎の会議室で待っていると、やがてアダム・アル=ファキ州知事が入ってきました。今年7月に就任した、がっしりとした体躯の新知事です。挨拶を済ませると、知事はこう切り出しました。

「私の仕事は、南コルドファン州に『平和』をもたらすことだ」
そして、
「そのためには、まず人々がお互いを信頼し合うことが大切。私は、政治犯として収監されていた人々を釈放した。州内に政治犯を入れる監獄はもはやない。誰もが安心して暮らせるはずだ」
と続けました。

「政治犯」とは、反政府勢力のメンバー、或いはそれに加担したと見なされてこの2年間に拘禁された人々です。実際に「メンバー」だったのか、「加担した」のか、根拠に乏しいと言われてきました。

知事はさらに、
「平和のためには開発が重要だ。学校も、診療所も、井戸も不足している。だから今後は、たくさんの国際NGOに南コルドファン州で活動をしてもらいたい」
これが、知事が私たちに言いたかったことのようです。そして、今回の訪問を許可した目的でしょう。

政治囚の釈放は、これまで多くの家族が待ち望んでいたことです。そして、これまでのような「政治犯」への弾圧が止まるのであれば、多くの人が安心して暮らせることも確かでしょう。

しかし、肝心の紛争そのものはどうなるのでしょうか。当事者である政府と反政府軍との和平が成立して紛争が終わらない限り、この地域に本当の意味での「平和」は訪れません。それについては、知事からは何の話もありませんでした。

歓迎式での訪問団一行。奥に見えるのは避難民向け住居歓迎式での訪問団一行。奥に見えるのは避難民向け住居

州政府庁舎を後にした訪問団は、郊外のティロ地区へと向かいました。この「現地便り」でもお馴染みの、避難民向け住居を視察するためです。

ソルガム畑を抜けて目的地に到着すると、大きな天幕が張られて歓迎式の準備が整っていました。出迎えなのか見物なのか、子どもから大人まで鈴なりの群集です。

この避難民向け住居は、国連難民高等弁務官事務所と州政府が中心になり、国連機関とNGOが協力して建設、入居者の選定などを行ってきました。JVCは生計支援として種子を配布、そして現在は給水施設の建設を準備しています。

2年3ヶ月ぶりのカドグリ(1)

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2013年10月28日 更新

国連機の翼の下に、緑の大地がぐんぐん近づいてきます。

乾燥したハルツーム周辺の上空からは決して見ることのできない、雨をいっぱいに吸い込んだ一面の緑。その中に散りばめられた小さな沼や池が、雲間から差し込む太陽にキラキラと輝いています。

南コルドファンに、戻ってきました。

2011年6月に市街戦の中を退避してから2年3ヶ月、私にとってやっと巡ってきたチャンスです。紛争が始まって以来、NGOの外国人職員が南コルドファン州に足を踏み入れることを頑なに拒んでいたスーダン政府が態度を軟化させ、たった1日だけですが国連・NGOの訪問団として州都カドグリを訪れることが許されたのです。

訪問団は私を含めて24人。ハルツームの国連関係者、国際NGOの現地代表、そしてスーダン政府関係者です。

首都ハルツームの大規模デモ

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2013年9月30日 更新

黒い煙が、猛然と空に立ち昇っています。1本、2本、そして3本。

「タイヤを焼いているんだわ」
一緒にいたJVCスタッフのモナが言いました。今日は9月25日。私たちは、ハルツーム市内中心部で政府関係者との会合を終えて、ちょうど事務所まで戻ってきたところです。

「ついに始まったか・・」

煙までの距離は、ここから数百メートル、1キロ程度でしょうか。何が起きているのか見えませんが、政府に抗議する住民がタイヤを燃やし道路を封鎖しているのは間違いありません。既に、大通りの交通量は目に見えて減っています。

人々の怒りに火をつけたのは、政府によるガソリンなど燃料価格への補助金カットです。

2011年の南スーダン分離独立によって石油収入の大半を失ったスーダン政府は、「国民の反発が強いからやめた方がよい」という与党内の反対すら振り切って補助金カットを断行。9月22日にガソリン価格は1ガロン(約4リットル)当たり12スーダンポンド(以下ポンド。1ポンドは約18円)から21ポンド、一気に倍近くに跳ね上がりました。ディーゼルや家庭で使うプロパンガスも同様。翌日にはバス料金も40~50%の値上げが実施されました。

着実に進む新生活

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2013年9月24日 更新

空に浮かぶ真綿のような雲、大地を覆う緑のじゅうたん。山から吹く爽やかな風にあたっていると、ここが紛争地であることを忘れてしまいそうです。

ラマダン明けの休暇が終わった8月中旬、雨季の半ばの晴れ間を縫って、JVCスタッフ3人はカドグリ郊外、ティロ村近くの避難民向け住居を訪れました。種子を配布したあとの様子を確かめるため、10日ぶりの訪問になります。

なんと、避難民向け住居の敷地の中といい外といい、どこもかしこも畑になっています。作物が芽を出している畑もあれば、まだ種まき前で雑草刈りと地ならしをしている畑もあります。

畑から戻ってきた女性たち。この写真の撮影場所も実は畑の中畑から戻ってきた女性たち。この写真の撮影場所も実は畑の中

芽を踏まないように気を付けて歩いていると、農具を肩に担いで畑から戻ってくる年配の女性たちにすれ違いました。

「今日も雑草を刈って、また少し種をまいてきたよ。種まきはもうすぐ終わるね」
遠くまで見渡すと、あちこちで畑仕事をしている人々の姿が見えます。スタッフも安心しました。

ラマダン、種は間に合うのか

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2013年9月17日 更新

前回から続く

ティロ村近くの避難民向け住居での種子の配布は、8月6日に実施することになりました。いえ、なんとしてでも8月6日に終わらせなければなりません。
なぜか?

それは、その翌日にはラマダン(断食月)が明け、イードと呼ばれるイスラムの祝祭日に入ってしまうからです。この日を逃したら、配布は1週間以上も遅れてしまいます。そもそもギリギリのタイミングでの配布計画ですから、それ以上の遅れは許されません。

種子の調達先は、南コルドファン州のおとなり、北コルドファン州の州都エル=オベイドにある種苗会社です。8月3日、トラックで出荷したとの連絡が入りました。

エル=オベイドからカドグリまで約300キロ。バスならば5時間の道のりです。しかしトラックは事情が違います。ここは政府軍と反政府軍との紛争が続く戦地。道路上には何か所もの検問所が設けられ、トラックは停車させられて積荷の検査が行われます。不審物がないかどうか、軍・警察が目を光らせているのです。

それに加えて、トラックにはJVCの種子だけでなく様々な荷が混載されています。各駅停車のように沿道の町で停車しては、積荷を降ろしていくのです。

ウムダとの再会

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2013年9月13日 更新
周辺には農業の適地が広がる周辺には農業の適地が広がる

JVCカドグリ事務所に戻ったスタッフのアドランは、さっそく種子を配布する準備にかかりました。

しかしその前に、この時期の配布が遅すぎないかどうか、農業の専門家に確認しなくてはなりません。灌漑設備の少ない南コルドファン州では雨水に頼る天水農業が中心ですが、雨季が始まって早や2ヶ月半。あと3ヶ月もすれば乾季がやってきます。穀物の穂が出る前に雨が終わってしまったら、せっかく育てたものが台無しになります。

避難民向け住居、入居始まる

JVCスーダン現地代表 今井 高樹
2013年9月12日 更新
住居の扉の上には1番から230番までの番号が振られている。写真は218番(アラビア語の数字)。住居の扉の上には1番から230番までの番号が振られている。写真は218番(アラビア語の数字)。

「誰かいるのかなあ?」

クルマを降りたJVCスタッフのアドランは、ちょっと首をかしげました。ティロ村近くの避難民向け住居。「入居が始まった」と聞いて様子を見に来たのですが、意外にしんとしています。 レンガ造りの小さな家の間をしばらく歩いて行くと、いました、いました、何軒かの家の前で女性たちが炊事や洗濯をしています。

そのうちのひとりに話を聞くと、つい2、3日前に入居したようです。
「この前、ここに入る予定の人たち全員が役所に呼ばれてね、『くじ引き』で入居する家が割り当てられたんだよ。そのあと引っ越しを始めたのさ。ほかの人も、すぐに引っ越してくるだろうよ」
金だらいで泥だらけの衣類を洗う手を休めて、年配の主婦はそう教えてくれました。

それにしても、まだまだ大半の家は入居しておらず空き家です。種子の配布などの支援を行うには、もう少し待たなくてはいけないように思えました。

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